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2019.7.12【議会証言、トランプ発言、ハッキングのビットコインへの影響】

2019-07-12 21:37[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム リップル ライトコイン



Review

FRB議長証言を前後して行って来い

今週のBTC相場は120万円台から140万円台に上昇するも、反落して120万円台に戻す、いわゆる上に行って来いの展開となった。米中貿易戦争の一時停戦や前週末の米雇用統計を受け米利下げ観測が僅かに後退していたこともあり7月10日のFRB議長議会証言に注目が集まった。120万円台で揉み合っていたBTC相場だが、過去最高を記録したハッシュレート、香港・九龍サイドでのデモ、中国のCBDC開発、GSの仮想通貨業務拡大に向けた求人といった材料もあり期待先行で143万円台までの上昇を見せた。議会証言テキストは貿易摩擦の激化で企業が設備投資を控えるリスクがあるとして7月利下げを確信させる内容だったが、既に上昇していたBTCは上値を重くすると議長がリブラに深刻な懸念を示すと急落を始めた。しかし120万円割れで反発を見せると、米大統領のアンチ仮想通貨ツィートや国内交換所でのハッキングなどの悪材料にも関わらず反発を見せている。

Outlook

一本調子の上昇ではなくなった訳

来週のBTC相場は底堅いが上値も重い展開を予想する。先週のWeeklyでは堅調な推移を予想、月曜日のDailyで10日のFRB議長の議会証言に注目と申し上げた。勿論買い材料としてだが、証言の前にBTC相場は大きく上昇、証言後は反落する形となった。こうした相場も想定通りで、米中貿易戦争の一時停戦で中国からのフローが細った結果、先月までの一本調子の上昇相場ではなくなった訳だ。

FRB議長発言、トランプ大統領発言、ハッキングの影響

4月のはじめの50万円から150万円まで急騰した相場を支えた要因は①3月15日の仮想通貨(暗号資産)関連法案の提出と25日のディーカレット登録認可やTAOTAOの口座開設受付など国内交換業界の信頼回復②5月の米中貿易戦争激化による中国からの逃避フロー③5月の終わり頃から米利下げ観測が急浮上したことによる代替アセットとしての買い、の3つが大きかったと考える。このうち最もインパクトが大きそうな②の要因が米中首脳会談後に剥落したため反落を起こしたが、まだ①と③が残っているために市場は底堅さを見せている訳だ。その上で、FRB議長の発言、トランプ大統領のアンチ発言、国内交換業者でのハッキングの影響については以下の通りと考える。

・FRB議長発言は7月の利下げを決定的にしたものとしてポジティブな材料だったが、証言以前に先回りして120万円から140万円まで上昇していたため、120万円まで反落したと見ている。すなわち元々が好材料であり、7月末に実際に利上げが行われるまではサポート材料となろう。

・トランプ大統領の発言自体は、米財政政策や金融政策に疑問を持つ人がBTCのサポーターになる訳で、そうした人は大統領がアンチな発言をしても耳を貸さないだろう。むしろ、アンチトランプ層にBTCへ興味を持たせるアナウンスメント効果があるかもしれない。

・ハッキングに関しては必ずしも売り材料とは限らない。今回の様に直ちに状況が公表され、日本のルールに基づいて全額補償されると示されれば5月のBinanceの時の様に買い材料にすらなり得る。しかし、これから仮想通貨取引を始めようとしていた国内投資家に与える心理的影響は未知数で、今後は上昇のペースが緩やかになる可能性があろう。



米国利下げだけ残る

従って、今後は上記で言えば③のみ残る形で、底堅いがより不安定で上値の重い展開が予想される。上は米政策金利と米10年債利回りとドル指数(インデックス)の過去推移だ。赤の縦線が初回の利下げ時だ。少し見難いのだが、米債金利もドル指数も初回利下げまでは金利低下・ドル売りで織り込みに行くが、利下げされた途端、金利は上昇、ドルは買われる。Sell(BUY) on the Factもしくは利下げは金利上昇要因として有名だ。おそらく米利下げで買われているBTCもこの月末に向けた買いが出た後に反落すると考えている。先週ご紹介した現政権が長老にお伺いを立てる中国の北戴河会議の前に買われるとの予想とも整合的だ。こうした上昇が見込める7月下旬を前に、来週は底堅いが上値も重い展開を予想している。

予想レンジ BTC 105万円~145万円


Altcoin


上は7月6日からの主要通貨の変動率。BTCの上昇過程ではアルトコインはついていけなかったが、逆に反落局面ではBTCに連れ安となっている。この背景として、上昇材料は米利下げで代替アセットとしてBTCが買われ、売り材料となったFRB議長のリブラへの懸念発言はアルトコイン全体に効いたと説明可能だ。そう考えるとBTCに次ぐ代替アセットと目されるETHの下げ幅が比較的軽微である事とも整合的だ。この結果、BTCの時価総額に占める割合、ドミナンツは65%と2017年12月のピーク66%に並びかけている。BTCはFRB議長から価値保存手段としてお墨付きを得たが、それ以外のアルトコインは何らかの有用性を見せなければ存在価値を問われる、淘汰の時代に入りつつあることを示している可能性がある。

ETH:今週のETH相場は上値の重い展開。CMEがETH先物開始の準備をしているとの報もあり32000円近辺で底堅く推移していたETH相場だが、BTCの上昇に連れ34000円台に乗せるも上値を重くしていた。BTCの急落を受け30000円を割り込んだが、米SECがSTOを承認したこともあり主要アルトコインが週間で2割前後下落する中、5%の下落と比較的底堅さを見せている。

来週のETH相場は底堅い値動きを予想する。上記分析から弊社では2018年1月のようなアルトバブルは予想しないが、ETHにはBTCプラス1としての逃避需要が見込め、また今後STOが爆発的に流行する可能性もある。30000円回復は時間の問題と考える。

XRP:今週のXRP相場は大きく下落。週前半はオーストリアや本邦交換所でXRP取扱開始、またCoinpostでブラジルでXRP人気が高まっているといった好材料が続いたが44円近辺で上値を重くしていたが、BTCの急落に連れ安で40円を割り込むとリップル社関係者がxCurrentを全インドの銀行に導入するといった発言も材料視されず35円近辺までの急落を見せている。

来週のXRP相場は底堅い値動きを予想する。アルトコインが有用性を軸に淘汰の動きが出ているという上記分析で言えば、ETHに次ぐ有用性を見せているXRPの不振には頭を傾げるが、ずるずると値を崩すことは考え難い。

BCH:今週のBCH相場は大きく下落。Bitmainの元CEO、ウー・ジハン氏がシンガポールで新たなサービスを立上げるなど好材料もあったが、BTCの上昇についていけず、しかし下落局面では連れ安となり40000円を割り込んでいる。リブラの登場で有用性に疑義が生じたBCHだが、年前半に大きく値を上げていただけに、今後も上値が重い展開が続こう。

LTC:今週のLTC相場は大きく下落。8月7日頃とされる半減期まで1か月を切り、チャーリー・リーから、報酬減直後から次回ディフィカルティ改訂までの間はマイニングがコストに見合わず、若干の混乱が生じることが警告された。既に市場は半減期による売り圧力減を織り込んで上昇しており、上値が重い状況下、BTCの急落で2割近い下落を見せている。



FXcoin Weekly Report 2019.07.12.pdf




松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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