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2019.9.5【9月第1週は反発したビットコイン。来週は上値重いと思う理由】

2019-09-05 18:09[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム リップル ライトコイン



Review

レイバーデイ明け第1週

今週のBTC相場は堅調な展開。急騰とまではいかないがほぼ押し目の無い一本調子の上昇相場となった。米中の緊張緩和ムードやクレイグ・ライト氏敗訴による売り圧力への懸念などもあり一時100万円を割れたBTC相場だが、週末のアルゼンチン格下げの影響もあり月曜早朝に104万円台に上昇すると予定通りと思われた1日の米中報復関税の応酬がどうやら中国側の怒りを買った模様で、米国をWTOに提訴、9月の米中協議のめども立たなくなったかどで111万円台へ上昇した。更に米SECにBTC ETFを申請中のVanEck社が承認不要の私募型ETFを今週中にも発売と伝わると114万円台まで値を上げたが、「私募型」ETFへの違和感を指摘する声が続き、香港政庁が引渡条例撤回などもあり上値を重くした。FRB高官から追加利下げを示唆する発言が続き金価格が上昇すると115万円をトライしたが英合意無き離脱リスクが後退、米中会談も10月上旬に決まると上値を重くしている。

Outlook

本格的回復の幕開け

来週のBTC相場は底堅が上値も重い展開を予想する。先週は、レイバーデイ明けに投資家が帰ってくるので本格的な反発相場が始まるとした。実際はレイバーデイ当日となる月曜日から15%程度の上昇を見せているが、注目すべきは、その間、殆ど押し目が無かったことで、本格的反発相場の始まりを感じさせる。この相場は35万円で大底を付けて半年弱かけて150万円まで上昇、その後半値押しとなる100万円割れまで反落をした。その当時はすぐにでも史上最高値に到達するだとか俄かに強気派が増えるが、弊社では再び「150万円に戻すには時間が必要」とし、この水準を上抜けるのに半年前後を要すると予想している。今はその過程で、あと3か月前後をかけて150万円を目指すイメージでいる。それまで100-150万円のレンジを上下している訳で、100万円を割れた先週辺りに急に7000ドル台といった予想も見られたが、これは弱気すぎると考える。7-8月の相場と違って、今回の上昇相場は最終的に150万円を上抜けると考えている。ただ、そう考えても今回の1週間の15万円という上昇幅もやや早すぎるイメージで、上昇と調整を繰り返しながらレンジを切り上げていくイメージか。

出来高の回復は遅れている

上はBTC価格と出来高の推移だ。8月の特に後半は出来高の減少が上値の重い展開を呼んだと申し上げたが、レイバーデイ明けとなる今週は確かに若干出来高が増加している。しかし、思ったほど戻りきってはおらず、投資家の動きはまだスローだと考える。アノマリー的にも9月より10月や11月の方が相場は強く、このまま一本調子の展開が続くと考えるのは危険だろう。今週の相場はやや出来過ぎで、今週辺りに若干スローダウンするのではないか。ただ、今週の相場で押し目があまりなかったので、下がったところでは買いが入ると考えている。

FOMC待ち

材料的には9月の協議再開が見送られた米中問題は10月上旬再協議で落ち着き、イタリアの政局混乱やイギリスの合意無き離脱も一旦は回避された。香港問題も条例撤回で落しどころを模索する動きが始まった。来週はECB理事会や香港で開催予定の一帯一路サミットなどの波乱要素はあるが、最大の焦点である米FOMCが19日(日本時間)に控えている。こうしてイベントが続く時は、市場は最後のイベントを見に行く傾向があり、来週中は比較的様子見姿勢が強くなるのではないか。特に利下げ自体は確実視されているが、利下げ幅については見方が分かれており、7日(同上)のパウエル議長のシンポジウム出席の後はブラックアウト期間に入り情報が得られなくなる。

私募というからには

VanEck社の私募型「ETF」をETFと呼ぶべき否かは別として、同社がこれを発行するのは、承認を待って投資家のニーズを取り漏れたくなかったからではないかと推察する。多分に、既に投資家がいるというより、これから金融緩和局面でニーズが増える同社が考えているだけなのかもしれないが、私募というからには既にある程度あたりは付けているに違いない。ということは一定の買いが出ることから底堅いが、やや期待先行で相場が先走った局面では反落にも注意したい。

予想レンジ:90万円~130万円

Altcoin


今週のアルトコインは、総じてBTCに連れ高。しかし、足踏みしていたBTCのドミナンツがついに70%を超えたことで、先行きに不安を抱かせる展開となった。今年の上昇相場が始まった4月頃まで半年以上50%前後で安定していたBTCのドミナンツだったが、米利下げや米中摩擦といった材料からの逃避アセット的なフローからBTCの独歩高が始まると、4か月強で70%近くまで上昇した。しかし、その水準が意識されてか1か月近く70%手前で押さえつけられていたが、ついに9月3日に上抜けた。これは新たなBTC独歩高相場の始まりというか、アルトコインがアンダーパフォームするサインの可能性があり注意が必要だ。

ETH:今週のETHはBTCに連れ高の展開。引き続きスケーラビリティーが話題となりVブテリン氏はガス代を引き上げるキャンペーンを提案。こうした中、テレグラムのTONとの互換性や匿名性の実装、PanteonのHyperledgerへの参加など、夏休み明けでETHの有用性を証明するヘッドラインが続いたが、逆に有用性が高まって、容量が9割を超えてしまったことが問題視されている状況下、そうしたニュースに対する反応は限定的に止まった。

XRP:今週のXRPはBTCに連れ高も上値の重い展開。リップル関係者がリップルネットが6大陸40か国に拡大したとし、SBIもリップル社とマネーグラム社との提携を「非常に大きな意味」を持つとし、国際送金がXRPベースにシフトすることに自信を示した。また仮想通貨推進派議員の補佐官を政府との折衝役として採用するなど、非中央集権通貨では成しえない動きを見せている割には上値が重い。これは、詳細は不明だがリップル社のエクスクローから5億XRPの移動が観測されるなど、同社の活動に対する投資家の目は厳しいからだろう。まずはリップル社が投資家の信頼回復が最重要だと気づくことからだろう。

BCH:今週のBCH は連れ高も上値の重い展開。Bitcoin.comが新たな交換所を立上げ、またオーストラリアでBitcoin Cash Cityという大規模なカンファレンスが開催されるなど好材料が続いたが、ABCの開発責任者アモーリ・セシェ氏がBCHのブロックサイズは8MBに引き上げられているが、2MB以上のブロックは処理されないと発言するなど、技術面での安定性に欠けることが嫌気されたか。

LTC:今週のLTC相場はBTCに連れ高も上値の重い展開。チャーリー・リーが新設のBitcoin.comの交換所でLTCがクレジットカードで購入できると喜んでいたが、殆どLTC固有の材料が見当たらない中、BTCに連れて上昇するも、半減期までに上昇した反動か、引き続き上値が重い展開が続いている。


FXcoin Weekly Report 2019.09.05.pdf




松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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