2018.8.17【65万円台まで急落するも反発】

2018-08-17 17:14[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産

【65万円台まで急落するも反発】


Review

CBOE経営陣のETF承認楽観視もあり反発

先週のBTC相場は下に往って来いの展開。前週末に有名テクニカル・アナリストのジェフ・デグラーフ氏が年初来安値のサポートを割るとBTCはゲームオーバーと述べたこともあり66万円台に下落したが、FBのデビット・マーカス氏のコインベースの取締役辞任理由が利益相反のためとされると、FBが本格的に仮想通貨交換業に進出するとの思惑が広がり70万円台に値を戻した。この間にBTCのドミナンツ(時価総額に占める占有率)が50%を超えた結果アルトコインには売り圧力がかかり、ICOで集めたETHが売りに出されているとの観測でアルトコインが急落すると、BTCも65万円台まで急落した。しかし、CBOEのコンカノンCOOがETF承認に楽観的な見方を示すと70万円台を回復している。

Outlook

CBOE経営陣のETF承認楽観視もあり反発

CBOEのETF承認延期でパニック売りを引き起こした市場参加者の心理は、同社COOの「(SECは)将来的にはETFを快く受け入れるだろう」との発言でようやく落ち着きを見せ始めた。6月末に付けた64万円台の年初来安値からETF承認期待から94万円まで上昇、その後、申請の却下や延期が相次いだ結果、元の水準にまで戻ってきた。しかし、その間にブラックロックが参入の検討を始め、ノーザントラストやゴールドマンサックスがカストディー業務を開始または準備し、ICEによるBTC現物の翌日渡しBakkt開始が発表されるなど機関投資家の参入乳に向けたインフラ整備は着々と進んでいる。今週も欧州で仮想通貨ETNを発行するCoinShare社が米ドル建てでBTC ETNを提供し始めたと報じられた。スウェーデンの証券取引所に上場し、米国内のブローカーを通じて機関投資家に供給する模様。すなわち、材料面、仮想通貨のファンダメンタルズは良好だが、7月の上昇で溜まったロングの投げや投機筋の売り仕掛けが今回の急落の背景にあると考える。ひとたび相場が下げ止まれば、そうしたショートポジションの踏み上げが予想される。

トルコ危機には反応せず

一方で、今週のトルコリラの急落で当地の仮想通貨取扱が急増したとの報道も見られたが、期待された逃避資産としての仮想通貨買いはあまり見られなかった。同じく逃避資産とされる金価格も1200ドルを割れ今年最安値を付けている。こうしたトルコ危機でも退避資産が下げた背景として、FRBの利上げ継続による米ドル買いも指摘されている。他方、今回のトルコ危機は高金利通貨買いポジションのアンワインドにより通貨が急落しただけで、(まだ分かりませんが)キプロス危機の様に預金封鎖といった事態に陥らなかったという見方もある。すなわち、銀行でドルが買える間はドルが買われ、それも叶わなくなると金や仮想通貨が買われるという考え方だ。まだ、今回の様なソブリン危機と仮想通貨との関係は定まったものが無いが、ヘッジファンドや機関投資家の資金が入るにつけ、ドル相場の上昇が仮想通貨価格の重しになることも考えられよう。

コアレンジは70-80万円 みなし業者の登録進捗に留意

来週は、8月10日の戻り高値73.5万円近辺を上抜ければ、行き過ぎた売りの巻き戻しで7月24日からの下落の半値戻しとなる80万円近辺までの上昇が予想されるが、その近辺では上値が重くなろう。なお、本邦金融庁が「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめ」を発表、同時に新規登録業者の審査を再開したと報道されたが、みなし業者のひとつコインチェックを買収したマネックス証券の松本社長は同社の営業再開の目途を8月としている。実際に再開のニュースが流れた際は一段の上げが予想されるので注意が必要だ。

予想レンジ BTC 65万円~85万円

Altcoin

ETH:1週間で一時3割近く下落。BTCのドミナンツ50%超えを主導。先週末の下落の背景にICOで調達したETHをプロジェクト側が売り急いでいるからとの見方が火曜日に伝わると、一段の下げを見せ3万円を割り込んだ。その後、ETH設立メンバーのルービン氏が相場は低迷してもETHの成長は続くと楽観的見方を示すと値を戻している。ETHはその優れたプラットフォームとICOにより潜在的にBUY&HOLDする投資家が多いとされるが、BTCと比べ現物取引が中心のETHでは売りが一巡すれば底堅さを見せると考える。

XRP:前週、大手米法律事務所が集団訴訟準備報道から証券・通貨論争に決着がついていないというアキレス腱が意識され始め売りが殺到し、ETHとBTCドミナンツ50%超えを主導。カリフォルニアでの個人裁判での勝訴も材料視されず火曜にはETHに連れ安で30円割れ。その後、リップル社が提供するXrapidに交換所で採用されるなど好材料もあり30円台に戻している。

BCH:週前半はBTCに連れ安。BCH応援団のロジャー・バーがBCHトークン発行機能でのICO発行計画が伝わると一時急騰する場面も見られた。Bitmain社が大量のBCHを保有している事が判明したが市場への影響は限定的だった。

LTC:BTCのドミナンツが50%を超える中、軟調な展開。先週末にチャーリー・リーがSNSでのLTC取引の可能性をツィートし話題となったが影響は限定的だった。

Calendar

8月20日 日本ブロックチェーン協会(JVA) Meets Up Vol4
8月20日 BlockShow America 2018 ラスベガスで2日間開催 コインテレグラフ社がサポート。
8月23日 ジャクソンホール・サマーセミナー
アトランタ連銀が主催する恒例のサマーセミナー。日米欧の中銀総裁が一堂に会する事で話題となる。今年のテーマは「変化する市場構造と金融政策への影響」 仮想通貨に対するコメントが出る可能性がある。25日まで。
8月23日 Proshares社申請中のBitcoin ETF承認期限
同社は先物取引を用いたBitcoin LongとShortの2種類のETFを申請中。但し、市場では承認一番乗りはCBOE申請中のETFとの見方が主流。

FXcoin Weekly Report 2018.08.17.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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