2019.3.8【反発は近い?ビットコイン相場の出来高が回復】

2019-03-08 11:11[ 松田康生

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Review

アルトコイン主導

今週のBTC相場は、アルトコイン主導の上値は重いが底堅い展開となった。創始者の死去によりコールドウォレットからの引出が出来ないとされた交換所Quadrigaのウォレットに残高が無かったとの報告やCoinbaseのニュートリノ買収に伴い解約運動などもあり42万円台で上値を重くしていたところ、ETHが下落の連れ安で41万円近辺まで下落。しかし、VISA取扱を中止する米スーパーにライントニングネットワーク導入に興味を示し、スタバがBTC受入との報道、TwitterのCEOが毎週1万ドルを上限にBTCを購入しているとし、またテザーが新バージョンで使用するTRONの反発もあり底堅く推移した。Binancのトークンセールへの期待でバイナンスコイン(BNB)が大きく上昇すると43万円台まで上昇するが、Coinbaseが問題のあった従業員を解雇し、情報流出も無かったとしたが上値の重い展開が続いている。

Outlook

BNB主導の相場

来週のBTC相場は上値の重い展開を予想するが、そろそろ大きな反発が近いと考える。先週は確定申告絡みの売りが意識されたが、アルトコインの反発により、上値は重いが下値は堅い展開を予想した。ほぼその通りの展開となったが、下げ相場では予告通りアップデートを終えたETH主導の下げとなったが、上げを主導したのはXRPでなくBNBだった。このBNBの上昇はBinanceのトークンセールへの期待が大きい。ただ、ETH欄で後述するが、今のところこのトークンセールは毎回数億円規模でしかなく、この人気だけで相場全体を牽引するのには無理があろう。一方で、5年連続の3月の下げを演出している確定申告関連の売りだが、昨年の相場が不振だっただけに、限定的と思われる。

出来高が急増

この2-3週間で注目すべきは出来高の急増だ。実需がマイナーの売りに集中しているBTC相場において出来高と価格はある程度相関がみられる。勿論、昨年の11月のような暴落相場においても例外的に出来高は増加するが、概ね出来高と価格は正の相関を見せる。足元の出来高は昨年4月の水準にまで回復している割に値動きは鈍い。この背景には昨年の暴落相場で売り遅れたポジションのやれやれ売りが相当溜まっているのだと推測する。暫くは、こうした売りに上値を重くしようが、一巡すれば大きく反発する可能性が高いと考える。

週後半にかけて反発の可能性

出来高が回復し始めたのは2月17-18日頃からで、ちょうど39万円台から43万円台に上昇した頃からだ。その直前にあったイベントは英議会がメイ首相のEU離脱案を否決、米政府閉鎖回避と非常事態宣言、そしてVISAの手数料引上げ報道だ。通貨別で見ると、この間にEUR建て取引は増えておらず合意なき離脱に向けた逃避買いが支えている訳では無さそうで、ETFやBakktはまだ先の話になるので、決済ニーズへの期待感が多かったのかもしれないし、アルトコインの上昇を受けた上値への期待感なのかもしれない。いずれにせよ、昨年末に44万円前後で揉み合った期間も3週間程度なのでそろそろこの水準での売り圧力は解消していくものと思われる。週前半は上値は重いが後半にかけて大きく反発する可能性があろう。

予想レンジ BTC 40万円~50万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は下落後、反発する、いわゆる下に行って来いの展開となった。先週末のアップデート成功もあり15000円台で底堅く推移していたが、やはり報酬減額後はSell on the Fact的な売りが出るせいか上値を重くし、週明けに値を崩し14000円を割り込んだ。しかしテザーがTRONベースの新バージョンを発表するとの報道にTRONが切り返すと下げ止まり、スイス証券取引所SIXでのETH連動ETP(上場商品)が上場され、BlockFiがETHの高金利預金を開始、またBinanceの第3弾トークンセールの発表もありBNBが上昇を始めるとETHも15000円台まで反発した。その後もイーサリアムベースのTrue USDがリアルタイムでの裏づけ法定通貨の監視システムを発表するなどもあり底堅く推移している。アップデート後のスランプをアルトコインの上昇もあり見事に跳ね返した形となっているが、その過程でロングポジションを更に増加している。BitMEXのロング・ショート比率で見るとロング比率が8割近くにまで上昇している。一つにはBinanceのトークンセール人気からICOの復調への期待が少なからずあると考える。確かに従来のホワイトペーパーだけのICOよりBinanceの審査を経ており、同交換所での上場も約束されていることは魅力ではある。そういう意味ではICO復活の鍵は然るべき審査と交換所への上場であり、それをスムースに実現するためにもSTOの枠組みの整備が待たれる。ただ、足元のトークン人気はプロジェクトの内容を吟味した地に足がついた買いとは言い難い。また、その規模の少額で、それ故、値動きがオーバーシュートし易いという側面もある。とはいえ、イーサリアムを用いた開発は日に日に進んでおり大きな値崩れは予想しないが、来週は上値の重い展開を予想する。

XRP:今週のXRP相場は下に行って来いの展開。先週末に集団訴訟で原告の求める州裁への差戻請求が却下されたこともあり堅調に推移したが、その後失速。証券問題の弊社の見方は、XRPは次期送金システムの候補の一つであり、特に出稼ぎ労働者の本国送金を通じた貧困撲滅手段としてFSBや世銀からもお墨付きを得ており、まだマイナーが中国に集中している状況を快く思わないホワイトハウスとの関係も強い。こうした中、連邦裁レベルで状況をひっくり返す可能性は低いと考えていたが、各州毎に法律が異なる州裁であれば何を言い出すか予測が出来ないと考えていたので一安心の材料となった。しかし、この事が証券問題を思い出させたせいか上値を重くすると、ETHの下落やQuoineで突然XRPが20円近辺まで急落した影響もあってか33円台へ値を崩した。しかし、BNBの急騰に連れ高するとマーキュリーによるメキシコ-フィリピン間のxRapid送金の成功などもあり35円台に値を戻している。

SBI北尾社長が国内送金業者としては初のSBIレミットによるxRapid計画に触れるなど送金面での実用化が進んでいる。一方でライバルとされるJPMコインについてBinanceはXRPのライバルとならないとし、ガーリングハウス リップル社CEOはJPモルガンの口座保有間でJPMコインを使用するならドルを使用すればいいと指摘した。当初から弊社が指摘していた点で、ようやく世間の認識も広がって来た。SWELLの11月開催やオランダでのミートアップ開催などコミュニティーは盛り上がりを見せ、前述の北尾氏は自分がリップル社の役員になってもいいと同社へのコミットを示している。こうした中、先週指摘したXRP出来高は、3月3日に上下の目安となる500百万ドル台まで低下したが、ここ2日間ほどは700百万台を維持している。この水準を維持できれば、リップル社の売りを呑み込みXRPは大きく値を上げる可能性があると考える。

BCH:今週のBCH相場は目立った材料もなく、引き続きBTCに連れて上下する展開。ETHの下落に連れ安となり14000円を割り込むがBNBの上昇もあり14000円台に値を戻している。Bitcoin.comではBCHブロックチェーンを利用したトークン作成方法が紹介され、一方で六本木などの4つのナイトクラブでBCH受入る予定とされるなど、BCHがどこへ向かっているのか見え難いが、新たな方向性を探っている過程なのかもしれない。

LTC:今週のLTC相場は大きく上昇。2月の高値を抜け上値余地を探る展開となっている。3/9のストラスブールで開催のキックボクシングイベントに続き、4/6にワシントン郊外で開催されるK POPイベントのスポンサーになるなどLTC財団のイベントのスポンサードによる普及拡大を図ろうとする姿勢が功を奏した形か。また経済危機下のベネズエラで、政府公認で開始された仮想通貨送金でBTCとLTCが選ばれたことも供養を喚起したせいか、2月の高値を上抜けると6000円台までの上昇を見せた。上記のK POPイベントでは最前列のVIPチケットを475ドルもしくは10LTCで販売しているが、相場の上昇により法定通貨で支払った方が有利な状況になっている。一方、Coinpostによればフランスで匿名通貨を禁止する事が提案されているとの報道があるが、LTCが目指す匿名性は当局も許容可能との見方もあるが、これらの議論にも注意が必要だろう。



FXcoin Weekly Report 2019.03.08

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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