2019.3.15【金商法・資金決済法改正案が閣議決定】

2019-03-15 16:11[ 松田康生

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Review

ほぼ横這い

今週のBTC相場はほぼ横ばい推移。上値は重いが、下値も堅い展開が続いている。コインチェックを始めとした仮想通貨交換所ハッキングに北朝鮮が関与、制裁逃れに利用されているとの国連報告を受け42万円近辺に急落するも底堅さを見せるも反発。しかし44万円手前で値を重くする展開。その後は目立った材料も無い中43万円近辺で揉み合ったが、Binanceの8時間に渡るメンテナンス報道を受け値を崩し始める。メンテナンスが開始すると42万円近くまで値を下げるも、予定より2時間早く終了すると43万円台に値を戻した。その後は、BREXITを巡る3回の投票で合意なき離脱が回避されたこともあり上値を重くするも、CBOEのBTC先物の波乱なくこなした。その後、テザー疑惑の再燃による逃避買いやBittR3rexのトークンセール中止による失望売りなど売り買い錯綜。資金決済法や金商法の改正案が閣議決定されたこともあり底堅く推移している。

Outlook

高水準の出来高

来週のBTC相場は底堅い展開を予想する。先週は「上値の重い展開を予想するが、そろそろ大きな反発が近い」と申し上げたが、いよいよその反発局面が到来すると考えている。理由は100億ドル水準の出来高がつづいていること、Bitfinexのロング(弊社レポートではBitMEXとご紹介してきたが、確認するとBitfinexのデータでした。謹んでお詫び申し上げます)比率が6割から5割近くまで低下した後、若干反発を見せていることだ。CBOEやCMEの数字は分類方法が確立しておらずあまり参考にしてこなかったが、こちらのヘッジファンドのポジションはロング比率が4割まで低下、ショートカバーが出ても不思議でない状況となっている。これはマイナーや持ち値の悪いロングポジションのやれやれ売りをこなしても尚、買い圧力が強いことを示していると考えている。機は熟し始めているのではないか。

機関投資家参入向けの動きは一歩後退

材料面に目を向けると、必ずしも買い材料ばかりではないと言えよう。仮想通貨推進派のジャンカルロCFTC委員長は4月に任期を満了、一方でSECのクレイトン委員長はBTC ETFには相場操縦とカストディーという懸念材料があるとしている。CMEとの競争に敗れたCBOEはBTC先物取引からの撤退を発表したし、3月に本格サービスをスタートするとしていたフィデリティ―も試験運用の段階だ。しかし、再三申し上げている様にインフラの整備が出来たからと言って機関投資家が参入する訳ではない。相場の地合いが好転しても彼らは入って来ない。彼らは自分たちが参入すれば規模の小さい仮想通貨市場価格は急騰することは分かっている。しかし、クレイトン委員長が指摘する通り、相場操縦の防止策が無い仮想通貨市場には人様から預かったお金を投入できないのだ。問題は法規制であり、コンプライアンスだ。

金商法改正案閣議決定

この点、本日閣議決定された資金決済法・金融商品取引法の改正案に期待が集まる。まだ、閣議決定されただけで国会に提出されていないので詳細を目にしたわけではないのだが、Coinpost等の報道を基に、ポイントをいくつか挙げると①交換所にホットウォレット保管分の弁済原資義務付け②取扱通貨の事前届出③風説の流布や不公正取引の禁止④投機を助長する広告・勧誘の禁止など既に自主規制ルールで定められている規制が目に付く。目新しいところでは、⑤証拠金取引が金商法対象となり交換業者に金商法業者の免許取得義務付けられ⑥ICOも金商法対象となったこと、あとは交換業者の利用者に保有仮想通貨の先取特権が認められたことなどか。各報道機関が報じる名称の変更などは些細な問題だろう。ここで問題となるのは③の不公正取引の禁止だ。自主規制ルールで不公正取引が禁止された際は世界初の快挙と申し上げた。しかし、自主規制団体が規制できるのはあくまで交換業者。直接、利用者は処罰できず、交換所にそうした利用者を探し出させ、警告や場合によっては口座閉鎖を命じるというものだ。それが、今度の改革により直接利用者を規制することが可能となった。仮想通貨から不正取引排除されETFが承認されるためには、これを手本に各国が法制化を進める必要があり遠い道のりだが、この閣議決定はその第一歩である訳だ。

テザー不安は限定的か

因みにテザーの問題も深刻だ。例えば裏付けがドル預金だけでなく、例えばドル債権でも良ければ、裏付けとなるドルを貸してその資金でテザーを発行するという錬金術が可能となる。ただ、このニュースでテザー価格はあまり崩れておらず、利用者も薄々気付いていたのだろうか。テザーの対ドル価格が低下すると、一時的にBTCUSDT価格の上昇にBTCUSD価格も連れ高になる局面も見られたり、USDTからBTCやETHへ資金をシフトする動きも見られたりもするが、やはり仮想通貨市場全体の信用不安を誘発しかねない。ただ、最近ではテザー以外にもステーブルコインはいくつもあり、市場の反応は限定的なのだろう。そうした中、市場はじりじりと値を上げ年初来高値となる46万円台をトライする展開を予想する。

予想レンジ BTC 40万円~50万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は揉み合い推移も、上値の重い展開が続いた。イスタンブールのアップデートのスケジュールが判明。着実に進む開発を好感して値を上げる局面もあったが、じりじりと値を下げる展開。世界最高峰ビルのオーナーであるUAEの不動産開発業者エマールのICO検討の報やBittrexもトークンセールをするとの報道。更にBinanceのメンテナンスが無事完了すると反発を見せた。しかし、その後も上値は重く、SECのクレイトン委員長がETHは証券に該当しないとした昨年のSECヒルマン氏の発言に同意したことで値を戻す場面も見られたが、Bittrexのトークンセールの中止もあり上値の重い展開が続いている。

交換所によるトークンセール人気によるICO復活期待もあって時折底堅さを見せるも、冴えない値動きが続いている。背景には、月初のコンスタンチノープルによるマイニング報酬の減額があると思われる。報酬の減額はマイナーの売りが減ることにより上昇要因だが、上昇は減額までで、その後しばらくは反落もしくは横ばいとなるという従来のパターンを踏襲した形か。一方で、イーサリアムコミュニティーは仮想通貨の中で最も開発が活発で、先週発表された調査ではBTCの倍の開発要員が投入されているという。そうした中、プラットフォームとしての重要性は増すばかりで、いずれ反発局面を迎えると考える。アップデートから2週間を経過しており、来週辺りから底堅い値動きを見せるものと予想する。

XRP:今週のXRP相場は揉み合い推移。独メディア企業がXLM関連企業へ出資したこともあり、XLMが上昇、同種のXRPも底堅く推移していた。スイスの証券取引所がXRPベースのETP(上場商品)発行の可能性が報じられ値を上げる局面も見られたが、XLMが下落に転じるとXRPも上値の重い展開となった。リップル社の投資部門であるXpringがForteと共同で1億ドルのゲーム開発ファンドを立ち上げ、ゲーム内でXRPが流通する期待が持ち上がった事やBinanceの公式ウォレットでXRPサポートが開始された事などもありXRPが反発。35円台を付けるも、その水準では上値の重さを見せている。

先々週ご紹介したXRPの出来高は500百万ドル以上の水準をキープしている。これはパブリックチェーンにおけるマイナーの売りに対応するリップル社の売りを市場が何とか吸収できる水準だ。ただ、上値追いを誘発する1000百万ドルレベルには達しておらず、買い方は押し目買いで足りるイメージで、今週の反発も34円近くに下落したための反発といった感じか。XRPの人気が高い日本での市場心理の好転に注目したいが、今般の資金決済法・金商法の改正案の閣議決定が何らかのプラスに働くと考える。

BCH:今週のBCH相場は目立った材料もなく、引き続きBTCに連れて上下する展開。週後半には5月に続き11月のアップデートへの期待感もあり若干値を戻す展開となっている。BCHで決済するアウトソーシングアプリTaskopus発表されたことも若干プラスに作用したか。

LTC:今週のLTC相場は上値の重い展開。LTC財団が後援するキックボクシングイベントまで上昇し、イベント後に反落するパターンは前回のマンモス映画祭と同様。その後、じりじりと値を下げたがイベントでチャーリーリーがLiskとの提携を示唆。Liskが急騰する中、LTCも若干連れ高となった。同氏は14日の香港でのイベントにも登壇したが、反応は限定的だった。先週発表されたエレクトリック・キャピタルが、月平均99人の開発者がETHにコードを提供しており、BTCの47人の倍以上だというレポートの中で、LTCはこの1年間で40人から3人に激減しているとの衝撃的な数字が発表されている。BCHと同様、運営側の断続的なアクションが必要だろう。


FXcoin Weekly Report 2019.03.15.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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