2019.2.15【消化不良:英議会・非常事態宣言?・JPMステーブルコイン】

2019-02-15 18:24[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ リップル イーサリアム ライトコイン



Review

急騰後、上値を重くする

今週のBTC相場は、先週末の急騰後、高値圏での揉み合いも、上値の重い展開となった。Bakktの延期、ブライアン・ケリー氏のETF承認の2020年後ずれ予想、トム・リー氏率いるファンドストラットの弱気予想報道などもあって下値トライするも失敗、LTCの急騰やトム・リーの弱気予想の否定もあって40万円台へ急騰。その後は、モルガンクリークが組成したブロックチェーン関連ファンドへの年金基金への投資、米政府再閉鎖回避に向けた大筋合意、また本邦交換所に関する話題など明るめのニュースが続いたが上値が重い展開が続いた。週末にかけて楽天・新経済同盟の20%の分離課税要求、JPモルガンによるステーブルコインの開発、英EU離脱に関するメイ首相に対する支持動議の否決、更に米政府再閉鎖回避に向けた予算案に大統領は署名するが非常事態も宣言するとの報道などが出たが、相場は若干上値を重くするもこれらの材料を十分に消化しきれずにいる状況か。

Outlook

市場は消化しきれていない

来週のBTC相場は上値の重い展開を予想する。先週も「上値の重い展開」としつつ相場の下抜けは無いと申し上げた。その後、仮想通貨相場全体が急騰した事に関しては、BakktやETFが年後半ないし来年にずれ込もうとする中、下値トライに失敗したショートカバーをLTCの急騰が招いた格好になった形で、別稿にてご説明した通りだ。ただ、ここに来て米英の動きがややきな臭いものとなって来ている。冒頭のReviewで米非常事態宣言、英議会の否決、JPモルガンのステーブルコインと言った材料を市場は消化しきれていないと述べたが、今後の展開について、少し詳しく述べたい。なお、JPの話はリップル欄をご参照いただきたい。

次は3月上旬

米SECは再提出されたCBOE分とされるVanEck版ETFに対するパブリックコメントを募集、正式な審査プロセス再開を好感する声も聞かれた。米政府再閉鎖期限であった15日も米上下両院が予算案を可決、トランプ大統領もこれに署名する方針で回避される見通しとなった。しかし同時にホワイトハウスは大統領が非常事態宣言を発令し議会を通さず壁建設費用を捻出する意向だと伝えた。予算を人質に壁の建設を阻止しようとする民主党の裏をかいた形だが、もし発令すれば大統領と民主党の対立は深刻となる。その結果、3月上旬とも言われる債務上限の引き上げで協力を得られない可能性が出てきており、場合によっては政府再閉鎖の可能性も浮上している。そうなればETFやBakktの開始は更に後ずれする可能性がある。また機関投資家の本格的な参入には法的性格の明確化など法規制の整備が前提となると申し上げて来たが、そうした作業が進む目途も見えなくなってしまう。

EU議会は3月11-14日

一方でBREXITの情勢も混沌化してきた。ここでおさらいをすると、3月29日に迫った英国の離脱期日に対し、離脱後の関税免除などの取り決めや移行期間の設定に関する事項を長い時間をかけてEU英国政府間で合意に至った。これを発効するには英国議会が先に承認し、3月11-14日の欧州議会で承認を得る必要がある。しかし、この合意案を英国が否決したため、メイ首相はEUに再交渉を申し出ている。しかし、EU側はなかなか首を縦に振らない。そこで、メイ首相の交渉に議会の支持を得ることでEUを交渉のテーブルに引きずり出そうと試みたが、今回、英議会は動議を否決した。このままでは欧州議会に間に合わず、合意なき離脱という状況にもかかわらず、比較的市場が落ち着いているのは、もし間に合わなかったら離脱期限を延長するだろうと考えているからだと思われる。離脱延期に関してはEUも寛容だからだ。この話は英国の側に立ってばかり話されるケースが多いのだが、以前お話した通りEU側に立つと印象が若干変わる。EUの結束を維持するためには、離脱する英国に甘い顔は出来ない一方で、離脱を延期するなら歓迎だ。それだけでなく、多くの主権国の集まりであるEUは各国の根回しに時間がかかる。従って、再交渉や合意案の修正が出来る時間はもうあまりない。企業の一部で万が一に備える動きが見られるように、3月のEU議会に向けて資産の一部を逃避させる動きが出てくる可能性はあると考えている。

ロングポジションが積み上がる

この様に硬軟材料が交錯して決め手に欠ける展開が続きそうだが、今回の上昇後の上値が重かったせいでロングポジションの積み上がりが懸念される。BitMEXのポジションで見るとロングの比率が6割に達しているが、過去3ヶ月で見るとこのポジションが6割を超えるとピークアウトする展開が続いており危険水位に入って来た。BREXIT関係で大きな混乱が起きるなどしない限り、今週は上値の重い展開を予想している。

予想レンジ BTC 35万円~45万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は堅調な推移。週末のLTCの急騰に連れ高で13000円近辺まで上昇。ICO絡みの売り圧力の報道もあり値を崩すもコンスタンチノープルが2月25日頃と定まったこともあり13500円近辺まで反発したが、マイニング報酬が過去最低を記録したとの報道やLTCの反落もあり13000円近辺に値を戻した。その後、NasdaqにETH指数が追加されたこともあり13500円近辺での推移を続けている。CNBCのJPモルガンのステーブルコイン発行報道が話題となっているが、報道では同社のコインがどういった技術に裏付けられているかの言及は無かったが、テザー騒動後に出て来た多くのステーブルコインはイーサリアムベースである。また、ステーブルコインとは別にJMモルガンが次世代送金プロジェクトとして採用しているのもイーサリアムのブロックチェーンだ。この様にワールドコンピューターとしてのイーサリアムの重要性は増すばかりで、2019年はそうした実用面での拡大の話題が増えそうだ。そうした意味で現在の価格は割安と考えているが、25日前後とされるコンスタンチノープルでマイニング報酬が3ETH→2ETHへ減額される事に向けて、若干の乱高下が予想される。但し、この減額は既にある程度相場には織り込み済みで大きな混乱はないものと思われる。

XRP:今週のXRP相場は揉み合い推移。LTCの急騰の影響も限定的で、他通貨対比でさえない値動きが続き、時価総額2位の地位をETHに譲っている。LTCの急騰もあり一時34円台に乗せるが維持できず33円近辺での取引が続いたが、元Bloomberg TVでリップル社の広告塔を務めていたコリー・ジョンソン戦略責任者の退社のニュースに値を下げる局面も見られた。その後、MITが後援しxRapidを利用する送金業者SendFriendがリップル社やバークレイズ、マスターカードなどから資本参加を受けたとのニュースに反発を見せたが、リップル社に対する集団訴訟の会議がキャンセルになったとの報道に、その事実自体は大した意味は無かった模様だが証券問題を抱えているとの連想から再び値を崩す展開。最後は、JPモルガンがステーブルコインを発行して送金に利用を始めるとの報道にやや上値を押さえられている。JPモルガンの目論見とXRPへの影響に関しては別稿で詳しく解説したいが、以前、SWIFTに替わる次世代送金システムはリップル社とIBM・ハイパーレッジャー、そしてイーサリアムベースのJPモルガン連合の三つ巴とご紹介した。その中で、送金には伝達機能と決済機能が必要で、xRapidの登場によってリップルが一歩先に抜け出したとご説明した。今回の話しはJPモルガン連合がようやく伝達だけでなく、コルレス決済に代わる決済ツールのテストを始めた段階で、商用利用を開始したリップルと比べて1年は遅れている。ただ、多くの取引先企業と親密銀行(≒コルレス口座を同行に保有している≒ドル決済を同行に握られている)を抱えている強みがあり、動向に注意が必要だ。もう一つ注目すべきは、同行がこのステーブルコインの実用例として1つ目に海外送金、2つ目に証券決済、3つ目にトレジャリーサービスを挙げている。この3つ目は多国籍企業に対しキャッシュマネージメントとキャッシュプーリング機能(場合によってはトレードファイナンスも)を提供していることを指すが、これをドル現金からステーブルコインにシフトさせるというものだ。これは素晴らしいアイデアだが、スマートな大企業の財務担当にXRPを使えば銀行さえ通す必要が無い事にそのうち気付かせてしまう事になりかねない。従って、このニュースは短期的にはXRPにネガティブだが、長期的には同通貨の様々な可能性を世間に知らしめる契機にもなると考える。

BCH:今週のBCH相場は横ばい推移。急騰したLTCについていけず、BTC,ETH,XRPに次ぐ時価評価4位の地位を明け渡すこととなった。先週末のLTCの急騰で14000円近辺まで値を戻すも上値の重い展開、SV派のクレイグライト氏が自らがナカモト・サトシである証拠のBTC誕生以前の2001年頃に発表したとする論文を公表するも、2008年にサトシ氏が修正した修正後の論文の内容がコピーされているなど矛盾点を指摘され、BCHABCの開発者アモール・セシェ氏が真意は不明だが自らサトシを名乗るなど対立の火種になることが懸念された。ただ、その件はそれ以上大きくなることは無かったが、今度は匿名性を加える提言もなされ期待感もある一方で懸念も浮上、上値の重い展開が続いている。詳細は別稿ご参照いただきたい。

LTC:今週のLTC相場は比較的堅調な推移も、週後半にかけて反落する展開。匿名性の開発やライトニングネットワークへの期待もあって先週末に急騰、仮想通貨市場全面高を牽引。LTC財団が後援するマンモス映画祭閉幕に向け一段高となるも、その後、失速。LTCが匿名機能実装に向けて提携するBEAM側もライトニングネットワークとの互換性を目指すとしている。ただ、これは両刃の剣の側面もあり注意深く見守る必要がある。詳細は別稿ご参照。


FXcoin Weekly Report 2019.02.15.pdf

松田康生 (まつだやすお)

営業推進部 部長代理

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通
twitterアカウント:@FXcoin_matsuda

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