• TOP>
  • コラム>
  • 利根川と荒川がハードフォーク~ブロックチェーンを川に例えてみよう

利根川と荒川がハードフォーク~ブロックチェーンを川に例えてみよう

2019-04-15 18:44[ にく

仮想通貨小噺 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム

土曜日はゴルフに行って来ました。最近、子供たちを置いて土日の昼間にゴルフに行くことに対する風当たりが強く、先日、茨城でプレーした際は家族とツインリンク茂木に宿泊し、小職は4時半に起きてゴルフ場に行き、プレー後、茂木に戻って家族と合流しました。今回は群馬と埼玉の県境に近い板倉というゴルフ場で、最寄りが東武日光線の板倉東洋大前だったので、小職は電車でゴルフ場に向かい、プレー後に新三郷のトーマスタウンで落ち合うことにしました。板倉東洋大前から新三郷まで東武線を新越谷で武蔵野線に乗り換えて1時間15分程度です。トーマスタウンの隣には赤ちゃん本舗があって、そこでボロボロになっていた息子の靴を新調しようとしたら、靴売り場のすぐ後ろのおもちゃ売り場で動こうとしません。こんな普段の休日におもちゃを買い与えるのは教育上よくないのですが、自分が1万円以上かけてゴルフをしていて、数千円の子供のおもちゃを買わないのはフェアじゃないな、と思いつい買ってしまいました。息子には最近始まった戦隊物リュウソウジャーの武器リュウソウケン、娘にはリカちゃんの病院セットです。遊園地のフリーチケットなどと比べれば、意外とおもちゃは安いものです。教育上、問題なければですが。

前日におもちゃを買ったので、翌日はリーズナブルに川の博物館に行きくことにしました。初めて行ったのですが、ここは、夏場は非常に人気が高い施設で、水上アスレチックが子供たちに大人気で夏場は結構混んでいるそうです。規模は然程ではないのですが、進むにつれて難易度を増し、最後の浮きを浮かべたプールの上を歩いていくふらふらフロートでは、子供の救出に向かったはずの小職の重みに浮きが耐えられず、ひっくり返ってビショビショになるという失態を演じてしまいましたが、お天気が良くて助かりました。その博物館の方ですが、これがなかなか充実していて、屋外に大きな水車や、1/1000の荒川の源流から河口までの模型、ミニ水族館、折り紙教室や鉄砲水の実演など大人も子供も楽しめる内容になっています。近くの河原に車で入ることも出来て、これからシーズンにおすすめです。

ところで、その中で驚いたのが、荒川の瀬替えです。NHKのお正月番組、「家康、江戸を作る」でも紹介されていましたが、家康に命じられた伊奈忠次が東京湾に流れていた利根川を銚子近くの太平洋に改修した事は有名です。江戸を洪水から守り、流域の湿地を水田に換える治水対策とも、東北諸藩から江戸を守る軍事的目的とも言われ、また日本海側から房総半島を迂回せずに江戸に達する水運の整備の為とも言われています。また神田川が江戸の上水を確保するための運河であることはよく知られています。ところが、江戸初期に荒川の流れも大きく変えられていた事は知りませんでした。川口市民ですから、元は墨田川のルートを通って海に流れていた荒川を赤羽岩淵で堰き止めて大正時代に今の荒川のルートを新しく作ったことはよく知っています。ところが、利根川の東遷を手掛けた伊奈忠次の息子、伊奈忠治が元々、利根川と合流していた荒川の水路を熊谷近くで堰き止め、新しく川を作って入間川と合流させたそうなのです。この結果、関東平野は東京湾に流れ込む荒川と太平洋に流れ込む利根川という2大流域が平行して流れる形となり、その間が様々な河川や運河で結ばれ、洪水を防ぎ、田畑が整備され、水運が発達し、江戸時代を成立させた訳です。これを荒川の西遷と呼ぶそうです。

仮想通貨的に言えば、江戸ひいては今の東京は利根川と荒川がハードフォークして出来上がったと言えるのではないでしょうか。このブロックチェーンが分岐して全く別の流れとなる事をハードフォークと呼ぶことはよく知られています。代表的なものでETHとイーサリアムクラシック、BTCとBCH、BCHとBSV等です。それとは別にサイドチェーンというものがあります。これは元のチェーンから分岐させて新しいチェーンを作り、処理能力を早くしたり親チェーンと互換性の高いアプリを開発したりすることが可能になります。有名なところで、BTCの開発を担っているBlockstream社が開発したLiquidが挙げられます。ブロックチェーン業界で初の政府のサンドボックス制度に認定されたCrypto GarageによるBTCと他の仮想通貨や法定通貨とのアトミックスワップ(≒同時履行)はこのLiquidのチェーン上で行われるとのことです。他にもLISKにもサイドチェーンが存在し、また先日、TRONの創始者のジャスティン・サン氏がサイドネットのSun Networkの計画を発表してTRONの価格が上昇しました。最近クロスチェーンといった言葉を耳にしますが、サイドチェーンはTRONとETHの互換性を実現するなど、今までのチェーン上では成し得なかった事を実現させる技術として期待されている様です。川に例えると、墨田川と荒川、利根川と江戸川といった形でしょうか。人工的に川を分岐させて、流れを早くしたり、水運を活発化させたりしている訳です。

これとは別にオフチェーン取引というものがあります。最近ではライトニングネットワークが話題となっていますが、代表的なものは交換所です。交換所の取引は瞬時に完結します。これは、個々の参加者が買ったり、売ったりしている取引を、1件毎にブロックチェーン上に記載しないからです。通常は、交換所と顧客との取引は記載せず、交換所から入出金したり違う業者にカバー取引を行ったりした交換所外との取引のみブロックチェーンに記載します。最低でも1取引に10分要するBTC取引をいちいち書き込んでいたら、交換所という仕組み自体が成立しないかもしれません。この様にある程度の取引を貯めたり相殺して、重要な部分のみブロックチェーンに記載する取引をオフチェーン取引と呼んだりします。ライトニングネットワークもその一種で、何度も取引が行われ、ある程度相殺したり中間を省略したりしたものをブロックに書き込みます。送金を何件か纏めてシャッフルし匿名性を高めるミキシングもオフチェーン取引です。(不要かもしれませんが)川に例えると、川から池を切り離して、大事な時だけ貯めたり、流したりする、荒川で言えば彩湖、利根川水系なら渡良瀬の遊水地のような存在です。

ところで、何故こうしたサイドチェーンやオフチェーン技術が必要とされるのかと言うと、既存のブロックチェーンは処理速度や処理容量に限界があるからですが、その流れを変える、すなわちハハードフォークするのは参加者の合意を取るのが容易ではないからです。荒川の西遷も、結局、下流の洪水区域が変わっただけという批判もあり、その後、百年以上かけて細かい改修を続けて今の形があります。そこで本チェーン以外の流れや貯水池が必要になる訳で、オフチェーン取引とサイドチェーンは本質的には同じことを目指していて、大雑把に言えば、それを交換所のサーバー上で行うか、サイドチェーンという一応ブロックチェーン上で行うかの違いですが、本チェーンではないのである程度の管理者は必要となってきます。便利さと中央集権はある程度トレードオフの関係にあるからで、これも護岸工事などの治水と自然保護の両立と似ているかもしれません。なんと、ここにハードフォーク、サイドチェーン、オフチェーンという横文字で何となく分かり難い概念が川の流れに例えられてしまった訳です。400年経っても人間の営みは本質的に変わらないという事なのかもしれません。やや強引で厳密性に欠けるかもしれませんが、分かり易さを優先した結果としてご容赦ください。

治水関係で一度是非訪れてみたい施設の一つに春日部の防災地下神殿があります。国道16号線の地下50メートルに6.3キロにわたって掘られたトンネルで同じものは神田川や環7の地下にもあるそうですが、春日部の貯水槽はイスタンブールの地下貯水槽に因んでか地下神殿と呼ばれています。因みに、子供たちを川の博物館に連れて行ったのは、息子がおもちゃの武器を使ってバトル遊びをするのがブームで、広くて人の少ないところに行こうと思ったからですが、奥行7メートル、幅2メートル、高さ18メートルの柱が59本並ぶ地下神殿でバトルしたら面白そうです。そのうち、このレポートでご紹介出来たら幸いです。結局、頻繁におもちゃを買い与えるのはお父さんが欲しいだけだったのかもしれません。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

アーカイブ