2019.4.19【そろそろ60万円台に乗せると考える理由】

2019-04-19 21:44[ 松田康生

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Review

Binanceショック

今週のBTC相場は底堅い展開。55万円台で下値を確認すると、レンジの上限を探る展開となった。57万円近辺で方向感のない取引を続けていたが、BinanceのCEO、CZ氏がBSVの上場廃止を呼びかけ、実際に廃止を決定すると、BSVは急落、BCHは急騰したが、他の交換所やウォレット業者も追随したことも嫌気され、先週に続き再び55万円台へ下落した。しかし、その水準で下げ止まると、SBIバーチャルカレンシーの取扱中止を受け下落していたBCHが切り返し、またOKexがBSV取引の継続方針を示すと上昇に転じ、ノートルダム寺院再建募金がBTC・ETHでも行われると仮想通貨ならではの実用例と好感されたせいか58万円台へ値を上げた。その後、トークンセールスに絡む中国系交換所の巨額資金調達やBinanceコインの上昇、更にNY州のカストディー免許申請検討がBakkt承認に向けた一歩という見方もあり59万円台を付けたが、60万円を前に失速している。


Outlook

Bakktは買い材料だが、上値も重くする

来週のBTC相場はレンジの上限を探る展開を予想する。先週は「下限を探しに行く展開」を予想、下値の目途として53万円、51.5万円、最弱シナリオとして46万円と申し上げた。実際、相場は下値を目指したが、55万円で下値を固めると上値を探り始めている。そうした中、興味深い動きも見られ始めた。一つはBakktのカストディアン申請だ。今朝のDaily Reportと重複するので、そちらをご参照いただきたいが、これによりBakktの承認に一歩近づいた。一方で、CFTCの承認はこのカストディアン申請が完了してからになるので、おそらく今年前半は無理だろう。おそらくは、この期待感で60万円台に突入するも上値が重く、半年ほど経過して70万円突破の材料になるイメージだろうか。

ノートルダム寺院再建募金とフランス政府の後押し

都市のことをCITYと呼ぶが、ノートルダム寺院があるシテ島が語源だ。市民(citizen)とはシテ島に住む人が転じたものだ。カエサルの頃から人が住んでいたこの島の象徴の消失が欧米社会に与えたショックは、英語圏でない我々には想像を超えるものかもしれない。それ故、世界中から寄付が集まっているが、注目すべきは仮想通貨での寄付が始まり、更にフランス政府がそれを推進しようとしている点だ。ご存知の通りフランス政府も仮想通貨推進に積極的で、自ら法整備を行い、EU諸国に続くように求めていた。同様の動きをしている日本と主導権争いとなる可能性も頭によぎったが、今回の悲劇で流れが変わるかもしれないと期待している。即ち、世界中から少額で送金できると言う仮想通貨の利点を、国際社会が協力して引出て行こうという流れだ。当初、2日間で1000億円以上の寄付が集まり、仮想通貨の出る幕はないかと思われたが、大富豪による100億円を超える寄付に非難の声が上がっており、そうではなく、世界中からの少額の寄付こそ意味があるとフランス人は考え、そして仮想通貨こそがそれを可能にするという認識が広まるチャンスとなった。先日、北野一氏の仮想通貨の背景に抵抗権があると紹介したが、流石は世界で初めて抵抗権を人権宣言に取り入れたフランスならではなのかもしれない。

そろそろ60万円乗せ

4月5日のWeeklyで、50万円を割れた昨年11月11日から35万円でダブルボトムを付けた2月7日までの出来高と、翌2月8日から50万円を回復した4月2日までの出来高が偶然にも約4900億ドルで一致したとご紹介した。そこで次の60万円台に乗せる目途として、80万円台から急落した9月5日から11月12日まで、要は60万円台近辺で揉み合っていた時期の出来高2780億ドルを、4月3日以降の出来高が上回れば、その頃の出来たポジションの戻り売りを捌いて60万円台乗せが見えてくるとご紹介したが、昨日時点で2400億ドルに達している。大雑把な分析だが、来週のどこかで60万円に乗せても不思議ではないし、GW中は更に怪しい。

予想レンジ BTC 50万円~65万円

そうした中、今回は60万円にワンタッチではなく、きちんと乗せて行くのではないかと考えている。むしろ60万円台に乗せ、買いが集中したところで5月に反落するイメージでいる。Sell in Mayだ。

Altcoin


ETH:今週のETH相場は堅調な展開。先週の2万円台からは反落したものの、米SECにSTOが申請された事もあり18000円台で底堅さを見せると、コインチェックがOTC取引にETH・XRPを追加したこともあり19000円近辺に値を上げる展開。しかし、BinanceのBSV上場廃止で仮想通貨相場が全面安となる中、一時18000円を割り込んだが、この水準で底堅さを見せると、ノートルダム寺院再建募金でBTCとETHが採用されると上昇に転じた。中国系交換所Gate,ioの独自トークンによる70億円とも300億円とも3000億円とも言われる巨額資金調達は、IEOの過熱感を示しているといった見方や中国本土でのICO禁止の抜け道となっているなど様々な見方が出たが、ETHから見るとICO復活への期待感もあったのか19000円台を回復。しかしBinanceコインがイーサリアム上からメインネットへシフトしたこともあり若干勢いを失っている。

今週のETH相場は引き続き底堅い値動きを予想する。大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤングがイーサリアム上でプライベートな取引ブロックチェーン上で促進するためのプロトコルを発表した。フォーブスが発表したブロックチェーン技術を利用しているトップ企業50社のうち23社がイーサリアムを利用している。企業分野で双璧をなすハイパーレッジャーとR3のコルダの2大プライベートチェーンにパブリックチェーンで唯一食い込んでいる形だ。社会のインフラになりつつあるETHの重要性は今後増すばかりだろうが、重要なことはこうした肥大化に対応できる拡張性を証明し続けることにあると考える。

XRP:今週のXRP相場は堅調な展開。目立った材料も無く36万円台での揉み合い推移を続けていたが、コインチェックがOTC取引にETH・XRPを追加するとの報に若干値を上げた。しかしBinanceショックによる全面安もあり36円を割り込むも、その水準では底堅さを見せていた。リップル社の投資部門が匿名技術を持つZcashへの出資を発表したこともあり37円台に値を上げるたが、更に米国を基盤とするHuobi.comでXRPの取扱い開始がアナウンスされたが、既に38円台まで値を上げていたこともあり上値を重くした。

先週ご紹介した通り、リップル社のロックアップ解除による売り圧力が断続的に続くXRPにとって出来高が重要だと申し上げたが、今週前半10億ドルを割り込んでいた(CoinMarketCap)出来高がここに来て10億ドルを回復している。相場が反発したから出来高が増えたのか、出来高が増えたから反発したのか、おそらくその両方だと思われるが、比較的良い兆候か。本邦交換所の一部では新規口座開設キャンペーンが行われており、そうした中で新規の参加者が増えてくれば、本邦で人気が高いXRPの需要が高まるものと思われる。

BCH:今週のBCH相場はBinanceショックもあり大きく上昇。その後は高値圏での揉み合い推移となっている。先週末にBinanceのCEO、CZ氏がBSVの上場廃止を呼び掛けたところ、BSVが下落する一方、BCHは上昇する展開となり、更にBlockchain WalletがBSVのサポートを停止、Shapeshiftも上場廃止、Krakenも廃止を検討するなど追随する動きが続く中、BCHは堅調に推移した。更にBinanceが実際に上場廃止を発表すると36000台へ急騰した。しかし、今回の騒動のきっかけは、BSVの中心人物クレイグ・ライト氏が仮想通貨コミュニティーの人物を名誉棄損で訴えようとした事に対しCZ氏が運営に問題ありとしたものだが、トピックで申し上げた様に、BSVの運営に問題なしとはしないものの、そうであれば当初から審査で落とすという日本式ルールの方に一理あり、BCHを除き仮想通貨相場は全面安の展開となり、BCHも上値を重くした。続いて、SBIバーチャルカレンシーが51%の危険性などを理由にBCHの取扱い中止を発表、一旦BCHは下落するも反発を見せ、またOKexがBSV取扱継続を打ち出すと混乱は収束する方向となった。今回の上昇はBCHが評価されての動きではないが、5月のアップデートに向けた期待感もあり、当面は相場は底堅さを見せようが、その後の反落には注意したい。

LTC:今週のLTC相場は目立った材料は見られなかったが、比較的堅調に推移した。先週、LTCのハッシュレートが過去最高を更新したことが伝わると9000円台を回復したが、Binanceショックで仮想通貨相場が全面安となる中、再び9000円割れへ下落。その後はBTC相場の回復もあり再び9000円台を回復している。昨年のBCH・BSVの分裂騒動時にBSVのクレイグ・ライト氏はLTCへの攻撃も公言しており、今回のBSV排斥の動きはLTCにも若干プラスに働いた側面もある。LTCの創始者チャーリー・リー氏も自信のSNSで状況をリツィートしていた。一方で、上記BCHの51%リスクは同じアルゴリズムを利用するLTCにも当てはまる訳で、問題なしとは言えない。そうした状況が、今週の何とも言えない値動きに反映されているのかもしれない。ただ、BCHと異なりLTCはハッシュパワーだけでなく出来高も早々に回復しており、当面は底堅い値動きを続けよう。


FXcoin Weekly Report 2019.04.19.pdf




松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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