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仮想通貨市場と外国為替市場の比較 (1)

2019-02-06 15:18[ れんぶらんと

金融リテラシーのお話 仮想通貨 暗号資産



仮想通貨市場は、
1.外国為替市場の300分の1の取引額。
2.外国為替市場に比べて取引の種類が極端に少ない。
3.外国為替市場の参加者に比べて多様性がない。
4.ほとんどがBtoC、外国為替市場はインターバンク取引が中心。
5.外国為替市場に比べて市場整備の点で発展途上。
6.外国為替市場に比べて10倍の値動きがある。


仮想通貨市場と外国為替市場、似ている点もあれば異なる点もありますが、ここではそれらについて様々な角度から確認してみます。

1.取引額

仮想通貨市場の統計にはグローバルベースで実施される公的なものはありません。よく使われるのはCoinMarketCap社が公表している統計で、ここでは1週間おきの1日あたりの取引額が公表されています。これによると最新のものは今年1月27日のもので仮想通貨市場全体で156億ドルです。
外国為替市場の取引額は国際決済銀行(BIS:Bank for International Settlements)(*1)が、3年ごとに実施する「中央銀行外国為替調査」において公表されています。これによると最新のものは2016年4月におけるデータで1日あたりの取引額は5兆670億ドルです。
調査時点が異なるため完全な比較とはいえませんが、これらのデータから見ると、仮想通貨市場の取引額は外国為替市場の300分の1であるといえます。

2.取引の種類

仮想通貨市場における取引は、約定成立の数分から数時間のうちに決済されます。これは外国為替市場におけるスポット取引に相当すると考えられます。一部でオプション取引なども見られますが、それらは全体の1%にも満たない極めて少額の取引です。
外国為替市場においては、スポット,フォワード,スワップ,オプションなど多様な取引がなされています。なかでも相場変動リスクのヘッジ目的で使用されるスワップ取引の割合が大きく全体の約半分となる48%を占めます。スポット取引は全体の3分の1となる33%です。
つまり、仮想通貨市場は外国為替市場に比べて取引の種類が極端に少ないといえます。

3.市場参加者

仮想通貨市場における取引のほとんどは、仮想通貨交換業者とその顧客(主に個人)によるものです。一部にヘッジファンド等の投資家が取引を行っていますがまだ少数派といえるでしょう。また、仮想通貨を大口保有するマイナーなどが相対で取引を行うことがありますがそれらは統計などでは補足されないことが多いようです。これらの取引は保有通貨の値上がりを期待する投資や投機を目的とする取引が中心です。
外国為替市場における市場参加者は、銀行・証券などの金融機関や生損保,投信・投資顧問などの機関投資家,輸出入を行う企業,そして個人など多種多様となっています。またこれらによる取引は投資や投機に限らず、貿易決済などの実需取引などさまざまな目的でなされます。
つまり、仮想通貨市場の参加者は外国為替市場に比べて多様性がないといえます。

4.市場の構造

仮想通貨市場における取引のほとんどは、仮想通貨交換業者とその顧客(主に個人)によるものと上で書きました。これはいわゆるBtoC(Business to Consumer)と呼ばれ、一般的には企業が消費者と行う取引で、仮想通貨の場合は交換所とその利用者の取引となります。
外国為替市場における取引はBtoCもありますが中心はBtoB(Business to Business)、つまり企業間の取引です。BtoBの取引の中でも銀行同士の取引はインターバンク取引とよばれ大きな割合を占めます。
つまり、仮想通貨市場はBtoC、外国為替市場はインターバンク取引が中心です。

5.市場の整備

仮想通貨市場はその歴史が浅いため、国によっては法令や規制の整備が十分になされていないところもあります。また法令や規制が施行されている場合でも厳しさの度合いは国によってさまざまです。わが国においては2017年4月に改正資金決済法が施行され、2018年10月に認定自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会が世界に先駆けて自主規制ルールを公表しています。
外国為替市場は歴史が長い金融市場であることもあり、各国で法令や規制の整備が進んでいます。金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)(*2)のような公的機関もあり、共通のルール作りがなされています。また、世界16か国・地域の中央銀行と民間市場参加者が協力し「グローバル外為行動規範」が策定され、市場の健全な発展と拡大が図られています。
つまり、仮想通貨市場は外国為替市場に比べて市場の整備の点で発展途上であるといえます。

6.値動き

仮想通貨市場というと“値動きが荒い”というイメージを持たれる方が多いと思います。では外国為替市場と比べるとどれくらい値幅が大きいのでしょうか。試しに2018年におけるすべての取引日においてBTC/JPY(仮想通貨市場)とUSD/JPY(外国為替市場)の値幅を比べてみました。
その結果、BTC/JPYの1日の平均の値幅は6.1%、USD/JPYは0.6%で、約10倍の値動きの差があることがわかりました。執筆時点において市場で取引されているオプションのインプライド・ボラティリティはBTC/JPYで60%前後、USD/JPYで8%前後であり8倍程度の開きがあります。
なお、昨年に最大の値幅を記録したのはBTC/JPYで1月16日の39.5%(160万円台から97万円台へ下落)、USD/JPYでは12月20日の1.5%(112.60円から110.81円へ下落)でした。
つまり、仮想通貨市場は外国為替市場に比べて平均で約10倍の値動きがあり、最大値で比べるとその差はさらに広がる、ということがいえます。

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脚注
(*1) 国際決済銀行(BIS:Bank for International Settlements)
1930年に設立された中央銀行をメンバーとする組織で、中央銀行間の決済を行う。ドイツの第1次大戦賠償支払に関する事務を取り扱った。2018年(平成30年)6月末時点で、日本銀行を含め60か国・地域の中央銀行が加盟。
(*2) 金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)
主要25か国の・地域の中央銀行、金融監督当庁、財務省、およびIMF,BISなどの国際機関が参加し、金融システムの監視機能を強化する組織。BIS内に事務局が設置されている。

れんぶらんと

17世紀に活躍したオランダの画家レンブラント・ファン・レインの作品をこよなく愛する自称アーチスト。 1980年代後半のバブル期に株式および外貨資産投資を始め、いい思いをしてから投資の世界にどっぷりつかっている。

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