2018.9.14【73万円台へレンジ上抜け】

2018-09-14 21:46[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 bitcoin Ethereum XRP Bitcoin Cash Litecoin



Review

CITIはADR MSはTRS

先週のBTC相場は70万円を挟んでの揉みあい。好材料が続いたこともありアルトコインが総崩れとなる中、底堅く推移、週後半にはETHの反発などを受けて73万円台まで値を戻した。ETH創始者Vブテリンが仮想通貨が1000倍になる相場は終わったとすると68万円台に下落、CITIが仮想通貨のADRを検討しているとの報で71万円台へ戻す展開。その後、米SECが仮想通貨ETNの米国内での販売を停止すると再び70万円を割り込むも、NY当局がStableコインを認可したこともあり底堅く推移。NY地裁が仮想通貨詐欺に証券法を適用、日本でも金融庁主催の研究会で自主規制団体の厳格なルールが公表されると市場はむしろ好感、モルガンスタンレー(MS)が仮想通貨のTRS(トータルリターンスワップ)を検討との報道に一時73万円を付けている。

Outlook

下値が底堅い背景

来週のBTC相場は上値余地を探る展開を予想する。ICO JournalはCITIが仮想通貨によるADRを検討しているとした。ADRとは個別株などを預託証券の形にして投資家に売る有価証券で、上場と非上場がある。上場であればETFと経済効果はほぼ変わりがないが、ハードルは高くなる。BloombergによればMSはBTC先物を用いたTRSを計画している。トレーディングデスク棚上げ騒動(後に否定)のゴールドマンサックス(GS)はNY TimesによればBTCのNDFを準備しているとされている。これらETF、ADR、TRS、NDFのいずれも現物を持たずに経済効果だけ得ようとする商品で、分別管理の要請から現物を持たない、もしくは持つことが出来ないヘッジファンドや機関投資家を想定したサービスだ。カストディーも同じ理屈で注目されている。従って、こうした投資銀行の動きの背景に、彼らの仮想通貨に対するニーズの高まりが見て取れる。グリニッジ社の調査によれば7割以上の機関投資家が将来的に仮想通貨は社会に定着していくと考えている。すなわち、今後仮想通貨の価格が上がるか下がるかは分からないが、徐々に社会に定着していくものなのだから、ポートフォリオの何%かを振り分けたいという機関投資家(およびその背後にいる個人投資家)の潜在的なニーズが高く、その声に押される様に各金融機関が受入準備を着々と進めているのが現状だ。悲観的なテクニカル分析が跋扈する中でBTC相場が底堅かった背景はここにあると考えている。

法的整備が急がれるが

今後、重要さを増す仮想通貨に対する規制議論の直近の進捗を以下纏めた。いずれも仮想通貨(暗号資産とするケースが多い)ブロックチェーン技術の将来性にはポジティブながら、OECDでは政府の介入の必要性が指摘され、EUではマネロンなどの対策はG20など国際的枠組みで対処し、一方で国内問題として仮想通貨を法的にどう位置付けるかが課題とされている。この点で7月のG20で方針を託されたFATFの動向が注目されるが、9月のフォーラムおよび中間会議では議論したとHP上に記載されただけで今のところ詳細は伝わっていない。前回G20時は直前に報告書が発表されており、今回もその公表が待たれる。米国では法整備を急ぐべくロビー活動が開始され、一方でNY地裁が踏み込んだ判断を行っている。この点で日本の動きは進んでいて、法的位置づけも定義されているが、これまでの議論の整理の中で、決済機能を念頭にした法整備が投資・投機とした用途を考えた場合、十分でない可能性が指摘されている。どうやら、法整備と言っても、マネロンなどの国際的な取組と投資家保護などの国内における法整備の2種類がある様で、前者に関してはでFATFの報告が待たれる一方で、後者に関しては相当時間がかかりそうだ。

OECD 9月4日 事務総長エンジェル・グリア(Blockchain Forumのオープニングスピーチ)
「マーケットに公正と秩序をもたらすために“信頼できる第3者”である政府が役割を果たす」
FATF 9月6日(Fintech Regtechフォーラムにて)FATF基準を仮想通貨業界に適用する方法を議論
EU 9月7日 ドムブロフスキース副委員長(ウィーンでの財務相非公式会談での記者会見)
「仮想通貨は定着し・・・成長していく」
「投資家保護・公正性・マネロン・詐欺・ハッキングなどのリスク・・・FSBやG20と協力」
「仮想通貨を法的にどう位置付け、EUの金融ルールを適用していくかがEUの課題」
英国 9月11日ベイリーFCA長官(規制当局年次会議でのスピーチ)
「仮想通貨の役割を阻害するつもりはない」
「リスクは消費者保護に止まらない」
米国 9月11日ブロックチェーン協会がロビー活動を計画。法整備を求めていく。
9月12日NY連邦地裁 ICO詐欺に証券法を適用。
日本 9月12日 金融庁主催第5回研究会にて12項目に渡る自主規制ルールの概要が公表


予想レンジ BTC 70万円~85万円

Altcoin

ETH:下に往って来いの展開。9月初から4割下落したのち、2割戻した格好。週初、創始者ヴィタリック・ブテリン氏が仮想通貨が1000倍になるような相場は終わったと発言、半日の間に1割以上の値を下げる。その後、BTCが底堅く推移する中、軟調に推移し、遂には2万円を割り込み、仮想通貨全体に対する占有率も1割を切った。その中で、共同創始者のジョセフ・ルービン氏が仮想通貨の成長は続く、ブテリン氏がETHがゼロにはならないなどと発言し反発するも下げ止まらず、NY連邦地裁が仮想通貨詐欺に証券法を適用したと伝わり、ようやく反発を始めた。仮想通貨に対する法的整備の第一歩となると同時に既にSECから通貨として認められているETHには有利に働くという思惑もあった模様。その後、冒頭の1000倍発言を巡ってやりとりがあるも反応は限定的で一時24000台を回復していた。ここまで売られた背景にはICOで調達したETHが大量に売られていたとの見方もあると同時に、ICOは出資者が先にETHを買い、調達者が後から売るという性質上、6月に史上最大のICOが終了、ICOに対する規制圧力が高まっていた8月後半は非常に低調だったため、需給の期ズレからも売られやすい状況が続いている。



XRP:前週末に顧問弁護士だったブラインリィ・リヤ氏が辞任。経緯は不明も証券にあたるかを巡って集団訴訟のリスクがある状況でのこの異動に市場は少なからぬショックを受けた。その後、ETHの下落に軟調な推移を続け、R3との訴訟の和解や、ロイヤルカナダ銀行がXRPにより送金コストが4割以上削減されるとの発表も一時的な反発に止まった。SBIがスマホ用の送金アプリ、MoneyTapを予定通り今秋展開するとしたことやETHの反発もあり大幅に値を戻している。このアプリは内外為替一体コンソーシアムに参加している銀行に提供され、24時間国内送金が可能となる優れたシステムだが、XRPの分散台帳技術を利用しているだけで、XRPの受給に与える影響は限定的と言えよう。


BCH:週前半はBTCに連動、ETHを筆頭にアルトコイン相場が崩れる中、比較的底堅く推移していたが、CoingeekのサイトでBitcoin SV支持のカルビン・エアー氏が分裂を望んでいないとしながらもSVの正当性を主張し徹底抗戦の構えを見せると軟調に推移。週後半にはETHやBTCの回復に値を戻している。対立するABCの開発者で善良な独裁者とされるアモーリ・セシェとSVの中心人物で元自称サトシ・ナカモトのクレイグ・ライトの両氏が別々にSNSで質問を受け付けると発表され注目を集めている。


LTC:海外取引所C-CEXでLTCが盗難される事故が発生。Vブテリン氏の発言(ETH参照)もあり値を下げるもBTCに連れ値を戻す展開。アルトコインの下落に売り圧力がかかるが、海外取引所BittrexでLTCの対ドル取引が開始されると切り返し、その後は今週末に控えるLTCサミットへの期待もあり、他のアルトコイン同様、値を戻している。


Calendar

9月14-15日 LTCサミット(サンフランシスコ)
9月19日 CBOE BTC先物最終取引日

FXcoin Weekly Report 2018.09.14.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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