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地方再生に近江商人の三方よしの心

2019-03-19 16:12[ にく

仮想通貨小噺 仮想通貨 暗号資産

週末は富士山の2合目にある遊園地ぐりんぱに行く予定だったのですが、家内の祖母が亡くなったので急遽、富山に行くことになりました。亡くなる1年以上前から入院を続けていましたが、齢90歳での大往生でした。連絡を受けた金曜日は早めに仕事を切り上げて帰宅したのですが、通夜と葬儀が日・月になったので土曜日に行けばいいという事で、何故か息子を公文に連れて行くことになりました。公文もこれで1か月通っていますが、行く直前になると必ず行きたくないと愚図り始め、結局おもちゃを買うことで納得させます。甘すぎる気もしますが、小職が幼稚園児の頃はマクドナルドに釣られて勉強させられていたので、あまり文句は言えません。ただ、今回はあえておもちゃを買う意図がありました。というのは、通夜が1530分から20時頃、葬式が10時から15時過ぎと長丁場で、子供たちは直系卑属なので節目節目には立ち合いが求められますが、何でも家内の実家のある富山県のお葬式は荘厳な雰囲気だそうで、それ以外の時間は控室で大人しく遊ばせておく必要があるからです。この2日間で約10時間を乗り越えるためには、多少のおもちゃは必要でしょう。両親が共働きだったため家内姉妹は祖母に面倒を見てもらう機会が多かった家内姉妹や家族が静かにお見送りをするための、小職はいわば子守役です。こうした式を何回か経験している4歳の息子は意外とお利口に座っていることも多かったのですが、何もわかっていない2歳の娘はおばあさんの布団の上に寝転がったり、やりたい放題でしたが、実家の母の名代として出席した兄のおかげもあり、つつがなく2日間のスケジュールを終えることができました。

それにしてもお葬式もだいぶ様変わりしました。20年以上前に祖母が亡くなった時まではお葬式は家でやっていました。会社関係者など大勢が手伝いに来て、町内の主婦が集まって食事の準備をしたり、町内総動員だった事を思い出します。都会では葬儀場で式を挙げる人が多くなっていましたが、父が亡くなった3年前にはもう滋賀県でも家でお葬式をする人はおらず、葬儀場で行うとこんなに合理的で負担が少ないものだと感心していました。富山の片田舎でも式場が整備されていて、受付などは町内会の人たちに助けて頂きました。ただ、その方たちの中でも家内と同年代の方とお話していて、町内会も高齢化が進んでいて、いったいいつまでこのスタイルが踏襲できるのかと思いました。81歳の母の代ではぎりぎり地元で式を挙げられるけれど、兄や自分の代なら滋賀県で式を挙げることも無いかもしれず、そう考えると地方のコミュニティーの破壊は思った以上のスピードで進むのかもしれません。

そうした地方の疲弊を防ぐために、地域通貨を有効活用すべきではないかと以前ご紹介させて頂きましたが、少し舌足らずの部分があったので、もう少しご説明させて頂きたいと思います。この地域通貨の考え方は、遡れば小渕内閣の地方振興券に辿り着きます。地域限定の商品券をばらまいて消費を喚起させようとしたのですが、結局、商品券は必需品の購入に回り貯蓄が増える結果に終わったと一般に評価されている様です。続いて2000年代に入ると商品券や通帳型の地域通貨やポイントサービスが数百種類発行された様ですが、高田馬場近辺で使用されたアトム通貨以外、あまり成功した例がないと聞きます。このアトム通貨は手塚プロダクションが高田馬場にあったことに因んで発行された様で、券面にはアトムのイラストが描かれ、アトムの10万馬力に因んで1円=1馬力(Horse Power)に定められているそうです。このキャッチ―さが成功の一因となったのかもしれませんが、小職に言わせれば、これはいけません。こんな可愛らしい商品券なら使うのが勿体なくなってしまいます。目的はあくまで地域経済の活性化で、金離れを良くしなければ意味がありません。

これに対し、電子マネーはお金を払う時の痛みが少ないという研究結果があります。すなわち、地域通貨など消費を喚起させるためには痛みの少ない電子マネーにするべきだという事です。こうした流れに乗って香川のめぐりんマイルや盛岡のMORIO-J、苫小牧のとまちょっぷポイント、新潟県阿賀野市のあがのポイントなどICチップ入りカード式の電子マネーが登場し、まずまずの成功を収めている様です。

ただ、これでも不十分だと考えています。ICチップ式カードの場合、加盟店は読み取り機を導入する必要があります。どうやら、この非接触式決済というのは日本の誇るガラパゴス技術で(というのは若干言い過ぎですが)、中国を始め世界ではQR決済の方が普及しています。理由は加盟店はQRコードを提示するだけで済み、負担が少ないからです。また、クレジットカード、ポイントカード、電子マネーとカードだらけで、電車の定期の様に毎日必ず使う者ならばともかく、地方のカードを圏外の人が使う事など想定できません。実は、現在流通しているICチップ型の電子マネーの多くは大手ショッピングモールと提携していて、そうした経済圏で流通することが多い様で、それでは地元の人が地元で買い物をするのが便利になっているだけで、地域活性化といった大それた経済効果は期待薄の様な気がします。

そこで最近出始めたのが、飛騨高山を中心としたさるぼぼコイン、木更津のアクアコイン、浜松近郊の地域コイン(実証実験)などブロックチェーンを利用し、スマホで、QR決済を行う仕組みです。スマホ決済でカードを何枚も持つ必要は無く、QR決済で加盟店の負担も少なく、発行時などのポイントサービスで購入側にもお得感があります。そうしたことから相応の成功を果たしていると聞きますが、残念なのはこれらの発想の多くが、地元の利用者の消費を域内で完結させるための仕組みであることです。運営主体が地域金融機関なので、当然と言えるかもしれません。域外の人は現地に赴いてチャージをする必要があります。これに対し、長崎のしまとく通貨は先進的な取組みで、現金5000円で6000円分のプレミアム商品券を購入するサービスで、事前にウォレットを開き、クレジットカードで購入が可能です。これを使って域外から旅行者を呼び込もうという施策の様です。5000円で6000円分の消費が可能で、この差額は補助金等で補っている様です。当初は紙で発行していたのですが、コスト負担が大変で、やむにやまれず発行額を減らし、電子化にも踏み切った結果、全国的な注目を集めています。ただ、対馬・壱岐・五島など長崎県の離島が対象で、そこまで切羽詰まっていたからこそ、ここまで大胆な施策に打って出たということなのでしょうか。気軽に行けるところではないですが、個人的には期待しています。東京近郊でもいち早くこうした流入者を増やす取り組みを行う地域が出れば使ってみたいと思います。因みに、都心ではSBIグループのSコインがUCと組んでお台場コインを発行、大阪ではあべのハルカスでハルカスコインが発行され、それぞれ実験を始めている。こうした地域コインをふるさと納税の返礼品で提供すれば、結構な集客効果が見込めると思っています。ただ、できれば東京から12日圏であれば助かります。

ともかく、こうした地域通貨と言った新しいサービスが普及するのに重要なのは、利用者、店舗側、そして運営側、この場合は地域、3者にとってメリットのある形を作り上げられるかでしょう。滋賀県出身の小職的には、売り方よし、買い方よし、世間よし、近江商人の三方よしの精神が成功の鍵だと思っています。因みに、こうしたスマホ決済という話になると高齢者が使いにくいのではという話になりますが、代替わりが進むでしょうから、そんなに心配していません。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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