2018.08.31【好材料続き上昇も80万円手前で足踏み】

2018-08-31 22:29[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 bitcoin Ethereum XRP Bitcoin Cash Litecoin



Review

ロイズが仮想通貨カストディアンに保険を提供

先週のBTC相場は上昇。前週のETF否認や中国での規制強化など悪材料が続く中、底堅さを見せたBTC相場はCNBCでCrypto Bullのトム・リー氏が年末2万ドル予想を堅持すると75万円台まで買戻され、LTC創始者チャーリー・リー氏が仮想通貨は買い場との発言に75万円台を上抜け、更にモルガン・クリードによる新たな仮想通貨ファンドや保険大手のロイズがカストディーに保険を提供するなど好材料が続き79万円台まで上昇した。しかし7月からの下落相場の半値戻しとなる80万円を手前に上値が重くなると、XRPの急落に続き、分裂騒動のBCHが値を下げると、BTCも75万円台まで反落。今朝方、CBOEがETH先物の年内導入を検討していると伝わると、77万円台まで値を戻している。

Outlook

「そのうち」は意外と早く訪れる

来週のBTC相場は上値を追う展開を予想する。ロイズの保険提供は機関投資家の市場参入にとって大きな一里塚だ。これにより投資家はハッキングなどのリスクからフリーになる。既定路線とはいえCBOEによる年内ETH先物開始報道も好ニュース。海外ではYahoo Financeで仮想通貨売買が可能となったが、Yahoo Japanグループも今春仮想通貨業者「ビットアルゴ取引所東京」を買収しており、日本のYahoo画面で仮想通貨が取引される日もそう遠くないかもしれない。楽天による「みんなのビットコイン」買収は、そう遠くない将来に楽天市場で仮想通貨が使用される様になる事を容易に想像させる。問題は、この「そのうち」が着々と実現していることだ。機関投資家の参入も決済における普及は進展は止まりそうもないし、思ったよりも早く到来するかもしれない。9月3日のレーバデー後に米投資家が市場に戻ってくれば一段の上昇が見込めよう。

国際会議ウィーク

ところで、9月7日にウィーンで開催されるEU財務相会議において仮想通貨のマネーロンダリングやテロ資金の防止などが議題に上がるとの報道が話題となっている。これに先立ち9月4-5日にOECDがパリでブロックチェーン国際会議を開催、仮想通貨への規制や各国政府に対するの影響を議論する。ここでもブロックチェーン技術を受け容れ、共存していくためにどのような規制が必要か話し合われる。更に、7月のブエノスアイレスでのG20中銀総裁財務相会議でマネロン・テロ資金に対する規制方針を10月のIMF総会に先立ちバリで開催されるG20に報告するようにFATFに求めたが、その内容を議論するFATFの中間会議が9月4-5日に杭州で開催される。すなわち、来週は仮想通貨を巡る国際的な規制議論の天王山であり、そうした国際会議から漏れ伝わるヘッドラインには注意が必要だ。ただ仮想通貨の普及は着々と進んでいる一方で何らかの規制が課せられることは避けようがなく、その先、すなわち「お墨付き」を得たうえで更なる発展が予想される訳で、こうした認識が進めば規制関連ヘッドラインもポジティブに受け取られる様になると考える。

上方向も不透明感残る

米ヘッジファンドらが徐々に市場に戻ってくることから早晩80万円を上抜ける展開を予想するが、上記の規制を巡る国際会議やBCHの分裂騒動などへの不透明感もあり上値は限定的か。

予想レンジ BTC 70万円~90万円

Altcoin

ETH:Morgan Creekの仮想通貨ファンドの立ち上げ、Yahoo Finance画面上でのETH売買開始など好材料に恵まれ3万3千円(≒米ドルで300ドル)乗せをトライするも失速。CBOEが年内にETH先物開始との報道に切り返すも上値が重い展開。今年前半のICO金額は約1.3兆円に上り、中でも大口のTelegramの1800億円、EOS 4400億円の募集期間を5月および6月に終えている。こうして集めたETHをプロジェクト側が果たして売却しているか否かは定かではないが、市場の重しになっているのは事実。当面は上値の重い展開が続くと思われる。

XRP:前週にリップル社CEOがQ3に大量の機関投資家の資金流入が期待されると発言した好地合いを引き継ぎ上昇して始まり、仮想通貨全面高となる展開の中、値を上げたが、材料とされた仮想通貨ファンドでは非中央集権でないことを理由に含まれておらず、Yahoo Financeの売買対象からも除かれたこともあり急落。カルフォルニアでの2件の裁判が1つに纏められることとなり、判事の選定が同社に有利に働くかもしれないとの報道に値を戻すが上値の重い展開が続いている。

BCH:11月のアップデートに向けてBitcoin ABCの提案にUnlimitedが異を唱え、NchainがBitcoin SVを提案し対立を深めている。バンコクに3者が集まって打開策が見つかるとの期待で上昇するも、SV派メディアからマイナーの過半数の支持を得たとの報道が嫌気され急落を見せた。マイニング最大手のBitmain社が支持するABCが劣勢に立つと、BTCからハッシュパワーをシフトする可能性があり、仮想通貨市場全体に混乱が波及しかねないからだ。但し、アップデートまではまだ時間もあり、BitpayがBCHによる商業用支払いサービスを開始するなど好材料もあり、堅調なBTC相場にもサポートされ底堅く推移するものと考える。


LTC:CNBCに創始者チャーリー・リーが登場、強気な見方を示したこともあり上昇、Morgan CreedのファンドやYahoo Financeの売買開始対象にも含まれ堅調な展開。9月14-15日に開催されるライトコインサミットに向けた期待感もあり堅調な推移を予想する。



Calendar

9月3-5日 World Blockchain Forum (ロンドン) TIME,WSJ,CNBC,Bloombergなど多数のマスコミが集まる

9月4-5日 OECD Blockchain Policy Forum(パリ)

9月4-5日 EAG/FATF FinTech RegTech Forum(杭州)

9月5-6日 FATF Intersessional Meeting of the Policy Development Group(杭州)

9月7日  EU 財務相会議(ウィーン)

FXcoin Weekly Report 2018.08.31.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

アーカイブ