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2019.8.30【ビットコイン相場反発か?リップル社の売りの影響も分析。】

2019-08-30 16:02[ 松田康生

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Review

10,000ドルの攻防に敗れる

今週のBTC相場は上値の重い展開。一方で10,000ドルの水準では底堅さを見せていたが、週後半にかけて同水準を割り込む展開となった。注目のジャクソンホールでのパウエル議長講演では利下げを示唆するも明言を避けたが、これに大統領が不満を表明するも市場は利下げを確実視、また前FSB議長のカーニー英中銀総裁が仮想通貨を準備通貨にすべきと発言するも上値を重くすると10,000ドル水準まで急落。香港情勢の悪化もあり下げ止まると、週明けのオフショア人民元市場が最安値を更新する展開にBTCも急騰。しかしトランプ大統領が中国は合意を望んでいるとして米中緊張緩和ムードが広がる中、上値を重くすると、自称サトシのライト氏が敗訴、これが数十億ドルの売り圧力になるかもしれないと見方もあり下押し、Bakktの入金が9/6に開始するとの報を受けた上値トライに失敗すると9500ドルレベルまで急落、一時円建てで100万円を割り込んだ。

Outlook

一時100万円割れ

来週のBTC相場は底堅い展開を予想する。先週は、ジャクソンホールで金融緩和の道筋が示され、G7で通貨安競争が本格化、「本格的回復はレイバーデイ以降と見るが、来週辺りから反発相場が始まる」として底堅い展開を予想した。実際、議長の曖昧な発言を巡ってひと悶着はあったものの米9月利下げは既定路線となりつつあり、人民元が11年ぶりの安値を更新するなど通貨安競争も始まっている。しかし、BTC相場は110万円近辺で上値を重くした後、一時100万円を割り込んでいる。これはどうしたことだろうか。

出来高の減少と価格形成

上はBTC価格と出来高の推移だ。今年4月頃から出来高が増え始め、5月に入ると一段と増加、相場の急騰の一因となった事はご承知の通り。これが7月入った辺りから減り始め、一旦上昇に転じるが、8月半ばからまた減っている。これは、参加者、特にHFなどのプロ投資家、さらにその背後にいる富裕層など個人投資家が夏休みに入っているからだ。次頁に出来高に対するマイナーの報酬の割合を試算した。出来高が落ちればこの報酬分の割合が増して売り圧力となり、「閑散に買い無し」という状況に陥ると以前ご紹介したが、まさにそうした展開だったのだろう。では、こうした投資家はいつ帰ってくるのかというと、一般に9月の第1月曜日のレイバーデイ翌日からとされ、今年は9月3日からになる。株ではSell in May, do not come back till St. Leger Dayは今年は9月14日だそう。因みに、この出来高と価格との関係は出来高が上がるから価格が上がるのか、価格が上がるから出来高が上がるのか、どちらの可能性もありますが、もう一つ、マイナーの報酬からして出来高にみあった価格水準に落ち着くのではないかという気もします。この価格と出来高との関係は別稿にてもう少し詳細に分析してみるつもりだ。

元自称サトシ敗訴の影響

材料的には米中の緊張緩和とクレイグ・ライト氏の敗訴の影響が売り材料とされた。ただ、以前ご紹介した通り米中貿易摩擦は半永久的に解決しない。従って、買い材料と売り材料とを繰り返すだろう。ただ、これが習近平体制の危機と見做さるほど悪化した際には本土からの逃避需要が発生すると考える。一方、クレイグ氏に関してCointelegraphなどはクレイマン氏の遺族に支払うとされる55万BTCが存在するのかどうかも怪しいとして、相続税に絡んだ大量の売りは発生しないと予想していた。確かに判事はクレイグ氏の証言は信ぴょう性に欠けるとして全て採用しておらず、彼のコメントをベースにした金額を予想しても仕方が無いのかもしれない。更に、仮に彼がBTC受渡に非協力的だった場合どうしゃって強制執行すべきか、物理的な差し押さえが難しい仮想通貨の場合は容易ではない。いずれにせよ、そうした巨額の売りが直ちに出ることはなさそうだ。

資本規制強化

日経によれば中国政府は、無秩序な人民元安による資本逃避を避けるために外貨購入規制を強化、実質的に海外不動産購入のための外貨購入を認めないとしている。こうした中、中国本土からのBTC需要は増加するのではないか。FRB議長もブラックアウト直前の6日に経済見通しを討論する。いよいよ本格的反発を予想する。

予想レンジ:90万円~130万円

Altcoin


今週のアルトコインは、BTCのドミナンツも70%を前に横ばい推移となる中、通貨によっては比較的重めの材料も出た割に、ほぼBTCに連れる展開となった。中でもXRPの売却中止署名が話題に上った。XRPはマイナーへの報酬がない代わり、リップル社が大量に保有しているXRPの一部を市場で売却して運営費に充てている。その売り圧力によりXRPの価格上昇が妨げられているというものだ。ユーザーがリップル社を買収するだとかハードフォークするべきだなどという過激な声まで聞こえるほど投資家の不満は大きい模様だ。これに対し同社CEOはリップルの売却は市場を見ながら慎重に行うようプログラムされており、インフレ率も高くないと反論している。

そこで、果たして市場の出来高に対し、XRPの供給はどの程度のインパクトがあったのか主要通貨と比較してみた。上は直近2週間の供給量と出来高を比較したもの。これを見ると、半減期を経たLTCの0.02%は極端に低いが、XRPの0.07%は他のアルトコインの0.04%より高めではあるが、0.11%のBTCと比べると若干低い。この間のXRPの供給量は1日平均80万ドル程度。今年前半の市場売却額は252百万ドルで1日137万ドルということからすると、市場の低迷のせいか、署名運動のせいか、もしくは同社が説明した出来高計算方法の変更のせいか、上期の6割のペースであった様だが、上期のペースでもBTCとほぼ同じインパクトだという計算だ。では何が問題で何に投資家は怒っているのだろうか。

一つは先日のXpringによるコイル社への10億XRPの助成金だろう。勿論、XRPのエコシステムを構築し、その価値を高める開発に資金援助をするのがXpringの趣旨だが、創業1年半もたたないスタートアップにXRPの流通量の2.5%、約280億円相当を無償で渡す、となれば他のXRP投資家はどう思うだろうか。それも、昨年5月まで同社のCTOだった人間が設立した会社だ。もう一つはXRP価格の低迷だ。リップル社はXRP売却益を得る代わりにXRPの価値を上げると自ら位置付けている。しかし実際には価格が低迷しているのだから、この1年の同社の運営に投資家は失望している訳だ。投資家の信頼を回復するには相場を上昇させるしかないだろう。

ETH:今週のETHはBTCに連れ上値の重い展開。テザーがETHのネットワークの3割を使用しているとされ、先日のブテリン氏のETHはほぼ満杯だという発言を裏付けたが、同氏はBTCもほぼ満杯だと指摘した。そのスケーラビリティーに関し、ETH2.0の開発に対し助成金を出す一方、イスタンブールは遅延が指摘されている。

XRP:今週のXRPはBTCに連れ上値の重い展開。上記の売却中止署名の相場への影響は限定的の模様。モーニングスターが株主優待でXRPを配布するとの試みや米国8位のPNCが米銀として初めてリップルネットに加盟したなど好感されたが、こちらも影響は限定的だった。

BCH:今週のBCH はBTCに連れ上値の重い展開。クレイグ氏の敗訴によりBSVが急落、BCHが買われる場面もあったが、その後は上値を重くした。同氏は納税によるBTCの売却圧力やBSVやBCHは支払う義務がない等とコメントしたが、裁判所は彼の証言の全てを信用できないと棄却しており、真相ははっきりしない。

LTC:今週のLTC相場はBTCに連れ上値の重い展開。チャーリー・リーの献身的姿勢が目立った週だが、財団がユニセフと提携したほか、デビットカード発行、財団が出資するWEG Bankがエストニアで仮想通貨免許を取得するなど好材料が続いたが、相場への影響は限定的だった。


FXcoin Weekly Report 2019.08.30.pdf






松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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