仮想通貨の価値の源泉(前)

2018-09-18 09:45[

田中泰輔の通貨にまつわる仮想 仮想通貨 投資

相場は自らを正当化する

市場はあらゆる情報を織り込んでいる、と言われる。市場では、様々な情報、分析、予想、思惑、直感に基づく参加者が売買で交じわり、相場を形成していく。しかし、だからと言って、市場が常に的確でバランスの良い情報処理メカニズムとして働くわけではない。特に短期・中期相場において、市場の情報解釈には特有の歪みが生じやすい。
市場参加者が買う時、相場が上がるかもしれないし、下がるかもしれない、だけどどうやら上がるかなと自分は考える、という程の判断で動く。この不確かな予想を早期に確信に変えるのは、ほとんどの場合、事実が確認されたことによってではなく、相場の動き自体による。相場が予想通り上がれば、買い持ちの人は皆、ほら私の洞察は正しかったと自信を強める。しかも買った理由は人によって様々でも、それぞれが自らの理由づけを正しかったと感じる。こうして、思惑的な買いが増えて、相場を押し上げるほど、思惑の正しさが証明されたかの錯覚を強化していく。相場は自らを正当化するのである。

持て囃され、おとしめられ

昨年、仮想通貨の相場は熱狂がエスカレートした。相場が上がれば上がるほど、仮想通貨による金融新時代のストーリーが補強され、正当化された。政府に支配されない仮想通貨が、ドルや円などの法定通貨に取って代わる、低コストで自由に移動できる新金融の幕開けだ、などと喧伝され、相場が上がるほど、乗り遅れてはいけないという焦燥を誘った。
一転今年、仮想通貨相場は反落した。仮想通貨全体の時価総額は今年初めのピークから4分の1、20兆円強に減少している。なぜ相場が下がっているのかという視点に立って状況を解釈しようとすれば、あそこが悪いから、ここが悪いからというマイナス面ばかりが槍玉にあがる。相場には上下動がつきものだ。上昇相場ではプラス材料を、反落相場でマイナス材料を「時間差」で織り込むのが、市場という情報処理装置の性質である。
相場の上下動1サイクルを経れば、プラス・マイナス両面の織り込み方のバランスが良くなる。昨年は相場の熱狂によって仮想通貨という未知の可能性が持て囃され、今年は相場の反落によって仮想通貨の評価も反動に見舞われている。仮想通貨が市場として定着し発展していくためには、実態の冷静な理解と認知が広く共有されて行く必要がある。

金融資産の価値の源泉

そもそも仮想通貨の価値は何に由来するのか。株式や債券であれば、その発行元が将来にわたって生み出す価値に基づくものと理解される。株式を発行して資金調達した企業が、今年、来年、再来年…10年後と成長・発展していけば、その企業が先々生み出す収益(価値)が株価に反映される。個々には、調達した資金の何倍も価値を生み出す企業がある一方、十分な価値を生み出せず、存続すらできなくなる企業もある。それら企業全体が生み出す価値の伸び率は、一国経済の成長率に近いものとなる。
企業が発行する債券の場合、債券の買い手に対して利子を払い、満期には返済する。当然、それは発行者自身が生み出す価値(収益)によって賄われ、その信用力によって、債券の価格が決まる。債券発行や借入れという負債に対する利払いも、一国全体では経済成長という付加価値で賄われる。
国債の場合、発行元である国は、企業のように価値を生み出しているのか疑問もあろう。国債は政府の課税権を担保に発行される債券である。政府が適切な政策運営で国の経済成長を促進すれば、その分税収が増え、国債の利子・償還に充当できる。もし経済が停滞し、財政収支が悪化するなら、国債の利払い・返済が難しくなる。それを無謀な増税によって行おうとすれば、経済は更に悪化し、国債の返済目処が一層立たなくなり、価格も下落する。
要は、株式にしろ、債券にしろ、金融資産としての価値は、その発行元が将来にわたって生み出す価値が源泉である。長期的に均して見れば、ある国の株価全体の伸び率、債券全体の収益率(利子率)はその国の経済の成長に見合う。

株式や債券といった金融資産との対比で、仮想通貨の価値の源泉は何が異なるのか、そして、その仮想通貨が普及・発展する意義はどこにあるのかを後編で考えよう。

以上

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