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【第7回】 オプションディーラーの視点 ~IV低下はカバードコールが原因か~

2019-09-11 10:49[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

BTCオプション市場の動向(9/4~9/10)
直近1週間の期近物オプションの建玉変化を確認すると(※本年10月末までに行使期日を迎える短期物オプションが対象)、トップサイドを中心に建玉が増加していることが分かります(11000ドル~17000ドルゾーンで前週比+4,110BTC)。また、全体で見ても、先週から今週にかけて、総建玉の急増が確認されます(前週比+4,502BTC)。



本稿では、足元で見られる建玉増加の背景について、オプションディーラーの視点で考察いたします。

トップサイドオプション建玉増加の背景は?
トップサイドのオプション建玉急増時に、先ず頭をよぎるのは、「個人投資家によるBTCコール買いが復活したのではないか?」との推測です。特に先週はテクニカル的にも、ビットコイン相場の「三角持ち合い・上放れ」が期待されておりましたので、個人投資家がビットコイン相場の上昇を見越してBTCコールを買い集めていたとしても不思議ではありません。事実私も当初はそのような推測をしておりました。しかし、以下2つの点に違和感を覚え、そうした見方を一変させております。

<違和感その①~インプライド・ボラティリティの低下~>
最初の違和感は、「個人投資家によるBTCコール買いが強まっているにしてはインプライド・ボラティリティ(IV)の地合いが弱過ぎる」と感じた点。特にショートデート物(向こう2週間以内に行使期日を迎える超短期オプション)は、サポートbid(※)が即座に叩かれる場面が何度も見られました。

事実、米LedgerX社が提供する期間30日のIV(LXVX指数)はこの間、80%台前半から70%台前半まで急落しました(添付チャートご参照)

違和感その②~スポット上昇時にIVが低下>
2つ目の違和感は、スポットが上昇してもボラティリティが低下した点。一般的に、リスクリバーサルが傾いている方向(ビットコインの場合はビットコインCALLオーバー)に直物相場が進んだ場合、ボラティリティは上昇する傾向にあります。しかし、今回の局面(9/4の10600ドル台から9/6の10900ドル台に上昇した局面)では、スポットが上昇してもIVは上がるどこかむしろ急低下しました。

<結論(違和感から類推できること)>
以上のことから、以下2つのシナリオを類推できます。

1つ目は、市場が既にガンマロングである可能性。こちらについては前週号(第6回)をご参照下さい。

2つ目は、個人投資家によるカバードコール取引が活発化した可能性。

足元の相場膠着を背景に、既に保有している現物ロングの持ち値改善を目的に、カバードコール取引(※)が活発化した可能性が考えられます。カバードコールは個人投資家によるBTCコールの売りサイドとなりますので、私が感じた1つ目の違和感(IVの地合いが異常に弱かった点)、2つ目の違和感(RRが上なのにスポット上昇時にIV低下)の双方を説明することができます。また、スポットが11,000ドルトライ失敗後に急落した点も、個人投資家によるカバードコールを引き受けたMMによるデルタヘッジのBTC売りの可能性が考えられます。

まとめ
Bakktローンチ(9/23)など好材料を抱えつつも、ビットコイン相場は上値の重い展開が続いております。背景には、①市場が既にガンマロングであることに加えて、②個人投資家によるカバードコールが、MMのデルタヘッジのBTC売りを通じて、ビットコイン価格を押し下げていると推察されます。但し、こうした動きは長期化しないと考えられます。

前週号でも述べましたが、オプショントレーダーは時間的価値(セータ)を極力支払いたくない為、Bakktローンチ(9/23)を含む9/27物オプションをぎりぎりまで粘って手に入れようと戦略を練っております。本来であれば、9/22まで粘って、9/27物を買うことが合理的ですが、市場参加者の大半が同じことを考える為、基本的には1~2週間前からオプション市場が動意付く傾向にあります(既存の為替市場のドル円に例えれば、重要イベントである来週のFOMCを含む9/19東京カットのオプションを、前日の9/18に買うことが最も望ましいが、市場参加者の殆どが同じことを考える為、実際には1~2週間前あたりからオプション市場に買い圧力が加わり易い)。当方では、今週金曜日(9/13)の足が落ちた辺りからビットコインのIVが上昇に転じると予想しております。




SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM(現職)。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

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