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【第4回】 オプションディーラーの視点 ~プットの建玉増加はターバイが原因か~

2019-08-21 10:33[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

直近1週間のフロントエンド・オプション(オランダの仮想通貨オプション取引所Deribitで9月末までに行使期日を迎えるオプション)の建玉変化を確認すると、11,500ドル~13,500ドル(前週比▲919BTC)のトップサイド・コールが減少する一方、8,000ドル(前週比+779BTC)や、9,000ドル(前週比+722BTC)、10,000ドル(前週比+949BTC)のダウンサイド・プットが急増していることが確認されます(添付グラフご参照)。また、全体(合計)で見ても、前週比+3,010BTCの建玉増加が見られる等、BTC相場の乱高下に伴ってオプション取引が活発化した様子が伺えます。

ダウンサイド・プットの建玉が増加している背景としては、①個人投資家によるダウンサイド・プットの買いと、②個人投資家によるターゲット・バイイング(ターバイ)を目的としたダウンサイド・プットの売りの双方が考えられます。①については、ビットコイン価格の下落を見越して「プット・オプション」を仕込むシンプルな戦略です。個人投資家によるプットの買いは、マーケットメイカー(以下MM)によるデルタヘッジの「現物売り」を通じて、ビットコイン価格を押し下げる効果を持ちます。ビットコイン価格が先週後半にかけて11000ドル近辺から9600ドル前後まで急落した背景には、個人投資家による「プット買い」と、それに伴うMMの「デルタヘッジの現物売り」があったと推察されます。

一方、②については、個人投資家によるターゲット・バイイングを目的とした「プット売り」の可能性が挙げられます。ターゲット・バイイングとは、実勢より低い水準で現物を購入しよう(指値買い)と考えている投資家が、購入目標価格(指値価格)を行使価格とするプット・オプションを売却する手法です。具体的には9000ドルまで下がったらビットコインを買おうと考えている投資家が、現時点で9000ドルを行使価格としたプット・オプションを売却する手法となります。仮に行使期日時点で9000ドルを割り込んでいたとしても、当該オプションの売り手は9000ドルでビットコインを買わされるだけですので、指値で現物買いを入れているのとほぼ同じ経済効果が生まれます。オプションディーラーの世界で、「プットの売り」は「指値の買い」と同じと言われる所以です。尚、個人投資家がターゲット・バイイング目的でプット・オプションを売却する場合、MMのデルタヘッジは「現物買い」となります。つまり相場を下支えする効果をもたらします。

先週から今週にかけて、ビットコイン価格が急落後に急反発した原因を、オプションディーラーの視点でやや強引に振り返ると、下記フローチャートのような形となります。あくまで推測ですので、一つの参考見解としてご使用下さい。

尚、ビットコイン・オプションのカレンダー構造を確認すると、期近(8/23足や8/30足)が安く、期先(9/27足や12/27足)が高い、順カーブが形成されております(添付グラフご参照)。つまり、短期的に大きな動きはないが、中長期的に大きく動くと予想している市場参加者が多いことを表します。Bakktが始まる9/23以降のオプション・ロングをベース・ポジションとして維持しつつも、目先はプレミアム料を節約する目的で期近のオプションを売却してプレミアム(タイム・ディケイ)を稼ぐ戦略を取っていると考えられます。

SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM(現職)。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

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