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なぜ人間は魚を素手で捕まえられないのか?処理速度と分散性のトレードオフ

2019-07-08 19:46[ にく

仮想通貨小噺 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

土曜日は大井川鉄道のトーマス列車に乗ってきました。主に夏の間、静岡県の新金谷から大井川上流への入り口千頭駅まで40キロ弱を機関車トーマス号にペイントされたC11が約70分かけて運行されています。千頭駅ではトーマスフェアとしてリアルなパーシーやヒロ、運行期間中はジェームスが展示されているほか、ディーゼル機関車ラスティーやトップハムハット卿の愛車ウィンストンなどに乗ることもできます。もう子供たちは大喜びなのですが、チケットは抽選でなかなか当たりません。バスツアーに参加するなら比較的容易に乗車できますが、それでもバスのバーティーに乗るツアーは東京五輪並みの難しさです。小職の場合は毎日キャンセル待ちをチェックして、ようやく往復で空いているチケットを見つけ出しました。

迷いましたが往復は車、片道3時間強です。朝6時半に川口を出発、みんな寝静まる中、足柄SAでそうっとトイレ休憩に行って戻ってくると、起きだしてきた家内がトイレに行くというので車内で待っていました。家内が戻ってくると、ふとポケットにあったチケットが無くなっていることに気づきます。トイレでズボンを下したときに落としたのです。急いでトイレに戻ると個室は利用中でしたが、何とか受け取ることが出来ました。入っていた人は出たら落とし物係に届けようと思っていたそうで、そこで受取やら時間を取られたら、下手すると乗り遅れるところでしたから、間一髪セーフでした。

そのまま日帰りする積りだったのですが、伊豆長岡の温泉ホテルが直前割で出ていたので1泊する事にしました。翌日はお目当ての三津シーパラダイス(みとしー)です。かなりこじんまりした水族館なのですが、まずキッズスペースが充実していること、次にすごいのがタッチプールが充実していて、なんとタカアシガニを触ることが出来ます。そして最もすごいのが、子ども膝くらいの小さなプールに放し飼いされている魚と一緒に入ることが出来るのです。まあ、子どもといわず人間に素手で捕まるような魚は普通いないのでそう簡単に捕まえられませんが、子どもたちは水着に着替えて半狂乱になって追いかけまわします。でも、なぜ人間は魚を捕まえられないのでしょうか?同じことは多くの動物にも言えます。人間はなぜ猫も鳩もムシだって素手で捕まえられないほどノロマなのでしょうか。

このヒントはチコちゃんが教えてくれました。みとしーのキッズコーナーには海の生き物のスピードが書いてあります。アザラシが時速20キロ、オットセイが時速30キロ、イカが時速40キロ、イルカやクジラは時速50キロ、そしてマグロとシャチが時速80キロで、チャンピオンとされるバショウカジキは時速110キロとも125キロとも言われているそうです(種類にもよりますし、大体の数字です)。因みに人間の50M自由形の世界記録は20.91秒だそうで、時速8.6キロになります。カジキといえば回遊魚マグロの仲間で赤身の魚です。ところで、この赤身の魚とタイやヒラメなどの白身の魚の違いについて、チコちゃんが教えてくれていました。人間もそうですが、筋肉には赤筋と白筋があり、前者は持久力、後者は瞬発力に優れています。分かり易く言えば、前者が有酸素運動、後者が無酸素運動を担っているわけです。赤色の正体はミオグロビンと言ってヘモグロビンが運んできた酸素を筋肉内に運ぶそうで、要は酸化鉄の赤色だと理解しています。マグロやカツオなど回遊魚はこの赤筋が多いので赤身になり、タイなど回遊しない魚はいざという時に瞬発力を発揮する様に白身になるそうです。因みに、サンマなどの青魚は赤身に分類されるようです。また、タイやブリの赤い部分はこの赤筋部分で、それが多いブリは中間に分類されるそうです。

長い間、サバンナや雪原で狩りをしていた人間はスタミナ重視で進化してきており、おおよそ赤筋(遅筋)と白筋(速筋)との割合が概ね7:3だそうですが、トレーニングによっても変ってくるそうでマラソンランナーは赤筋中心、スプリンターは白筋の割合が増えている様です。日本人には赤筋が多いとされている様ですが、これはシベリアでマンモスをひたすら追いかけてきた名残なのかもしれません。そう考えると。赤筋の多い我々が素手で魚を捕まえられない事は不思議ではないのかもしれません。

この様に、人間や動物の持久力と瞬発力にはある程度のトレードオフの関係があるのですが、こうしたトレードオフの関係はブロックチェーンの基礎的なところにも存在します。非中央集権と決済速度です。処理速度を上げたいのであれば、究極的にはブロックチェーンなど使わず、一人の管理者が高速コンピューターで管理すれば良いわけです。例えば、仮想通貨のオリジナルであるBTCは1ブロックの生成を10分と定めています。そして膨大な電力を消費してその正確性を担保している訳です。これに対しXRPは処理スピードを上げるためにマイニング競争を廃しバリデータによる8割の合意とするコンセンサスアルゴリズムを採用しました。これはこれで、その時点でのブレークスルーで、更にリップル社も含めたエコシステムの下、今でも送金の媒介の先頭ランナーとしての地位を占めています。イーサリアムのスマートコントラクト然り、やはりオリジナルは生き残る傾向があります。一方で、それ以外の数多のアルトコインはどうでしょうか?BTCの処理速度の遅さを改善しようとする試みは多く見られます。しかし、多くのケースでは、処理を速くすることと、BTCにおける分散性というか非中央集権制とがトレードオフの関係にある訳です。仮想通貨の世界とは、アメリカや日本など民主国家では主権は国民にあるとされ基本的人権も憲法で保障されているにも関わらず、それでも国家を超えた管理者がいない世界に魅力を感じて始まった訳です。それに対し、例えば従来と比べ物にならない処理能力を目指すリブラですが、信頼できる一流企業数十社が協会を運営するから私企業が運営しても信頼できるというのは冗談にしか聞こえません。それなら、同社ないしは協会で中央サーバーを立てて電子マネーを運営すればよい訳でブロックチェーンを利用する理由が今一つしっくりきません。今年2月、三菱UFJフィナンシャルグループは世界随一とも言われる高速ネットワークを有するアカマイ・テクノロジーズと合弁会社を設立、毎秒100万件の処理を可能とするブロックチェーン技術を応用したペイメントネットワークシステムを構築すると発表した。これも凄いことだと思うのだが、Akamai の世界最速水準・高セキュ リティなエッジプラットフォームを活かして、普通の電子マネーを発行するのではどうしてダメなのだろう。一私企業それも日本で一番大きく信用力も問題ない銀行が作るペイメントシステムにブロックチェーン技術を使う必要がどこにあるのか、小職の頭では理解が難しい。

因みに、魚取りですが、小職も子供にせがまれて参戦しました。もちろん、大人だからと言って捕まえられるものではありません。しかし、比較的大きめで、それも少し動きが鈍くなっている魚に目を付けて、なんとか狭い穴に追い込みます。ここで小さな魚だと自由に動き回って逃げてしまうのですが、大きいと身動きが取れなくなり、出口をふさぐように手を伸ばして何とか1匹だけ捕獲に成功しました。赤筋も白筋も使うのが苦手だったので頭を使った訳です。これで子供たちのヒーローになるかと思って息子に渡そうとすると、怖いと言って一目散に逃げだします。うーん、この子たちは魚が触れないのに魚を捕まえようとしているみたいでした。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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