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【第6回】 オプションディーラーの視点 ~イベント待ちでオプション市場は動意薄~

2019-09-04 12:33[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

BTCオプション市場の動向(8/28~9/3)
直近1週間の建玉変化を確認すると(※10月末までに行使期日を迎える期近物オプションが対象)、市場で最も人気だった「行使価格10,000ドル」の建玉が急減していることが分かります(前週比▲1,226BTC)。また、全体で見ても、先週から今週にかけて、総建玉が大幅に減少していることが確認されます(▲4,092BTC)。

本稿では、オプション建玉がなぜ急減しているのかについて考察したいと思います。

尚、現在の最大ピンは行使価格8,000ドルの2,587BTC、2番手は行使価格9,000ドルの2,130BTCです。先週のように、3,000BTCを超える「
超巨大ピン」は現時点で観測されておりません。




オプション建玉が減少している理由①
8/21~8/29にかけて「超巨大ピン10,000ドル」を挟んでの膠着状態が続いたことから、オプション買い手(個人投資家)によるガンマ操作が難しく、セータ負担(タイムディケイ)に耐えられない個人投資家が、行使期日(8/30)の前日(8/29)にオプションの「投げ売り」を余儀なくされたと考えられます(※タイムディケイは行使期日が近づくにつれて大きくなる為、行使期日前日が最後の損切りチャンスとなります)。その結果、10,000ドル近辺のガンマロングが消失し(=10,000ドル割れでの潜在的な現物買い圧力が消失し)、皮肉にもビットコイン相場は10,300ドル近辺から9,300ドル近辺へと急落しました。言い換えると、先週はあと一歩のところで収益チャンスを逃したオプション・ロング勢が多かったと推察されます。通常時は、毎週金曜日のカットオフ(オランダカット)後に、翌週金曜日のオプション建玉(新規)が増加する傾向にありますが、先週は8/30のカットを終えても、翌週の建玉が一向に増加しませんでした。ビットコイン相場の膠着を背景に収益化できなかったことに伴うフラストレーションが新規のオプション買いの「躊躇」に繋がったと考えられます。

オプション建玉が減少している背景②
今月の最重要イベント「Bakktローンチ」を9/23に控える中で、来週から再来週にかけて仮想通貨市場が様子見ムード(ボラティリティの低下)に包まれるのではないかとの思惑があります。オプション取引における最大の敵は「時間」となりますので、オプション保有期間中に「いかにも動かなさそうな時間帯」があればあるほど、ガンマ操作による収益機会が失われます。つまり、9/23以降はBakktの影響で動きそうなのでオプションを買いたいけれども、それまでは動きそうにないので、9/6物や9/13物、9/20物などは買いたくないといった市場心理が背景にあります。これは既存の通貨オプション市場でもよく見られる現象です。米雇用統計や、FOMCを含むオプションは人気があるけれども、イベント前は相場が膠着しそうなので、イベント前に行使期日を迎えるオプションは人気が無いわけです。結果として出来高が伸び悩み、建玉の減少に繋がります。

オプション建玉が減少している背景③
11,000ドルや12,000ドル近辺が既にオプション・ロングになっていることも、新規のオプション買いが生まれにくい理由の一つと考えられます。事実、リスクリバーサルが上方向(BTCコールオーバー)を向いているにもかかわらず、9/2~9/4にかけてのビットコイン相場の上昇時(9,600ドル→10,800ドル)に、ボラティリティは全く上昇しませんでした(米LedgerX社が提供する30daysインプライド・ボラティリティであるLXVX指数はこの間79%前後で横ばい)。トップサイドがオプション・ロングであることの証左と言えそうです(※)。

※一般的に、リスクリバーサルが傾いている方向(ビットコインの場合はビットコインCALLオーバー)に直物相場が進んだ場合、ボラティリティは上昇する傾向にあります。

まとめ
以上のことから、オプション市場の低迷はあと1-2週間続くと予想されます。9/6足が落ち、9/13足が落ちた辺りから、オプション勢による物色買いが始まると見ています。オプショントレーダーは時間的価値(セータ)の支払いを極力避けようとする性質がある為、Bakktローンチ(9/23)を含む9/27物を「ぎりぎりまで粘って手に入れよう」と考えるはずです。ベストは9/22(Bakktローンチの前日)に9/27物を買うことですが、市場参加者の大半が同じことを考える為、基本的には1週間前辺りからオプション市場が俄かに動意付く傾向にあります(9/22時点まで待つことは出来ますが、その時にはインプライドボラティリティが高騰しており、買いたくても高すぎてオプションを買えない状況に陥るイメージ)。つまり、オプション市場は9/13足が落ちた辺りから動意を取り戻す(インプライドボラティティが上昇に転じる)と予想されます。

SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM(現職)。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

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