2018.9.7【82万円台から70万円台へ急落】

2018-09-07 23:37[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 bitcoin



Review

ゴールドマンサックスの報道で急落、その後、否定

先週のBTC相場は82万円台まで上昇後、1日で70万割れ水準まで暴落する荒っぽい展開。CME先物の清算値決定を無難に乗り切ると堅調に推移、ストレステストの成功でBCHが急騰すると前週に足踏みした80万円乗せに成功。海外取引所での不可解なショートの急増などで押されるも82万円台まで上昇を見せる。ICO絡みの大口売りでETHが急落で連れ安となるとゴールドマンサックス(BS)がトレーディング計画を棚上げするとのBusiness Insider(BI)の記事が嫌気されたか76万円台に急落。一旦落ち着きを見せるかに見えたが、スイスの交換所ShapeShiftが匿名での取引を停止するとしたことが、投げ売りを呼んでいるとの報道(BI)もあり70万円割れに暴落。その後、同社CFOが記事を否定するも戻りは限定的に止まっている。

Outlook

最も必要とされるインフラ

来週のBTC相場は底値を固める展開を予想する。先週のロイズの参入、CBOEのETH先物年内開始、米Yahoo Financeのなど好材料に続き、今週もBCH分裂騒動の混乱回避の見通しや先端技術にポジティブなロイズマンSEC審委員の承認、コインベースがETFに関しブラックロックと会合を持つなど総じて見ればポジティブな材料が多かった。暴落の主因と見られたGSのトレーディングデスク立上の優先順位引き下げ報道もその後、同社CFOよりフェイクニュースと否定され、同時に「現物ビットコインは非常に興味深く、チャレンジングだ」とし、カストディー業務への注力を示唆しており、むしろ好材料と捉えるべきかもしれない。それにも拘らず、上記報道で1割以上の暴落を見せた背景としては、市場の参加者や価格形成に対する不信感があるのかもしれない。匿名取引の停止により売り玉が出るということは名前が出ては困る資金が存在する裏返しとも言え、不可解な暴落は市場の信頼性を低下させる。これらは、皮肉にもSECがETF否認で挙げた理由そのものであり、市場の待ちわびる機関投資家の資金を市場自らが遠ざける格好となっている。従って、いま市場に一番必要なものはBakktやカストディアンよりもきちんとした規制や法整備であると考える。各種調査で仮想通貨に対する潜在的な需要は確認されており、それに向けた様々なインフラやサービスの開発が進んでいるが、最後に欠けているインフラは公正さを担保するルール作りであり、市場も規制をポジティブに受け止めていくようになると考える。FATFの中間会合と同時に開催されていたフィンテック・レグテック・フォーラムではFATF基準(日本では勧告と訳されるケースが多い)を仮想通貨に適用するか議論された。詳細な内容はまだ公表されていないが10月11日のG20までには中間会合を経た方針が公表される可能性が高い。仮想通貨に本格的な相場の反発はそれ以降となると予想する。

下げ止まるが上値も重い展開を予想

規制に向けた議論に引き続き注意が必要だが、レイバーデー明け2週目となり投資家の戻りも本格化する。資金に余裕があるプロ投資家には絶好の押し目買いのチャンスと映るか。70万円を割れた水準は底堅いと考える。

予想レンジ BTC 65万円~80万円

Altcoin

ETH:週を通して軟調な展開。週初に次回アップデートでのマイニング報酬の減額幅が予想より小さかったこともあり堅調さを見せたが、人気アナリストのトム・リー氏がETH先物の開始はBTCにはプラスだがETHにはマイナスとの発言に上値を重くする展開。BTCコア開発者ジェレミー・ルービン氏がプラットフォームとしてのイーサリアムは残ったとしてもガス代をトークンで払ってしまえるようにすればETHの価値はゼロになり得るとの発言に下落、すぐさま共同創始者ヴァテリック・ブテリン氏反論するもこの議論は波紋を呼び、週を通して上値を重くした。更にICOプロジェクトの大口の売りで値を崩すと仮想通貨全体のパニック売りに飛び火した。スイスの匿名交換所のKYC強化によりアルトコインの売りが出ているとの見方もあり、売りが売りを呼ぶ展開となった。更にCNBCのコメンテイター、ブライアン・ケリー氏がホワイトペーパーの夢の時代は終わったとすると年初来安値水準まで下落した。その後、コインベースがブラックロックに接触した報に、同社はETHも含んだ仮想通貨ETFを計画しているとの思惑もあり、若干値を戻している。

XRP:前週末にIBMがステラを用いた送金システムを発表、ライバル出現に上値の重い展開となったが、6月のカンファレンスで三菱UFJ銀行がXRPを絶賛している動画がTwitterで出回り、またTransferGoとの提携でインド市場への足掛かりが出来たこともあり下げ渋る展開。しかしETH,BTCの暴落に30手前まで連れ安。しかしリップル社COOが100社以上の金融機関と契約したとし、CEOもイベントで積極的なポジティブな発言を繰り返すとアルトコインの中では比較的堅調さを見せている。

BCH:前週のバンコクでの当初Bitcoin SV有利の報道に対立するBitcoin ABCを支援するBitmain社の巻き返しからBTC市場への飛び火が懸念されたが、中間派のロジャー・バー氏がABC支援を表明したことで混乱が回避されるとの見方が先行、加えて9月2日のストレステストで1日2百万トランザクションの処理に成功したことの高揚感もあり急騰。コインベースがバークレーズ銀行のサポートを受けBCHのポンド建て取引の取扱いを開始したこともプラスとなったが、BTCの暴落に連れ安。その後はコインベースのETF検討が伝わると、同社がBTC・ETH・BCH・LTCの4通貨のファンドを組成していたことから、BCHも入るとの期待が浮上、若干値を戻している。

LTC:14日から始まるLTCサミットに向け期待感が高まる中、堅調に推移。Casa社がLTCをサポートするツールを4Qにリリースすると呟くと、創始者チャーリー・リーも反応すると一段高に。コインベースのポンド建て取引開始も好材料となるが、それまで上昇していただけにその後の仮想通貨暴落に2割近く下落するも、コインベースのETF検討にLTCも加わるとの期待感もあり値を戻しており、週を通しても若干の下げに止まっている。

Calendar

9月8日 BTCアップグレード
9月12-13日 イーサリアムクラッシックサミット(ソウル)
9月14-15日 LTCサミット(サンフランシスコ)

FXcoin Weekly Report 2018.09.07.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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