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黒部ダムで考える、世界は再生可能エネルギーで賄いきれるのか?

2019-08-13 19:28[ にく

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このお盆の3連休はかなりハードでした。まず、土曜日に北軽井沢のおもちゃ王国に向かいます。軽井沢まで新幹線、そこからレンタカーで40分ですが、この時期の午前中の北陸新幹線の指定席は満席ですし、自由席は通勤電車並みで子連れにはしんどいものがあります。連休初日は、おもちゃ王国で遊んで、翌日は家内と子供たちをホテルに残して、小職はゴルフに向かいます。個人的にはこれがメインイベントで、話題の渋野プロが今週末に出場するコースで一足早くプレーする作戦で、これをすると週末のTV観戦が非常に面白くなります。プレーを終えると、おもちゃ王国に戻り、この日は息子とベイブレードで遊びました。

ここまではよくある休日だったのですが、家内と子供たちはおばあさんの初盆という事で富山に向かうので、当初はそこまで送れという指示がありました。一見無駄にも感じますが、親一人で幼児2人を連れて行くと電車代が1.5人分かかってしまうので、小職が往復してもあまり変わらない訳です。ただ、単に新幹線を往復するだけだと面白くないので、最初は宇奈月温泉まで行ってトロッコ列車に乗ろうかと考えました。でも、せっかく黒部川方面に行くなら、黒部アルペンルートを踏破してみたいと考え始めました。黒部アルペンルートとは、関電が黒部ダム(通称クロヨン)を作る資材運搬用に長野県の扇沢からダムまで掘った坑道などを観光用に開放、電気バス、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスなどを乗り継ぎ、立山登山の入り口室堂(平)まで行き、そこから更にバスとケーブルカーを乗り継ぎ、富山鉄道の立山駅まで、北アルプスこと立山連峰をほぼ乗り物だけで横断するルートです。スイスとかでよく聞く山岳観光の日本版で、箱根なんかでも登山鉄道やケーブルカー、ロープウェイを乗り継いだりしますが、おそらくこうした乗り物で行くお手軽山岳観光では日本で一番規模が大きいと思いますし、一度行ってみたかった訳です。

ところが立山側は比較的開けているのですが、長野側の入り口である扇沢も最寄り駅となる信濃大町もレンタカーの営業所一つありません。そこで軽井沢で借りたレンタカーを長野駅で乗り捨て、そこから特急バスに2時間弱揺られて扇沢に向い、そこからアルペンルートを抜けた立山駅で義父に車でピックアップしてもらい、仕事がある小職は富山駅で降りて新幹線で川口駅に戻ります。もう一度、繰り返すと、朝、浅間山のふもとのホテルをレンタカーで出発、嬬恋村、菅平を抜けて山道を通り長野駅まで行って、そこからバスで扇沢に行って、6種類の乗り物を乗り継いで立山連峰を抜けて、富山から新幹線で埼玉に戻ってきた訳です。1日で。

で、やはりクライマックスの一つ、黒部ダムは圧巻で、特に観光放水は水煙が上がって圧巻でした。大きいというより、高いという印象でした。小学生の頃にトンネル掘削時の苦労を図書館で読んでいたので、感慨深いものがありました。昔の人なら黒部の太陽、最近の人ならプロジェクトXでしょうか。何でも完成当時の発電量は250MWで当時の大阪府の電力の半分を賄ったそうです。何で黒部がそんなに発電にいいのかと言えば、北アルプスこと飛騨山脈を縦に割って流れているからで、富山湾に向かって左が立山連峰、右が白馬岳などの後立山連峰で、両者が出会うのが鷲羽岳、すなわち黒部川の源流で、そこから飛騨山脈は一つになって日本3番目の高峰、奥穂高岳に連なります。そこで関西電力では大阪の発展には黒部しかないという決意で難工事に立ち向かったそうです。因みに関西電力は今でも富山県内の黒部川、神通川、庄川の3水系から1,800MW以上の発電能力を有し、同社の水力発電量の半分以上を占めています。

ただ、世界で一番大きな中国の三峡発電所は22,400MWなので10倍以上ある計算です。中国恐るべしですね。この三峡発電所は長江が山岳部から湖北省の平野部に入る入り口のところに設置、そのダム湖は600キロ先の重慶市まで続いているそうです。マイニングで話題となる四川省の発電所というのは、長江の更に上流にある様で、三峡で発電された電気は上海など沿岸部に送電されている様です。以前、BTCのマイニングに投入される電力は欧州の小国1国分とご紹介したことがありました。そして、もしBTCの価格が突然10倍にでもなったら競争原理でマイニングに投入される電力も10倍とまではいかなくとも数倍に跳ね上がるので、それは社会的に認められないだろうというお話をしました。よくBTCへの批判で地球環境に与える影響が取り沙汰されますが、もしこの電力が再生可能エネルギーだったらどうなるでしょうか。というか、再生可能エネルギーで賄えるものなのでしょうか?

結論から言えば、十分賄える可能性が高いと言えるでしょう。資源エネルギー庁の調べでは、日本の発電量に占める再生エネルギーの割合は2017年現在で日本は16.1%ですが、アメリカは17.0%、中国は24.9%程度ですが、欧州は軒並み高く英国は29.7%ドイツ33.6%、イタリアが35.6%と原子力大国フランスが16.5%と低い以外は軒並み3割前後になっている様です。また英国やドイツなどは水力でなく風力や太陽光などのシェアが高いことも指摘されています。ただ、そうした水力を除いた再生可能エネルギーはコストが高いことがネックとなると言われています。日本の固定買取価格制度では1KWh当たり太陽光で住宅用が24円から26円(2019年度、それ以前はもう少し高かった)、メガソーラなど非住宅用は21円だったのが2018年に18円に引き下げられました。風力も陸上はおおむね似たレベル、海上だと36円だそうです。地熱は細かく分かれているのですが12円から40円、中小水力も12円から34円、バイオマスは24円(条件によって17円から40円)となっています。マイニングに投入される電気代は一般に5円から10円と言われているので、これでは太刀打ちできません。また、上記はあくまで電力会社の買取価格で、我々一般家庭では、この再生エネルギー固定買取制度のおかげで再エネ賦課金として2-3円高い電気を購入しているとも言われます。

ところが、国際再生可能エネルギー機関 (IRENA)によれば太陽光発電のコストは近年劇的に下がっている様なのです。同機関の2018年の再生可能エネルギー発電コストによれば2010年から2018年までの8年間に太陽光発電のコストはKWhあたり37.1セントから8.5セントに低下、雨の少ない、チリ、メキシコ、ペルー、サウジアラビア、UAEでは3セントという例も出ている様です。また陸上型風力発電では2010年の8.5セントから2018年は5.6セントまで下がっています。この太陽光・陸上風力は一昨年から昨年にかけての1年間にそれぞれ26%、13%コストが低下し、今後10年でさらにコストが削減されると同機関は予想しています。勿論、インフラ投資を償却しきっている数十年前に作られた大型ダムとこれから投資して償却していく太陽光・風力を同一に比べられませんが、来年運転開始予定の陸上風力発電容量の 4 分の 3 以上、太陽光発電容量の 5 分の 4 以上は、新規の石炭または天然 ガス発電で最も低価格のものよりも低い価格で発電するそうです。インターネットの草創期と比べてブロックチェーンに関しても、技術の進歩により多くの問題は解決され得ると言われますが、実はマイニングの電力消費と環境問題に関しては解決される日は近いのかもしれません。

立山アルペンルートに話を戻すと、黒部ダムで珍しそうに写真をたくさん撮っていた家内ですが、立山の室堂にはあまり興味を示しません。聞いてみると、なんと標高3003メートルの雄山まで、この室堂から標高差550メートル、距離2200メートルで、富山県の小学生の遠足コースらしく、もう4回登ったことがあるそうです。うーん、この室堂周辺の本格装備の人たちにはとても教えられません。因みに、そういう訳で、今週金曜日までは束の間の独身生活なので、小職もこんなところで仕事をしている場合ではありません。ということで、今週はこの辺でお開きとさせて頂きます。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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