ビットコインの2つのクセ~乱高下を続ける理由

2019-07-03 21:01[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

6月28日のWeekly Reportで今回の戻り相場は2015年の相場に酷似しており、「底値から約3倍の水準まで上昇した後、翌日にピークから25%、1週間後には40%の下落を見せている」とした。そしてこうしたオーバーシュートと3-4割の調整をBTC相場のクセとご紹介し、今回のピークが150万円だったので、底値のめどを90-105万円の間と申し上げた。昨日、105万円を付けて反発しており、ここが底である可能性も否定できないが、もう少し下を見ている。本稿では、そうしたBTC相場のクセについてもう少し詳しく観察してみた。





上の3つのチャートは2013年12月のバブル相場からの回復期を2015年7月から2016年6月、2016年1月から2016年12月、2016年7月から2017年6月と1年間のBTC価格推移を辿ってみた。なぜ、このような区切りをしたのかというと、この何の変哲もないBTC価格推移だが、過去のチャートを全期間で見てしまうと2017年12月の値動きが大きすぎて、それ以前の値動きが見えなくなってしまうからだ。こうして並べてみると、この回復局面でほぼ半年毎に急騰と反落を繰り返していることが分かる。またピークを付けてから1-2週間で3-4割の反落を見せている。2017年はやや変則な上がり方をしているが、2015年と2016年はピークを上抜けるのに半年前後要している点も共通している。このピークを繰り返すBTCのチャートを見ていると、ラクダのコブの様に見えてきた。さしずめ、2015年と2016年はサハラ砂漠のヒトコブラクダで、2回ピークがある2017年はゴビ砂漠のフタコブラクダといったところか。これは、BTC相場が200ドル台から400ドル台、400ドル台から600ドル台、600ドル台から1000ドル台と上昇する過程では、じりじりと上昇するのではなく、突然価格が2倍近くに暴騰して、そこから調整してレンジを固めていく、そうした傾向があることを示している。こうしたクセが生じる理由は定かではないが、個人が中心で、殆ど実需取引もなく、価格の目途というか値ごろ感がないことが挙げられるが、流動性が薄い小型株などでも容易に値が飛ぶので、まだ市場が未成熟だけなのかもしれない。



上の2つのチャートはBTC相場をもう少し長く切り取っている。2013年4月から2017年4月、すなわち前々回のバブル相場からそのピークを超えるまでの期間と、2017年4月から2019年7月、すなわち直近のバブルとその回復過程だ。両者ともピークから約1年後に85%程度の下落を見せ、そこから反転している。ただし、前々回バブルの際はピーク価格を更新するのに1219日すなわち3年以上要している。それ故、弊社では200万円回復を2020年末と見ていたが、出来高の急増もあって今回は戻りのペースが速いので、2019年末と1年前倒しにした。この4-5年に1度、極端なバブルを引き起こし、そこから85%の下落を見せるというのが今までのBTC相場のクセとして挙げられそうだが、「2度あることは3度ある」で次回も同様なバブルを引き起こすのか、それとも「3度目の正直」で比較的穏やかな推移を見せるのかは注目されるところだ。こうした暴騰と暴落を見せるのも仮想通貨の価格に目安がない事に起因するのかもしれない。またブロックチェーンが実現する未来がまだ見えてこないためかもしれないが、もしかすると本当のもうこれ以上は買えないという水準にまだ達していないからなのかもしれない。もしかすると他市場ではあり得ない程の急騰を見せ、あり得ない程の急落を見せ、仮想通貨投資家がどこまで信じて持ち続けられるのかを試しているのかもしれない。仮想通貨の価値の本源は信用で、相場は人々の集団心理で変動するので、この最後の考え方が最もしっくりくる。

こうして変動パターンが見えてくると仮想通貨市場の乱高下もそう恐れる必要はないかもしれない。ドル円相場と比べてボラティリティーが10倍以上あるのだから、BTCが3-4割落ちるというのはドル円が2-3%落ちるイメージだろうか。そう考えると半年に1度、その程度の調整があっても驚かないし、5年に1度10円幅で動いても不思議ではないのかもしれない。参加者はこの程度の変動があることを頭に入れて行動すれば良いだけだ。なぜなら、この変動の正体は参加者がどこまで仮想通貨を信じられるかを試しに来ているのだから(個人的感想です)。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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