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スケーラビリティー問題解決のヒント

2019-09-10 16:54[ にく

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先週金曜日、例の京急の踏切事故があった日に羽田に向かっていたのですが、久々にその速さに感銘を受けました。それまで特急でも空港線内は各駅に停まるので時間がかかるイメージでしたが、実は京急には特急の上の快特という列車があり、品川から国内線ターミナルまで京急蒲田と国際線ターミナルの2駅しか停まりません。更に、その上のエアポート快特なら蒲田にも停まらず、空港へダイレクトで、国際線ターミナルなら品川から最速で11分で到着するそうです。速さでもっと驚くのが、京成スカイライナーで、実は日暮里から空港第2ビルまでなら最速で36分で到着します。東京駅から成田エクスプレスで直接成田空港に向かうより、山手線で日暮里まで行ってスカイライナーに乗り換えた方が料金も安く、所要時間も短くなります。

なぜ、そこまで速いのか。理由の一つはルートです。スカイライナーが通っている北総線・空港アクセス線はもともと成田に新幹線を通そうとした名残で、それ故、ルートも限りなく直線に近く、日暮里から空港第2ビル間は61キロです。これに対し千葉や船橋と東京湾に沿って走る成田エクスプレスは78キロを約50分かけて走ります。加えて、電車そのもののスピードが違います。成田エクスプレスが最高時速130キロに対し、スカイライナーは最高時速160キロと新幹線を除けば日本最速です。京急の快特も最高時速120キロと私鉄の中ではトップクラスです。なぜ、スカイライナーがそれだけ速く走れるかというと、田舎を走るので騒音問題が少ない、新幹線用だったのでカーブが少ないことに加えて、京急と京成はゲージという線路の幅が広いからです。JRの在来線は1067ミリと世界標準である標準軌1435ミリの3/4しかありません。線路の幅が広い方が列車は安定してスピードが出せるので、JRでも後から作った新幹線だけは標準軌で作っています。

速く走ることによって同じ線路でも多くの人を運ぶことが出来ます。他に輸送量を増やす方法として編成を長くする事があります。我が家最寄りの地下鉄南北線は6両編成ですが、輸送量の多い東西線や千代田線は10両編成で、JRの京浜東北線や湘南新宿ライン・上野東京ラインなどは15両編成、東海道新幹線は16両で東北新幹線では最長17両編成があります。ただ長くすればいいというものではなく、駅のホームなどと平仄を合わす必要もありますし、昨今の直通運転の増加によって、線路の幅はもちろん、列車の編成も合わせる必要があります。ホームドアの設置も課題で、そうなると各列車のドアの位置も合わせる必要が生じ、山手線などは新型車両で統一しようとしている様です。列車のスピードを合わせる事も輸送力増強のカギで、JR東海では旧700系を引退させ、700Aないし700Sに統一し、最高時速を時速270キロから285キロに引き上げる予定です。因みに新大阪発の最終のぞみは時速285キロで運転していて、前の電車と所要時間が10分短いことは知っている人も多いかと思います。

よく電子回線の通信量などをトラフィックと呼んだりしますが、こうした電子的な交通量や処理能力と実際の交通と似ている部分があると考えています。ブロックチェーンにも共通する部分があって、例えばブロックサイズの引き上げは編成を長くする事に似ていて、但し駅などのインフラも同時進行させないと、ノードが処理できないといった事態が発生したりします。小池都知事が提唱していた通勤電車を2階建てにする方法も一案ですが、現行の階段式2階建ては乗り降りに時間がかかりすぎるので、逆にホームを2階建てにするアイデアがあるのですが、これまたインフラ整備にコストがかかるのと、地下鉄だとスペース的に問題があり、現実的ではないようです。一方で、山手線や東海道新幹線の様に車両の規格を統一化して電車の間隔を詰めて効率を上げる方法は、SegWitみたいな圧縮技術に少し考え方が似ているかなと思ったりします。相互乗り入れはクロスチェーンといったところでしょうか。ライトニングネットワークは、なかなか例えるのが難しいのですが、モーダルシフトに似ているかなと思っています。まずトラックで集荷した荷物を、大型トラックに積み替えたり、船やコンテナ車に積み替えて輸送し、納品先などの近くでトラックに積み替える訳です。全期間トラックで輸送するよりコストも抑えられますし、途中の高速をバイパスしてしまうので渋滞も起こりません。

少し強引かもしれませんが、この様にブロックチェーンのトラフィックも、実際の交通に少し似たところがある気がします。物流の世界では20年程前からサプライチェーン・マネージメントやサード・パーティー・ロジスティック(3PL)が進んできました。特にECの分野では、予め物流業者に在庫を預け、その倉庫から発注者に直接ものが届きます。スマート・ロジスティックといってAmazonの倉庫の様に完全に自動化しているものも多いようですが、家の近くに同社の川口倉庫がオープン、スタッフを1000名募集していましたから、まだ完全には自動化している訳ではなさそうです。何が言いたいかというと、スケーラビリティーなどの問題の解決のヒントがもしかしたらこうしたリアルな交通や物流の世界に隠れている可能性があるかもしれない、そう単純ではないかもしれないが、どういう問題が生じ、人々がどういう方向に進んでいくのかは、見えてくるかもしれないと思っています。

3PLなどを見ていると、自前で倉庫を持って管理している業者はどんどん減っている様に感じていて、たとえ仮想通貨が決済に使用されるようになった際に個人や企業が自前でコールドウォレットを用意して管理する可能性は低いかなと思います。カストディー業者に預けて振替指示を出す形になるだろうし、そうした形態でもセキュリティーが守れるようにならないと決済での利用は普及しないイメージでしょうか。要は自分で復活の呪文を書き留める方法はドラクエ2でこりごりしたということでしょう。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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