2018.8.24 【70万円を挟んで乱高下も底堅さ見せる】

2018-08-24 23:12[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産

【70万円を挟んで乱高下も底堅さ見せる】


Review

CBOE以外のETF否認も切り返す

先週のBTC相場は底値圏での方向感の薄い展開。69-73万円のレンジで推移していたが、水曜日にレンジの上限をブレークし75万円台を付けている。月曜SBIが見做し業者であるラストルーツに出資との報道を受け72万円台に戻すも頭の重い展開。BakktのCEOが11月予定の先物市場でレバレッジを認めない方針を示すと68万円台に値を下げた。しかし翌日には現物決済する市場にレバレッジは適さないという冷静な見方もあり71万円に戻すと、大口の買いもありBitmexがシステムをメンテしているタイミングで75万円台にショートカバー。その後、中国での規制強化の動きを嫌って71万円台に戻すとSECのCBOE以外の9つのETF否認を受け69万円台に急落した。しかし悪材料が出尽くしたためか反発、SECが再審査するとの報道に72万円台まで値を戻している。

Outlook

CBOE経営陣のETF承認楽観視もあり反発

先週水曜日の急騰は高レバレッジ取引で有名なBitmexのシステムのメンテナンスで止まっている間に他の市場で大口の買いが入ってショートカバーを誘発した。その結果、一時的にせよ上値の目途であった73.5万円を上抜けたが、一時的な要因だと重視しない向きも多い。しかし、やり方はともかくショートカバーを誘発したのは投機筋の売りポジションが溜まっていたからで、なぜ溜まったのかと言えば市場心理が改善し押し目買いが出て来たために下値が堅くなってきたからで、上値の目途となる73.5万円をブレークした意味は大きい。ETF否認で下げた相場がリバウンドしたことも相場の底堅さを示している。背景にはSECが小出しにせずCBOE申請中のもの以外のビットコインETFを一気に否認したことで悪材料出尽くし感を醸成したとも言われている。いずれにせよ市場の潮目は変わったと見ており、ショートカバー地合いが続こう。

否認されたETFと次のETFとの違い

ところで今回の否認で逆にCBOE申請分(正確にはVanEck SolidX Bitcoin Trust分でCBOEが深くかかわっているとされる為にそう呼ばれることが多い)に対する市場の期待が高まっている。ただ今回否認されたETFとCBOE分との違いが市場で十分に理解されているかといえば心もとない。下に一連のETFの概略を比べてみた。まず分かるのは、いずれのETFも延長を繰り返した結果、判断に至っており、CBOE分が9月30日に結論が出る可能性は低い。CNBCのコメンテーターであるブライアン・ケリー氏はETF承認は早くて来年2月と予想している。

次に否認理由だが、今回はSECは詐欺と相場操縦を理由に挙げている。それをクリアするためには市場が操作されにくいほど十分に大きいことが必要とされている。この点で昨年出来たばかり先物市場は不十分とされ今回の9件は否認となった。CBOE分と同じビットコイン現物で運用するウィンクル兄弟分についてはGemini単体の価格を時価評価などに使用するのでは容易に操作されると否認された。この点、CBOEの使用するIndexだと複数の取引所から数字を取るので操作はされにくい、これがCBOE分が期待されている理由の一つだ。

ところがこの条件をクリアするにはもう一つのその市場が規制されていることが条件とされている。今回の先物市場で運用を行うETFの際には問題にされていなかったが、現物を扱うウィンクルボス兄弟の際にはその点が明記されている。そう考えると、9月末までにその条件がクリアされるとは考えにくく、承認は早くて来年で、その間にある程度の規制だとか自主規制だとか詐欺や相場操縦を防止されたと納得させる材料が必要なようだ。

ファンド名 WINKLEVOSS BITCOIN TRUST  PROSHARES TRUST II  GraniteShares ETP Trust Direxion Shares ETF Trust VanEck SolidX Bitcoin Trust
申請日 2016.6.30 2017.12.4 2018.1.5 2018.1.4 2018.6.20
判断期日 (何度か再提出) 2018.8.23 2018.9.15 2018.9.21 2018.9.30
承認・否決日 2018.7.26 2018.8.22 2018.8.22 2018.8.22
上場先 CBOE BZX NYSE Arca CBOE BZX NYSE Arca CBOE BZX
投資対象 Bitcoin現物 CBOE先物 CBOE・CME先物等 CBOE先物 Bitcoin現物
特徴 現物保管 ロング・ショート ロング・ショート レバレッジ 現物保管
(保険付き)
ベンチマーク Gemini取引所 CBOE先物 CBOE・CME先物 CBOE先物 MVIS Bitcoin OTC Index

まずは80万円 

来週は、BTC相場はこの1か月で30万円近く下落した。行き過ぎた売りポジションの巻き戻しはまだ始まったばかりで7月24日からの下落の半値戻しとなる80万円近辺までの上昇が予想されるが、その近辺では上値が重くなろう。

予想レンジ BTC 70万円~85万円

Altcoin

ETH:週初こそBTCのドミナンツ(時価評価に対する占有率)の巻き戻しもあり大幅な上昇を見せていたが、300ドル(日本円で33000円近辺)に戻しきれず失速。アップルの共同設立者で伝説の技術者スティーブ・ウォズニアックがイーサリアムはかつてのアップルコンピューターのようだ(その上に人々がどんどんアプリを載せていく)とのコメントに戻す場面も見られたが、BTCの戻しについていけず下げ局面だけ連れ安となる形で一時30000円を割り込んだ。



XRP:週初は急騰で始まったが、その後急落。20日からBittrexでドル建て取引が開始されるとの期待もあり値を戻したが、その後失速。週後半に一部訴訟が取り下げられたとのニュースが出るも反応は限定的に止まった。



BCH:英取引所にて先物取引が開始されるなど値を戻して始まったが、11月に予定されるハードフォークに関し、Bitcoin ABCが128MBへの拡張を発表したのに対しBitcoin United側が反対。分裂を避けようと妥協する姿勢を見せたところ外野のイーサリアム創始者のヴィタリック・ブリテン氏が分割を恐れて妥協すべきでないとしたこともあり、頭の重い展開が続いている。また商用利用が減っているという報道にはコミュニティー内で応援団であるロジャー・バー氏への信頼が薄れているといった声も聞かれた。



LTC:他のアルトコイン同様、軟調な展開が続いたが、9月14-15日に開催されるライトコインサミットでライトペイが復活するのではないかという観測記事もあり週末にかけて値を戻している。



Calendar

8月28日 Blockchain Summit Singapore Cisco主催 IBM KPMG EY Deloitteなど大手が協賛
8月31日 Block Hedge Asia(Bangkok)仮想通貨業界で急速にプレゼンスを増してきたタイで開催
8月31日 CME BTC先物8月限最終取引日

FXcoin Weekly Report 2018.08.24.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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