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仮想通貨市場に機関投資家が参入するには (1)

2019-05-14 15:01[ れんぶらんと

金融リテラシーのお話 仮想通貨 暗号資産

1.仮想通貨市場が流動性と安定性を持つには多種多様な市場参加者が不可欠。
2.機関投資家が仮想通貨市場で待望される理由の主なものは3点。
  ・ 運用資産額が大きく流動性が高まる。
  ・ 運用スタイルが相場の安定に寄与する。
  ・ 市場参加者の健全な競争が促される。


以前に2月12日付当欄「仮想通貨市場と外国為替市場の比較(2)流動性と安定性のために」で、”仮想通貨市場が外国為替市場と同様の流動性と安定性をもつには、多種多様な市場参加者を呼び込むことが不可欠”と書きました。現在の仮想通貨市場における市場参加者はそのほとんどが投機目的の個人であるといわれており、株式(個人の比率は17%)や外国為替(同 50%)などの他の金融市場と比べて偏りがあるといえます。

そのような状況において、今後参入が期待されている市場参加者の最右翼は機関投資家です。今回は仮想通貨市場と機関投資家との関係について説明します。


1.機関投資家とは

機関投資家とは、「個人投資家、企業等の顧客から預かった資金を基にポートフォリオを構築・運用するプロの投資家」(*1)で、生保、投信、投資顧問、年金基金、信託銀行がそれに該当します。機関投資家の運用資金は、保険会社であれば保険加入者の保険料であり、投信や投資顧問であれば顧客のファンド購入資金、年金基金であれば年金加入者の保険料です。機関投資家は顧客に対して運用に関する説明責任があるため、リスク管理が厳格であり機敏な動きは取りにくいため、長期スタンスでの投資となる傾向があります。

2.機関投資家が待望される理由

機関投資家が仮想通貨市場に参入することが待望されている理由はいくつかあります。

第一の理由は、運用資産額です。例えば世界最大の資産運用会社である米ブラックロックの運用資産は2019年3月で6兆5200億ドルです。これは同じ時期の仮想通貨市場の時価総額1,444億ドルと比べて、45倍の規模です。文字通り桁違いの規模で、仮にブラックロック1社が運用資産の1%でも仮想通貨にシフトさせれば、仮想通貨市場の流動性が一気に高まることになります。

第二の理由は、運用スタイルです。機関投資家の運用スタイルには様々なものがありましが、代表的なものは「パッシブ運用」と「アクティブ運用」です。前者は基準とする指標(ベンチマーク)を決めてそれに連動する成果をめざし、後者はそれを上回る成果をめざすものです。

一般社団法人投資信託協会の統計によると、株式投信の場合パッシブ運用の比率は全体の84%となっています(*2)。つまりパッシブ運用が大部分を占めています。複数の仮想通貨でポートフォリオを組んでパッシブ運用を行った場合、値上がりした通貨を売って、値下がりした通貨を買うことになります。これらの投資行動は結果として、それぞれの通貨の値動きを安定させる方向に働きかけることになります。

第三の理由は、市場の健全化が図られることです。機関投資家は顧客から預かった資産を運用しているため、その投資方針,手法そして取引先の選定、など関して説明責任があります。ここでいう取引先とは仮想通貨交換業者を指します。

つまり仮想通貨交換業者は、大口顧客である機関投資家と取引するには、価格提示力のみならず、自社のリスク管理や法令遵守にいたるまで、同業他社との競争にさらされることになります。このような競争を通して市場は健全な発展と拡大が促されることになります。

つまり、機関投資家が市場に参入することによって、流動性の向上,相場の安定、そして市場参加者の健全な競争が促されることが期待されているのです。

(以下 次号に続く。)

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(*1) 日本銀行 マーケット・レビュー 「わが国機関投資家の資産運用行動について」(2003年3月28日)より。

(*2) 2019年3月の「株式投信の商品分類別内訳」によると、株式投信の純資産額合計は101.5兆円、うちインデックスファンドとETFの合計は84.8兆円。



れんぶらんと

17世紀に活躍したオランダの画家レンブラント・ファン・レインの作品をこよなく愛する自称アーチスト。 1980年代後半のバブル期に株式および外貨資産投資を始め、いい思いをしてから投資の世界にどっぷりつかっている。

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