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2019.6.21【ビットコインはまだ上がると考える理由~ステルス追加緩和】

2019-06-21 17:15[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン リップル イーサリアム ビットコインキャッシュ ライトコイン



Review

リブラ登場

今週のBTC相場は大きく上昇。100万円台に乗せるも、その後は高値圏での揉み合い推移となった。FBが開発を進めるリブラにVISA・Master・Uberなどの参加が伝えられると期待感もありBTCは堅調に推移。香港のデモが2百万人規模に拡大すると、逃避買いもあり100万円台乗せに成功した。その後、香港の行政長官が陳謝した事もあり一旦95万円台に値を戻すも、中国政府が長官を支持、辞任もさせないとすると102万円台に乗せ、今年の高値を更新した。米中首脳会談開催の見通しとなり人民元安が一服した事や注目のリブラのホワイトペーパー発表後にFB株が反落、更に米議会から公聴会開催まで開発中断を求められた事などもあり97万円まで値を下げたが、米FOMCで年内利下げの公算が高まった事や公聴会の日程が決まった事から切り返すと、トランプ大統領が一時イラン攻撃命令を出すなど中東情勢の悪化で金価格が急騰した事もあり105万円近くまで値を上げている。

Outlook

やはり100万円トライ

来週のBTC相場も引き続き堅調な展開を予想する。先週は「そろそろ100万円トライ」と申し上げたところ、週末の間に達成した。その後、一旦緩んだ局面でも一貫して、再び上値トライを予想していたが、金曜日に年初来高値を更新し105万円近辺まで上昇した。その理由は、通貨そのものの評価は別としてリブラの登場やLINEの交換所開始(観測)により、トークン経済の進展が広く浸透したことが挙げられよう。また、送金面でもマネーグラムやWestern Union、更にリブラに脅威を覚えた他の銀行や送金業者がリップル社に秋波を送り、一方でハイパーレッジャーにイーサリアム財団が加わり、Fnalityも登場。この分野でも、どれが生き残るかはまだ分からないが、トークン化が進む方向性がより明確になって来た。そうした中、オリジナル・ブロックチェーンであるBTCのデジタルゴールドとしての地位はより強固になりつつある。ただ、米中首脳会談が大阪で開催の見通しとなり人民元安が一服した結果、中国からの逃避買いが弱まったせいかじりじりとした上昇にとどまっているのだろう。

ステルス追加緩和

経済のトークン化の広まりに加えて注目したいのが、世界的金融緩和の流れだ。ドラギECB総裁はシントラにおけるセミナーで利下げの可能性に言及、米FOMCを受け、ゴールドマンサックスは7月と9月の2回利下げがあると予想した。これを受け、米10年債利回りは3年ぶりに一時2%を割り、独10年債は-0.3%と過去最高水準を更新した。米欧が次回会合にも利下げに転じる可能性が浮上したのに対し、打ち手があまりないとされる日銀は追加緩和の可能性は指摘しつつ具体策は示さなかった。金利が下がれば法定通貨を保有するリターンが下がる訳で、相対的に仮想通貨の価格が上昇する。アセットとしての国債を保有するインセンティブも低下する。更に、過剰な金融緩和は代替アセットとしての仮想通貨への逃避買いを誘発する。こうした中、一見、手詰まりに見える日銀のいわばステルス追加金融緩和の有無に注目している。日銀は10年債利回りを概ね0%とし、上下0.2%の変動まで許容している。-0.2%~0.2%だ。例えば、レンジの上限0.2%に達すれば指値買いオペといって、一定の利回りで無制限に国債を買い入れるとして、金利の上昇を力づくで抑える訳だ。この政策を導入し2016年9月から日本だけ10年債金利がこのレンジに押し込まれている事が分かる。しかし、この追加緩和の流れの中で金利がレンジの下限に肉薄している。未だに日銀がレンジの下限で無制限売りオペを実施した事はない。追加緩和が必要な局面で引き締めとも取られかねない(激しい円高を誘発しかねない)という面もある。そこで、市場金利が-0.2%を割り込んでも放置するという形で実質的なステルス追加緩和に踏み切る可能性があると考える。

リブラの功罪

リブラについては、銀行口座を持たない十数億人に金融インフラを提供すると大風呂敷を広げたのが良くなかったか。そうした中はスマホも持たない人も多いだろうし、そもそもリブラを現金で買わすつもりなのだろうか?FB顧客をトークン経済で囲い込みたいと言われた方がまだすっきりした。とはいえ、一般紙に仮想通貨を掲載させた功績は大きく、100万円乗せのニュースとともに、もう一段の買いを誘発するのではないか。上値の目途は別稿でも述べた125万円近辺。ただ、そこに達したら70万円台までの急反落に注意が必要だ。

予想レンジ BTC 75万円~125万円


Altcoin

ETH:今週のETH相場は底堅い動き。一時3万円台に乗せた後、失速したが、再び3万円を伺う動きを見せている。注目のイーサリアム2.0の開始日が来年1月3日と伝えられ、BTCの上昇もあり3万円台に乗せたが、ライバルとなるトロンのメインネットが間も無くアップグレード、更に決済通貨と思われたリブラのホワイトペーパーでスマートコントラクト機能が強調されていた事も嫌気されたか28000円台に値を落とした。しかし、リブラの評価が賛否両論に割れ、またハイパーレッジャーにイーサリアム財団が加わると伝わると切り返し、メットライフがイーサリアムベースの保険金サービスを開始すると伝わると更に上昇、金価格の急騰もあり3万円台に値を戻している。

来週のETH相場は堅調な推移を予想する。リブラのスマートコントラクト実装で強力なライバル出現かと一時弱含んだETHだが、その後もメットライフなど実用例が続いている。先週、ブロックチェーンの応用はパブリックならイーサリアム、スピードなど機能面を求めるならハイパーレッジャーやR3などプライベートチェーンが選好される構図が現れており、多少の性能の良さでは優位性は動きそうにない。何故なら、イーサリアムはオリジナルで、他のチェーンは模造品と見做されるからだ。勿論、模造品であっても圧倒的な性能の差を見せつけられれば別なのだが、今のところそうした本当のライバルは出現していないと市場は見ているのだろう。そうした中、イーサリアム陣営としては常にアップグレードを続け、処理能力を上げていく必要があるが、イーサリアム2.0開始の日程が決まったことは大きなニュースだろう。ETHはもっと買われてもおかしくないと考える。まずは300ドルトライか。

XRP:今週のXRP相場は堅調な展開。43円台から48円台に上昇、その後失速したが、週末にかけて47円近辺へ値を戻している。先週はFnalityの登場やVISAのハイパーレッジャー陣営参加などライバル陣営の動きもあり値を下げていたXRP相場だが、BTC相場の上昇もあり値を戻すと、リップル社が米大手送金業者マネーグラムに出資、xRapid利用も予定して言うと伝わると48円台まで上昇した。しかしリブラで安価な送金が一般化すると送金の媒介となるXRPは不要となるといった極端な見方も出回り反落した。しかしリブラのホワイトペーパーが発表されると果たしてXRPのライバルと言えるものかどうか疑問視する声も出回り46万円近辺でサポートされた。その後、送金大手Western UnionがXRPを利用したテストを続けていると伝わり、またガーリングハウスCEOがリブラのおかげで今週の契約件数が史上最多になったという事もあり、47円近辺に値を戻している。

来週のXRP相場は堅調な推移を予想する。別稿で紹介した様にFnalityはXRPのライバルとなり得るが、リブラはライバルでは無いと考えていたが、ガーリングハウス氏も指摘する様にリブラはB2CでXRPはB2Bだからだ。同氏によれば、リブラの出現で危機感を持った銀行や送金業者が従来のSWIFT決済に見切りをつけ、同社の下に殺到しているという。銀行がコルレス決済を守ろうとしても、トークン決済が導入し始めれば、圧倒的なコストの違いから、そちらに流れざるを得なくなるという弊社の見立て通りの展開だ。まだ、この分野は勢力争いの最中にあるが、今や国際送金の分野がトークン化することは既定路線という認識が広まりつつあり、その先頭を走るXRPにも買いが入るものと考える。

 

BCH:今週のBCH相場は上値の重い展開。BCHのサポーターであるBitmain社が新たなマイニングマシンを発売した事や、ライバル陣営であるクレイグ・ライト氏が裁判でフロリダに召喚され劣勢に追い込まれているとの報道、BTCの上昇などもあり堅調に推移していたが、リブラのホワイトペーパーが発表されると、BTCやETH、XRPなどのライバルにはならない、もしくはまだ分からないなど様々な見方に分かれたが、小口決済を目指すBCHやLTCには打撃になるという点はおそらくは衆目の一致するところとなり、上値を重くする展開。週末にかけてBTCが年初来高値を更新したが、BCHは45000円台に戻すのが精一杯だった。

LTC:今週のLTC相場は上値の重い展開。週初こそBTCに連れ高で15000円台を付けるも、半減期を材料に既に大きく上昇済だったこと、またリブラは小口決済面でLTCの大きなライバルとなる点などが嫌気したか、14000円近辺まで値を下げた。しかし、LTC財団がBiboxとTERNOと提携してデビットカードを発行するという報に値を戻した。その後、一旦緩むも週末に予定されているLTC財団主催の格闘技イベントを控え、また金価格の急騰もあり15000近辺に値を戻している。



FXcoin Weekly Report 2019.06.21.pdf


松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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