どうなるXRP?出来高に見る復活の兆し。

2019-05-17 20:49[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 リップル

36万円台の今年最安値を付けた2月7日からBTC相場は一時91万円台と2.5倍に上昇したが、今年に入っての上昇相場でXRPの出遅れが目立っている。今年最安値を付けた4月26日からは5割以上の上昇を見せていたが、そもそもこの地合いで4月に今年の最安値を付けていること自体が驚きだ。年初来で見るとパフォーマンスの悪さが際立っている。何故、XRPはここまで上値が重いのだろうか。

元GSのノボグラッツ氏は、BTCはデジタルゴールドとしての地位を確立しつつあるが、ETHやXRPはユースケースを示す必要があるとした。ETHはスマートコントラクト、そしてXRPは国際送金や決済への利用が期待されている。相次ぐライバルの出現にこの決済面での将来性が危惧されているという見る向きもある。しかし、JPMコインはJPモルガンのコルレス口座間でしか利用できず、そうであればSWIFTで事足りるし、IBM・ステラ連合のWorld Wireはまだテスト段階だ。詳細は別稿をご参照いただきたいが、xRapidでXRPを使った送金を実用化しているXRPが先行している状況に変わりはない。次にxRapidを利用してもXRPの需要は大して増えないという見方もある。これも別稿でご説明したが、それはその通りで、XRPは送金に要する数秒間だけ必要なもので、それも売り買いが同時に発生するので需給には殆ど影響を与えないと考える。ただ、その方法が一般的になると、グローバル企業が銀行を通さずにXRP送金し始め、その手元資金需要が飛躍的に伸びると予想している。それはずっと先の話しかもしれないし、意外と早く訪れる可能性もあるだろう。JPモルガンも同じところに目を付けていて、トレジャリーサービスが最終目標としている。その際に銀行を中抜きされない様に同社の口座間でしか決済できない様に設計されているのだと推測する。

この様にXRPの実用面での優位性や将来性には変化はあまりないと考えている。ただ、市場の評価がここまで低いのには市場参加者はこのスピード感に満足していない表れでもあり、リップル社には奮起をお願いしたいところだ。では、送金ツールとしての将来性の問題で無ければ何が問題なのだろうか。ひとつはリップル社からの売り圧力が挙げられる。この点の分析は別稿で行っているが、現水準の価格と出来高であればあまり問題にならないと考える。即ち、マイナーの売り圧力の影響は価格に関係ないが、リップル社の売りは開発コストなどに充てられるため定額に近いと推察され、そうすると価格が上がれば売り枚数が減少する(同じ枚数であれば単価が上がった方が出来高が上がるというのと同義だが)。

もう一つ、既に高値で買ったロングが溜まっているからという事が考えられる。というのは、XRPはxRapidの実用化を材料に昨年の9月から11月にかけて結構買われていたという点が他通貨と若干異なる。また昨年末から今年の年初にかけても、比較的買われていた。


上は昨年9月以降のXRP相場(ドル建て、左軸、単位はセント)と出来高(右軸、単位は百万ドル)を並べたものだ。中央付近にある数字はXRPが40セント以上で推移した9月20日から11月23日まで(期間①)の出来高合計及び同じく35セント以上だった12月18日から1月9日(期間②)の合計、そしてXRPはついて行けなかったが他通貨が上昇を始めた4月2日以降(期間③)の合計だ。これを見ると、期間①の出来高486億ドルと期間②の152億ドルを期間③の679億ドルがちょうど追い抜いたところだ。即ち、期間①と期間②の含み損を抱えたポジションを上回る買いが、この1か月強に出ていて、そうした売り圧力を呑み込んでいる可能性が高い。これは、あくまで目安に過ぎないが、今回の上抜けは起こるべきして起こったのかもしれないし、この売りをこなせば、今後は今までの出遅れを取り戻す様な強い相場が訪れても不思議では無い。

加えて、今回の仮想通貨相場の地合いの強さの背景として本邦の交換所の新規顧客のフロー韓国ウォン安から来る逃避フローを挙げていた。こうしたXRPの人気が高い地域からのフローを背景にXRPはもう一段の高値をトライするものと考えている。取り敢えずは昨年11月の高値64円程度がターゲットか。

 

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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