2019.6.14【ビットコインがそろそろ100万円トライすると考える理由】

2019-06-14 21:02[ 松田康生

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Review

G20後下落も、切り返す

今週のBTC相場は下に行って来いの展開。G20後に82万円近辺まで値を落とすも反発、90万円近辺まで値を戻している。注目のG20ではFSB主導の多国間ルール作りに期待が集まったが、具体性を欠いた表現であったこともあり失望売りが先行したが、再評価する声もあり下げ止まると、人民元安の再開は日銀総裁の追加緩和発言もあり逃避買いが入り87万円台までのショートカバーを引き起こした。金融庁の老後2千万円報告が事実上撤回されると84万円近辺に値を落としたが、香港のデモで一部金融機関が休業に追い込まれ香港株も急落すると再び87万円台に急騰、警官隊との衝突が伝わるとBNBの上昇もあり90万円手前まで急騰した。しかしLTCが反落すると上値を重くしたが、国内交換所のシステムトラブルの回復やBakktのUATが7/22に開始するとの発表、証拠金取引国内最大手交換業者のメンテナンスなどもあり一時90万円台乗せに成功した。

Outlook

G20の再評価

来週のBTC相場は堅調な展開を予想する。先週も同様の予想をお伝えしたが、最終的には90万円台に値を戻し堅調な展開となったが、G20後にじりじりと上昇を予想していたのに対し、G20後にいったん下げて、そこから戻す展開となった。これは別稿で述べている様に、具体性に欠ける声明文に一旦は失望するも、よく見ると今後の布石とも取れる文言が挿入されていたことで再評価する動きが出たのだと考えている。ただ市場ではBakktのUAT開始報道を好意的に受け取っているが、実際の開始はカストディー承認後の話しで、更に本格的な機関投資家の参入に繋がる規制の整備にはまだまだ時間がかかることから、期待先行で上がったところは調整が入る展開が続こう。

そろそろ100万円トライと考える理由①

そうした中、強気の予想をする背景には資金流入が見込める点にある。今週は緊張が走ったが国内交換所を巡る状況は好転、海外でも人民元安がじわりと始まっている。日米欧は金融緩和方向に舵を切っており逃避需要が見込まれる。下はBTCの価格(USD)と出来高の推移だ。BTCが60万円台で反発した2018年2月5日から60万円を割り込み50万円台へ下落した同11月18日までの出来高は15,162億ドルだったが、BTCが50万円台へ反発し今回の上昇相場のスタートになった4月2日から6月13日までの出来高は14,157億ドルに達している。以前、4月2日の反発を、11月から2月までの出来高を2月以降の出来高が上回ったから、すなわち下値で買ったポジションの戻り売りをこなしたから次のステージに上がったと説明したが、その際、更なる上値追いは容易ではないと予想した。すなわち昨年2月から11月までの約9か月に溜まったポジションをこなすのに3ヶ月から半年はかかるだろうと考えていたが、この9か月の出来高をこの2か月でこなしてしまいそうな状況だ。足元では概ね1日200億ドル前後の出来高なので、単純にあと5日程度で追いつくことになる。ただ、この計算は始めと終わりの選び方にも恣意性があるし、この出来高についてもどこまで正確かは不明で、デジタルに当てはまる訳ではないが、昨年2月以降の戻り売り圧力はこなしつつあるという目安にはなろう。昨年2月以降の高値は125万円近辺であり、そこまでは無理としても5月の高値105万円近辺に到達するのは時間の問題と考える所以だ。


そろそろ100万円トライと考える理由②

それ以外にそろそろ100万円トライと予想するのは、前回高値98.9万円とその後の安値80.8万円の半値戻しをクリアした事もあるが、材料的にも上記の人民元安や金融緩和に加えといった外部要因に加え、仮想通貨内でも来週は注目のFBトークンのホワイトペーパーが発表され、FATFのガイダンスの詳細も公表される。規制の明確化はその瞬間は売り材料になるが、長い目で見て買いに転じる。今回のG20もそうした解釈が可能だろう。火曜日には何かと注目のBinanceのCZ氏がAMA(ask me anything)を行うらしい。ただ、このところ海外の交換所が米国や日本からの取引を認めない動きが見られる。こうした国外の交換所の利用をFATFが禁じる動きを見せれば、若干ネガティブに反応する可能性があろう。

予想レンジ BTC 80万円~110万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は下に行って来いの展開。G20 後のBTC下落もあり一時25000円を割り込むも28000円台まで切り返している。Cointelegraphで分散型アプリの大半はイーサリアムベースとのバイナンスのレポートや全米不動産協会がイーサリアムベースの不動産取引プラットフォームを開発するスタートアップに出資するなど比較的好材料が続くもG20後のBTC下落もあり軟調な展開が続いた。しかしBTCが切り返すとETHも上昇に転じ、BitwageがBTCに続きETHでも給与支払サービスを開始、米政府のブロックチェーン活用例でイーサリアムベースが多かった事などもあり27000円近辺まで値を戻した。更に仏ゲーム大手Ubiソフトがイーサリアムベースのゲーム開発を検討、オーストリアで世界初のブロックチェーン切手がイーサリアムベースで発行、またBitfinexとOKexがいずれもイーサリアムベースのお互いの取引所トークン、LEOとOKBを相互上場する事など好材料が相次ぎ29000円を伺うも、27000円台へ失速している。

来週のETH相場は堅調な推移を予想する。先々週と同様、書ききれないほどのヘッドラインが続いたETHだが、アップデート関連での報道が無かった分、30000円に届かなかったか。前述のレポートでは米政府の7プロジェクトを紹介、そのうち3つがイーサリアムベースで、3つがハイパーレッジャーだった。同レポートでは、パブリックかプライベートかスケーラビリティーやスピードの必要性に従って選んでいるとされている。すなわち、パブリック≒イーサリアムという認識だという事を示している。ETHに類似するトークンは余程、性能が優れていないと比較対象にもならないが、単にスケールやスピードが優れている程度ならプライベートチェーンが選好される訳だ。ただ、分散アプリのプラットフォームとしてのイーサリアム独り勝ちは既に市場に織り込まれつつあり、市場はその処理能力により関心を払う様になってきているという事か。

XRP:今週のXRP上値の重い展開。先週末のハッキング騒ぎにも関わらず堅調さを見せていたが、タイのサイアムコマーシャル銀行がXRPを利用した送金をもうすぐアナウンスするとしたツィートを撤回するとBTCの下落もありずるずると値を下げていった。BTCの反発もあり41円台で反発するとリップル社のブラジル進出やリップルネットでの送金が1Qで2018年の1年分を超したとの報、更にハッキングされた23百万XRPの一部50万XRPの凍結に成功した事などもあり上昇に転じるも、VISAがB2B決済システムを立ち上げIBM・ハイパーレッジャー陣営に参加したとの報もあり上値は限定的となった。18日にホワイトペーパーが公表されるFBが発行するトークンが脅威となると考える見方もある様だ。

来週のXRP相場は堅調な推移を予想する。13日Coindeskから14のマネーセンターバンク等が63.2百万ドル出資して設立されたFnality Internationalに関する続報が届いた。元ドイツ銀行のロメイオス・ラム氏が率いるUtility Settlement Coin(USC)と呼ばれていたプロジェクトが前身で、USD・CAD・GBP・JPY・EURのステーブルコインを開発していたらしい。記事ではそれ以上の詳細は分からないが、そうすると見えてくるのが、テザーを始め各ステーブルコインが苦労している裏付け資産の預け先を各中銀の当座預金とするというコンセプトか。そうであるならば、各USCと法定通貨との交換は当座預金を保有する銀行を通す必要があり、結局、JPモルガンのコルレスの中でしか決済できないJPMコインの複数銀行版に近いもののようだ。JPMコインの弱点はJPMのコルレス内でしか決済できない事にあり、ならばUSDそのものを使用すれば良い。複数行で利用できる仕組みを作った積りかもしれないが、中銀の当預を使用するなら法定通貨を使用した方がずっと便利だ。更に、JPYからCADなど為替が発生する場合は、実は裏で為替取引を実行してSWIFTで決済(CLSかもしれないが)しているというスキームだ。要はマネーセンターバンクが為替とコルレスビジネスを守るために打ち出したスキームで、元ドイツ銀行員が考えそうなアイデアだ。XRPの汎用性は銀行を通す必要が無いことで、今後はコルレス特権に固執するマネーセンターバンクに対し、トークンを利用した企業間の直接決済という構図になっていくものと予想される。そうした中、XRPには圧倒的な先行者メリットがあると考える。

BCH:今週のBCH相場は目立った材料が無い中、BTCに連れて下に行って来いの展開となったが、週後半にかけて急上昇する局面も見られた。G20後のBTCの下落に連れ41000円近辺に下落するも切り返し、42000円近辺での揉み合いを続けていたがじりじり値を上げると、BSVが急騰した事に続き、三角持ち合いの上限と400ドルの節目を上抜けた事で46000円近辺まで値を上げている。

LTC:今週のLTC相場は堅調な展開。LTCのハッシュレートが過去最高を記録、その背景としてBitmain社がテスト的に新たなLTC用ASICを導入しているとの見方が示され、続いて創始者チャーリー・リーが半減期後のマイニング収支がキロワット/時あたり10セントでも利益が出るとの試算を紹介すると再び大きく上昇。OKexが半減期を記念して総額100万ドルの7つのプレゼントキャンペーンを実施するとしたこともサポートしたか。その後、ビバリーヒルズのレクサス販売店でLTC受取が開始されたとの報もあり更に上伸するが1週間で2割以上の上昇に若干反落しての越週となっている。

FXcoin Weekly Report 2019.06.14.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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