2019.7.19【ビットコイン相場は反転上昇か。来週の注目材料は?】

2019-07-19 19:44[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム リップル ライトコイン



Review

リブラを巡り乱高下

今週のBTC相場は上値の重い展開。米ドルで1万ドル水準となる107万円で一旦反発を見せるも120万円で反落、今度は100万円割れで115万円まで急反発を見せている。先週、FRB議長証言での利下げ言及への期待もあり140万円台に乗せるも議長がリブラに深刻な懸念を表すると急落を始めたBTC相場だが、今週に入っても下げ止まらずテザーの誤発行やアルトコインの全面安もあり107万円台まで下落。1万ドル水準での押し目買いで120万円まで反発するも、リブラに関する米上院公聴会で異論が噴出100万円近くまで急落した。更に仏財相のG7はリブラに対する懸念を共有とのコメントに100万円を割り込んだが、押し目買い意欲にすぐさま反発、賛否両論だが批判が多かった米下院の公聴会の影響は限定的だった。G7議長総括で通貨主権に言及され100万円トライするも割り込めずにいると悪材料出尽くしたせいかショートカバーを誘発、115万円まで急騰している。

Outlook

悪材料出尽くし

来週のBTC相場は底堅いが展開を予想する。先週は「底堅いが上値も重い展開を予想」した。確かに上値は重く、下値も100万円前後では急反発するなど底堅さを見せたが、100万円割れを底堅いと言うのには無理がある。なぜ想定以上に売られたかといえばリブラの公聴会にここまで反応したことだ。この点に関しては別稿などで説明したが、ルメール財相が言うように、リブラは通貨主権を侵そうとした結果、世界中から糾弾されたが、意図的かどうかは不明だが、公聴会に立ったカリブラ社は全くその点を説明できていなかった。結果としてリブラの開始には相当時間がかかることが市場に織り込まれ、悪材料出尽くしで反発していると考えている。

リブラの功罪の「功」

ただ、リブラの功罪はこれだけではないだろう。小職がざっと数えたところホワイトペーパーが発表されて1か月で日経の電子版で検索したとリブラが出てくる記事は100を超え、リブラがNHKのトップニュースとなり、ついには天声人語にまで登場した。中国ではGoogle検索でリブラが1位となるなど、こうした事態は世界中で発生している可能性がある。多くは批判的論調かもしれないが、そのうちの仮想通貨に興味を持つ人も少しは出てくるだろう。ただ、そうした巨大マスコミがアクセスする層の人数や保有資産は現在の仮想通貨市場参加者のそれとは比べ物にならず、相場の底支えとなろう。また、リブラへの批判の多くは一部私企業が通貨を発行することで、そこをクリアしているBTCなどの非中央集権通貨の優位性が見直されるきっかけともなっている様だ。

米国利下げが意識される展開

昨日、NY連銀総裁が利下げに前向きな発言を行い、米債金利が低下、ドル売り、そして米株が上昇に転じた。FRB議長の議会証言以降、若干下火になった7月末の米利下げに再び注目が集まりつつある。上は以前ご紹介した金価格とBTC価格との対比だ。6月18-19日のFOMCで7月利下げの方向が示され、金価格が上昇、同じく代替アセットとしてBTCにも買いが入った。その後、1400ドル近辺で上値を重くしていた金価格はレンジを若干ブレークし1450ドルを伺う動きとなっている。リブラ問題で値を下げていたBTCも、この材料をこなしたことで再び騰勢に転じるものと予想している。7月25日のECB、7月30日のBOJ、7月31日のFOMCと各国中銀の政策決定会合を前に金融政策に注目が集まりやすい相場展開になるのではないか。但し、先週のWeeklyで申し上げた中国や本邦からのフローに陰りが見える可能性があり上値の余地も限定的か。

予想レンジ BTC 100万円~140万円

Altcoin



上は先週ご紹介した7月6日からの主要通貨の変動率をもう1週間伸ばしたもの。BTCの上昇過程ではアルトコインはついていけなかったが、逆に反落局面ではBTCに連れ安となって、この背景として、買い材料は米利下げによるBTCへの代替アセットとしての需要で、売り材料はリブラへの懸念でアルトコイン全体に効いたと説明した。その構造は今週も大きくは変わっておらず、リブラで売られる局面では仮想通貨全体が全面安となっている。その際、時価総額2番手のETHにBTCプラスワンとして一定の需要が流れている可能性を指摘したが、今週はそのETHとBCHのパフォーマンスが特に冴えず、特にETHの7月14日の下落が際立っている。後に述べるがヴァテリック・ブテリン氏のBCHとの統合提案が与えたショックが大きかったことが伺える。17日以降はBTCよりアルトコインのパフォーマンスが良好だが、これは相場の戻しが逃避需要でなく、短期的な売られすぎの反発だったので、より売られていたアルトコインの買い戻しが勝ったと考えるべきだろう。来週以降、BTCへの逃避需要が復調すると考えるが、そうした局面ではやはりアルトコインが出遅れ、その中でETHは比較的堅調といった相場展開が予想される。

ETH:今週のETH相場は大きく下落。アルトコインの中でも際立ってパフォーマンスが悪く、対BTCでは0.025を割り、ICOバブルが開始する2017年3月頃の水準に逆戻りしている。週末に未来予測プラットフォーム、ベールが閉鎖、分散取引所の0Xに脆弱性が見つかるなどイーサリアムベースのプロジェクトに関するネガティブなニュースが伝わったところに、ブテリン氏がスケーラビリティーを解決するために、イーサリアム2.0の前に短期的にBCHとの統合を提案したことが嫌気されたか、結局2割近く値を下げ、その後の戻りも限定的にとどまっている。

来週のETH相場は揉み合い推移を予想する。前述の様に来週辺りから米利上げを嫌気した逃避買いがBTCを支え、そのフローの一部はETHにも流れると考えており、基本的に底値は堅い。ただ、BCHとの統合は①イーサリアムの開発の遅れ②BCHへのアレルギーと2重の意味でコミュニティーにショックを与えている。この問題の方向性が出るまでは上値が重い展開が続くか。も予測来週のETH相場は底堅い値動きを予想する。

XRP:今週のXRP相場は上値の重い展開。アルト全面安の流れの中で連れ安気味に推移したところ、リップル社CEOのリブラとの違いを示す姿勢を好感し、比較的底堅く推移、一方で本邦当局が主導で暗号資産版SWIFTが開発されるとの報の影響もあってか、アルトコイン全般の買い戻し局面でついていけていない。

来週のXRP相場は揉み合い推移か。ガーリングハウスCEOが指摘する様に無計画に世界の金融インフラを牛耳ると立候補し四面楚歌にあったリブラに対し、政府や既存金融機関と歩調を合わせるXRPの安定感は際立った。一方でリブラの失態は非中央集権通貨への脚光を呼び覚まし、結果としてXRPが戻し局面で出遅れさせる形となった。こうした地合いがもう1週は続くか。

BCH:今週のBCH相場は大きく下落。上述のブテリン氏の統合提案、また国内交換所の補償分の買い戻しが完了したこともあり大きく値を落としたが、前述の非中央集権通貨への脚光を集めたこともあり、持ち直しを見せている。ETHとの統合はETHの売り材料だがBCHにとっては微妙なところ。反応に注目したい。

LTC:今週のLTC相場は下に行って来いの展開。国内交換所の買い戻しが完了するとETHの下げもあり値を下げたが、その後大きく値を戻している。ドルフィンズのスポンサー就任と非中央集権への注目が後押ししたか。


FXcoin Weekly Report 2019.07.19.pdf




松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

アーカイブ