2019.5.31【G20に向けて仮想通貨相場を占う】

2019-05-31 16:58[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム リップル ライトコイン



Review

9000ドルで達成感

今週のBTC相場は大きく上昇、その後は高値圏での揉み合い推移となった。週末は90万円を前に上値の重い展開となったが、LTCの上昇に16日に付けた今年の最高値91.5万円を上抜けるとショートカバーも巻き込み97万円台まで急騰。一因と目された証拠金取引の国内最大手交換業者がレバレッジ比率を引き下げが完了するとじりじりと値を下げ始めた。93万円台まで値を下げたところで循環物色気味にXRPが上昇すると95万円台に値を戻すも、目立った買い材料に欠ける中、再び92万円台に値を下げた。しかし、この水準で下げ止まるとBinanceの米進出を仄めかした事もあってか切り返すと、クレイグ・ライト氏がサトシのウォレットからBTCを動かしBinanceに移動、同社がBSVの再上場を決めたとのデマにBSVが急騰、BTCも95万円台に値を戻し、100万円を再トライ、米ドルで9000ドルの水準で達成感が出ると、87万円台まで値を下げている。

Outlook

LTC半減期+レバ低下

来週のBTC相場は堅調な展開を予想する。先週は「ロングの解消が強い」と推測し「70万円近辺へ下値の目途を確認しに行っても不思議ではない」としたが、レンジの上限と見ていた90万円を月曜日にはあっさり上抜けた。国内最大手交換所の証拠金取引のレバレッジ比率引き下げを、ここまで上がって来たのだからロングポジションが溜まっていると思い込んだのが読み間違いで、別稿で述べている様にレバ引下げは上昇要因だった。この教訓はBinanceやCoinbaseの証拠金取引構想が具体化する時まで覚えておきたい。もう一つの読み違いはLTCの上昇だ。半減期はマイナーの売り圧力が減じるため価格の上昇要因となるが、既にプログラムされている公然の事実であり、理論(効率的市場仮説)的には市場は瞬時に織り込まれているはずである。しかし、当社の別稿の分析によれば、実際には半減期の1~2か月前から上昇が始まり、その後、横這いないし反落する、すなわち投機筋が1か月前から先回りするという結論となっている。LTCの場合、半減期までまだ3か月弱あったのでノーマークだったのだが、BTCの半減期1年前という報道からより近いLTCの半減期が意識される格好となった模様だ。

一巡して次に来るもの

今回の上昇は、先週金曜から土曜日にかけてLTCが上昇、月曜日にLTCが再び上昇すると、BTCとBCHが追随、火曜日辺りからXRPが相場の上昇を牽引し始め、木曜日にETHが上昇を引っ張った。以前申し上げたBTC→LTC→BCH→XRP→ETHという循環物色パターンがほぼ一巡したことが分かる。そういう意味ではこのLTC半減期+レバ低下による上げ相場を終えて調整が入っている事に違和感はない。ただ、この間に出て来た材料としてBTCのアカウント数やETHのトランザクション数が急増している事、国内交換所の新規口座増や英大富豪が多額のBTC購入に興味を示したとの報道など、仮想通貨投資に関する環境が好転している。今回の上げ相場が一巡して、次に訪れるのも上げ相場ではないかと考える所以だ。

人民元安と米債金利低下

また外部環境もそうした見方をサポートする。5月のトランプ大統領のツィートから激化した米中貿易戦争は、米側の関税引上げと為替操作国認定見送りというカードを切り、今度はレアアース禁輸など中国側が反撃するターンが回って来た。こうした中、人民元安とBTCへの逃避買いが再燃する可能性がある。両国の対立激化は景気後退懸念から利下げによるBTCへの逃避買いも誘発する。一部には対立の激化により中国が保有米債を売却するとのシナリオも聞かれるが、減ったとはいえ1.1兆ドルの米国債を保有する中国は米債金利が1%上昇すれば数兆円の損失を被る。中国側もこれは自分の首を自分で締める最後の伝家の宝刀であり、この程度の混乱で使うことは無いと考える。



G20前は上昇傾向

上はG20で暗号資産が共同声明などに載り始めた2018年3月以降のG20の終了日を100%とした前後のBTC価格の推移だ。これを見ると事前にそこまで意識されていなかった2018年3月を除けば、概ね1週間前からG20にかけてBTC価格は上昇、その後は上がる時も下がる時もあるという傾向が覗える。G20の注目点は別稿でお伝えしたいが、一旦足元の調整で下値を固めた後は、アノマリー的にも来週は上がり易いと考える。

予想レンジ BTC 80万円~105万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は大きく上昇も週末にかけて反落する展開。今年10月にも予定されるイスタンブールに関する改善提案が公表され、更にその先にあるイーサリアム2.0で使用されるビーコンチェーンに関してアプリなどを開発し易くする提案がヴィタリック・ブテリンから出された事など、またその開発費用として今後1年間で30百万ドルの投入が決まるなど開発の順調な進捗が好感され底堅く推移、BTCの上昇もあり3万円近辺に上昇。その後もイーサリアムベースのブロックチェーンゲーム内の仮想レーシングカーが1200万円で落札されるなど実用面での広がりが見られる中、トランザクション数も1日94百万件と昨年2月の水準まで回復した。こうした中、Binanceシンガポールでの取り扱い開始や循環物色気味の買いが入った事もあり5月16日の高値を更新、31500円近辺まで値を上げたが、足元では27000円台へ値を落としている。

来週のETH相場は堅調な推移を予想する。先週、3万円台乗せは時間の問題と申し上げたが、32000円近くまで上昇した。その際に申し上げた通り、スマートコントラクト機能がついたブロックチェーンは数多あるが、オリジナルであるイーサリアムの人気は根強い。今週も幾つもイーサリアムベースの開発のヘッドラインが続き、またトランザクション数の増加は投機的取引の活発化もあろうがプラットフォームとしての需要の大きさも示していると考える。日本円で3万円突破の次は米ドルでの300ドル乗せか。

XRP:今週のXRP相場は大きく上昇。ブラジルの大手証券会社と送金システムSimpleの開発で提携、BTCの上昇もあり45円近辺まで上昇。Coindesk等の報道で50日移動平均線が200日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが数日中に訪れるとされたことも意識されじりじりと値を上げると、循環物色気味に50円をトライする展開。その水準で一旦は失速するも木曜日に実際ゴールデンクロスが見られ、また国内ではマネータップが加盟店決済サービスを開始したとの報もあり50円台に乗せたが、その後、40円台へ値を戻している。

先週は20行以上の地銀と提携しているカシコン銀行のリップルネットの利用は日本の金融界へのXRP浸透の第一歩になり得るとご紹介したが、ブラジルにおけるリップル利用の拡大も将来的に大きな一歩だ。日本とブラジルとは距離が遠いこともあり貿易額こそさほど大きくないが、直接投資残高で10位前後と経済的結びつきは強い。そのブラジルレアル建てで確定金額を送金する事が困難を極めることはあまり知られていない。ブラジル国内でしか取引が無いレアルを売買するには日本時間の夜中まで銀行の担当者を待たせる必要があり、それ以外にも様々な問題をクリアする必要がある。しかし、24時間365日取引が出来るXRPを利用すれば日本時間にレアル円の取引と送金まで完了することが可能となる。xCurrentを利用したマネータップの加盟店サービスも、同じQR決済のPaypayやLinePayなど前払式決済方式(もしくは為替取引)が予め銀行口座からの振替が必要であることに対し、銀行口座から自動的に支払える点で、今まで無かったサービスを提供している。決済系でも数多のトークンが存在するが、ここまで進んでいるのはXRP以外には見当たらない。例えば4月頭からの上昇率を見るとBCHの2.8倍、BCT・ETH・LTCが約2倍になっているのに対し、XRPは1.5倍程度と圧倒的に出遅れており、他の主要通貨と平仄を合わせるならば70円近辺まで上昇しても不思議では無い。50円台で値固めをすれば、次は60円台トライか。

BCH:今週のBCH相場は目立った材料が無い中、BTCに連れ高。週末にBitMEXなどで15日のハードフォーク(HF)時に51%攻撃が行われていた事が報告された。Coinpost等の報道によればHF時に不正な攻撃があり、それを正すためにマイナープールが51%攻撃を仕掛けたというもので、ややショッキングな内容だが、市場は若干値を下げただけで底堅く推移した。その後、BTCの上昇に連れ高で45000円を上抜けると、今度は自称サトシのクレイグ・ライト氏がサトシナカモトのウォレットからBTCをBinanceに移動させ、同社が謝罪してBSVを再上場させたという中国語のニュースが流れBSVが急騰するとBCHも連れ高で50000円台に乗せた。しかし、その後、Binanceから抗議が出て、このニュースが偽造されたものと判明してもBSVは直ちには値を下げず、BCHに至っては寧ろ値を上げる展開となったが、翌日BSVが大きく値を下げると、BCHも反落を見せている。

LTC:今週のLTC相場は大きく上昇。先週BTCの半減期まで1年を切ったと報道される中、3ヶ月を切っているLTCでも半減期が意識されたせいか週末に15%以上を見せた。LTC財団のフランクリン・リチャード氏は価格上昇は肯定できるが今の相場は持続可能ではないと警鐘を鳴らしたが、更に上昇。これを見てかCNBCのキャスターが「家、車などを売って、LTCを買え」とのジョークを発したが、CNBCが強気になると相場は終焉するというレポートの影響もあってか、勢いは一段落している。



FXcoin Weekly Report 2019.05.31.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通
twitterアカウント:@FXcoin_matsuda

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