2019.8.28【2000億円分ビットコインの売り?ライト氏裁判の影響を試算】
2019-08-28 08:30[ 松田康生 ]
通貨 | BTC | ETH | XRP | BCH | LTC |
価格 | 1,073,243 | 19,768 | 28.4 | 32,777 | 7,704 |
前日比 | ▼1.4% | ▼0.5% | ▼0.3% | +0.2% | ▼1.2% |
Review
クレイグ・ライト氏敗訴
昨日のBTC相場は狭いレンジでの動意の薄い展開。100万円台半ばでの底堅さも見せたが、110万円近辺での上値の重さも印象付ける展開となった。ジャクソンホール・G7サミットといったイベントを経て、市場は金融緩和、通貨安競争といった方向に反応、昨日もオンショア人民元は11年ぶりの安値を更新している。そうした中、米大統領の中国から合意を望む電話があったとのツィートもあり上値を重くしていた。元自称サトシのクレイグ・ライト氏がかつて共同採掘をしていたクレイマン氏の遺族との裁判で敗訴、55万BTCの支払いを余儀なくされるとの速報に続き、同氏がインタビューに答えBTCで支払う意向と、その場合、相続税として20億ドルの売り圧力となるとしたことで上値を重くした。その後、中国当局が電話を確認できないとし、毀誉褒貶の激しいトランプ氏との合意を不安視しているとの観測記事もあり金価格などが急騰したが、BTCの反発は限定的に止まった。
Outlook
将来の売り圧力
本日のBTC相場は底堅いが上値の重い展開か。クレイグ氏が指摘する様に仮に相続税支払いの為に20万BTCの売り圧力となった場合を考えると、Mt.Goxの管財人が2018/3/7~6/22までに2.5万BTCを売却した際に相場は10000ドルから6000ドルに4割下落した。今回のはその8倍の売り圧力で、但し当時と比べこの3か月の出来高は3.5倍になっていることを勘案しても、当時の2倍以上のインパクトがある。すぐ売りが出る訳でもなく、同氏が110万BTC保有しているかも不透明だが、将来の売りがしばらく上値を重くする可能性があるか。
FXcoin Daily Report 2019.08.28.pdf
松田康生 (まつだやすお)
シニアストラテジスト
東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。
短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通
twitterアカウント:@FXcoin_matsuda