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ポンコツ探偵、テザーの謎を推理する

2019-07-16 19:44[ にく

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今回の3連休は比較的近場で過ごしました。遠出の計画もあったのですが、連休中は料金が高いことと道などが混むこととお天気も悪そうなので見送りました。何とかお天気が持ちそうな土曜日に西武園のプールに向かったのですが、川口から所沢までを車でなんと3時間。40キロ強なので、マラソンランナーなら走ったほうが早い計算です。更に月曜日のオービィ横浜という室内動物園も大変な混みようで、駐車場に入るのに15分、チケットを買うのに約30分、猫の部屋に入るのに1時間、動物の部屋に入るのに45分といった感じで全部で3時間近く待たされました。勿論、子どもたちは近くで遊んだり座ったりしてお父さん一人立って並ぶイメージです。道が混むだとか言っていないで、連休中は都内から出来るだけ離れるのが正解かもしれませんね。

で、連休の中日の日曜日は、秦野中井にある住宅展示場に行ってきました。なんで秦野中井まで行ったかというと、展示場のイベントでクワガタ狩りを行っていたからです。本来のムシ狩りは夜中とか早朝にクヌギ林に分け入ってとなるところですが、4歳児と2歳児だと容易ではありません。そこで、予め捕まえてきたカブトやクワガタを放し飼いにした部屋のようなところで捕まえさせる訳です。そうしたイベントは川口周辺でいくつも開催されているのですが、クワガタはここ秦野中井だけだったので、事前に予約の上、車で2時間かけて行ってきました。というのは、以前、秩父の観光農園に行ったとき、息子はクワガタが欲しかったようで、カブトしか取れないと知ってワンワン泣き出したのです。結局、その時に捕まえたカブトムシのうちオスはすぐに行方不明になってしまいましたが、残ったメスに今でも小職が餌を与えています。そこで、今回はクワガタをと思い、これを予約した訳です。

ところが、ムシ取りのブースに入った息子はなぜかクワガタでなくカブトムシを捕まえてきました。カブトが欲しいなら渋滞の中、わざわざここまで来なくても、、、という言葉はぐっと飲みこんで、息子に本当にカブトムシでいいのか念押しをして家に持って帰ることにしました。家に帰るとメスのカブトムシも失踪になっています。飼育ケースのフタはきちんと閉まっていて、野良猫などが襲った形跡もありません。本当に不思議な謎の深まる連続カブトムシ行方不明事件でした。ただ、いなくなったカブトムシのオスの代わりを今回手に入れたことがよほど嬉しかったせいか、息子は熱心に観察しています。しばらくプラスチック越しに見ていたのですが、しばらくすると飼育ケースを下に置いて、フタを外して直接見始めました。「XXちゃん、いつもこうしてカブトムシ見ているの?」「うん」「でも、こんなことしたらムシが逃げてしまわないか」「うん、カブトムシはブーンと逃げていった」と空のほうを指さします。一時は幽霊説も出た我が家のカブトムシ失踪事件の真相はこうして解決に至った訳です。そう考えると、クワガタでなくてカブトムシを欲しがった訳も合点がいきます。自分が逃がしてしまった帳尻を合わせたかったのでしょう。今考えれば、オスがいなくなった時に息子が大泣きしなかったことで気づくべきでした。こんな分かり易い手がかりを見逃すなんて名探偵コナンにはなれそうにありません。

そんな腕の悪い探偵ですが、最近何かとお騒がせなテザー疑惑(騒動)について推理してみたいと思います。まず捜査で重要なことは事実確認です。小職が覚えている限り騒動の発端は昨年6月にテキサス大のグリフィン教授がテザーはBTCの相場操縦の道具だと指摘したところから始まっています。ただ、それ以前からテザーが発行されてBTC相場が上昇しただとか、テザー社と監査法人との関係が解消され疑念がもたれるといった事態があったようです。10月にはテザーの裏付けとされるべきドル預金が足りないのではという疑惑から1テザーが90セントを割り込んだりもしました。更に11月にはテザー社と関係が深いとされるBitfinexが法定通貨の出金手数料に高い手数料を課すとして物議を醸した事もありました。更に今年3月には規約が「ドル」の100%裏づけが「ドルなど」の100%の裏付けに改正され、準備金の一部を仮想通貨で保有しているとの見方もある一方で以前から噂されるBitfinexとの貸借関係を認めたとの見方も浮上しました。そして遂に、今年4月にNY州司法長官がBitfinex社らを訴追、テザー社はテザーの26%に裏付けが不足しており、Bitfinex社が7億ドル流用していることを認めました。3月の規約改定は裏付けがUSD現金でなくBitfinex社への債権に変わる事を認めことだったことが判明した訳です。ただ、ここで驚くことにテザー価格にはほとんど影響がありませんでした。その後、Bitfinex社はIEOにより不足分を上回る10億ドルを調達、裏付け不足分は解消される形となりましたが、両者の間でどのような資金のやり取りがあったのかは不明です。ただ7月に入り1億ドルを返済したと発表されています。尚、NY州との訴訟については、4月時点で預託金を流用しているとして訴追を受け、一部を認めつつ、それは誤解だといった声明を出したりしていました。直近ではNY州での無許可営業の疑いが浮上、テザー社が一時口座を保有していたNY州のメトロポリタン銀行の口座の動きが焦点となっている様です。

こうして概観してみると、問題点がいくつか出てきます。まず、テザーの裏付けがなかったこと、次にBitfinexがテザーを発行する代金をテザー社との貸借で行っていたこと、それによってBTC相場を操縦していたのかということなどです。まず、テザーの裏付け資産についてですが、そもそもBTCにしてもETHにしても仮想通貨に裏付け資産は存在しません。更に裏付けが不足していると判明してもテザー価格は暴落しませんでした。すなわち、多くの人がテザーの発行量と裏付けとなる法定通貨の預託の存在がテザー価格を支えていたと思い込んでいたのですが、必ずしもそうでは無かった訳です。これはテザー社がわずかな元手を元に信用創造をしている銀行と同じだと開き直ったことと整合的です。ただ、銀行の場合、信用力が著しく棄損した場合は取り付け騒ぎが生じるリスクがありますし、ステーブルコインでも同様でしょう。今回の76%では何とか凌げたという事でしょう。また、取り付け騒ぎが発生しなかったとはいえ、発行量と同額の裏付けを有していると約束しながら、実はそうでは無かったという誹りは逃れられません。ただ、今年3月に規約を改正し、USDなどということにして過去はともかく現時点では何とか取り繕ったという形にした様です。次に貸借の問題ですが、こうした信用供与自体は銀行などでよく目にするものです。証拠金取引も類似した取引とも言えるでしょう。ただ、ここでも約束違反の誹りは逃れられないでしょう。要は、Bitfinex社とテザー社が行っていたことは約束違反だったが、テザーという存在自体は市場から認められているという事なのかと考えています。

次に相場操縦に関して。小職はいつも疑問に思うのですが、テザーの大量発行でBTC相場を吊り上げたと主張する人は、その吊り上げに成功した人がいたとして、そのBTCをどうしたというのでしょう。買う時は価格が上がるが、売るときは価格は下がらないというのでしょうか。もしかすると、過去には相対で裏付けなしにテザーを発行して、うまく売り抜けたケースもあったのかもしれません。しかし、少なくともNY州から訴追された後の先月のテザーの発行急増を裏付けなしの発行と見るのには無理があると思っています。そうした貸借による発行がない下でテザーが大量発行されていたとすれば、それだけニューマネーが流入したと考えるべきでしょう。ニューマネーが流入して相場が上昇した、そういう事なのだと思っています。すなわち、テザーが発行されてBTC価格が上昇するという相関関係は存在すると考えますが、それはニューマネーが流入しているからで、ほかの市場ではなかなか分からないフローが、テザーを経由する場合だけブロックチェーン上で確認できる、そういう関係ではないのか、そう推測しています。メサーリ社がテザーの発行の背景に中国人投資家によるOTCでの買いを指摘していましたが、差の可能性が最も高いと思います。

以上、テザーに関して色々と推理してみましたが、何せカブトムシを逃がしたのは息子だったという事さえ見抜けなかったポンコツ探偵のいう事なので、話半分に聞いていただければと思いますが、こうして自分なりに推理をしていくことに相場の醍醐味があると思っています。道理でTVドラマでも小説でも刑事ものが無くならない訳です。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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