2019.9.13【ビットコインの底入れは本物か?来週の注目点。】

2019-09-13 17:25[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシ リップル イーサリアム ライトコイン



Review

レイバーデイ明け第2週目

今週のBTC相場は上値の重い展開。しかし10,000ドル近辺でサポートされると週末にかけて底値を固める動きも見られた。逃亡犯条例撤回、英EU離脱延期法案の可決、イタリア政局やアルゼンチン情勢の一服、米中貿易交渉が10月再開といった買い材料が一服していたところ11,000ドルトライに失敗すると急落。週末の香港情勢の悪化で買われる局面も見られたが、注目を浴びたVanEck社の私募「ETF」が開始4日で4BTCしか集まらなかった事や、中国メディアが米農産物輸入拡大で合意の可能性と報じ、またホワイトハウスの強硬派ボルトン補佐官が辞任、また一帯一路サミットが無事に香港で開催された事などもあり3度に渡り10,000ドル割れをトライするもいずれも反発。トランプ大統領が金利はゼロ以下にすべきと呟き、またECBが量的緩和を再開すると、再び上値を伺う展開に戻りつつある。

Outlook

上値が重かった今週

来週のBTC相場は堅調な推移を予想する。先週は「9月第1週は反発したビットコイン。来週は上値重いと思う理由。」と題し、レイバーデイ明けに相場は上昇したが出来高を伴っておらず、先回りした投機筋のポジション調整から「底堅が上値も重い展開」を予想した。週末の急落、その後の上値の重さ、しかし10,000ドル水準での底固めと反発とほぼ想定通りの展開。9月再協議が見送りとなった米中協議は10月再開の運びとなり、逃亡犯条例が撤回された香港ではマスコミから伝わる激しい抵抗をよそに一帯一路サミットが無事開催、10月末に合意無き離脱か総選挙の2択と伝わった英国では造反議員らによる延期法案可決と先週の上昇要因がことごとく巻き戻される展開となった。設定時に多少の買いが出ると予想されたVanEck社の私募「ETF」が当初4日間で4BTCしか集まらなかったというエピソードもあった。

ECB量的緩和再開

それでも底割れせず、寧ろ反発したのはECBの量的緩和再開と来週に控えるFOMCでの50bp利下げへの期待だったか。デジタルゴールドとも称されるBTCの逃避資産としての性格は法定通貨に対して色濃く出る傾向があり、通常のリスクオフでは現金は選好されるが、財政悪化や中央銀行への信認低下といった場合に仮想通貨が選好される。従って、上記の材料を強く影響する順に並べると、金融緩和>米中摩擦>香港情勢>英離脱問題というイメージを持っている。勿論、それぞれのイベントの内容次第ではあるが、多くの買い材料が潰えても相場が反発した背景はそういう事だったと考えている。

ポジション調整が続いた今週

上記の相場展開を別の視点で見てみよう。上図はここ半年の人民元・米10年債・英ポンド・金の値動きだ。それぞれ、米中摩擦、米利下げ、英離脱問題、リスクオフといった材料と関連が深い。それぞれ一本調子で進んで相場が9月初から逆方向に動いていることが分かる。確かに米中摩擦にしても英離脱問題にしても9月初めに流れが変わったという要素もある。関係ないと思われる米利下げもここ1週間で急速に9月は25bp利下げの織り込みが100%となり50bpの可能性がほぼ消滅している。ただ、ここまで各市場が同時に反転したのは、推測だがレイバーデイ明けにシニアな投資家が戻ってきて、夏の間に行き過ぎた相場のアンワインド、おそらくは利食いもしくは水準調整を行っているのだと考えている。確かに6週間前に次回は利下げしないと匂わせておいて、9月に50bp利下げというのはバランスが悪すぎる。そして、そうした調整が一巡すれば、再び金融緩和を材料に金利低下、BTCへの逃避買いが活発化すると考えている。但し、この動きが一時的な調整なのか、相場の大きな転換点なのかは予断を持たずしばらく観察を続けた方がいいだろう。

再来週にはBakktも開始

今週はいよいよFOMCで米利下げが予想されている。発表される日本時間の19日には日銀の政策決定会合もある。翌週明けの23日にはいよいよBakktが開始となる。そうした中、BTCは堅調に推移すると予想している。

予想レンジ:105万円~135万円


Altcoin

今週のアルトコインは、横ばい推移。上値の重い展開が続いたBTCをよそに底堅く推移、一時BTCのドミナンツは70%を割れていた。今週は自主規制団体、日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が月次の統計データを公表した。詳細な分析は別稿に譲るが、上図はその中から主要アルトコインの本邦交換所での出来高推移を抜粋したもの。一目にして分かるのがXRPが圧倒的に大きいこと。日本におけるXRP人気の表れだが、日本からのフローはXRP相場においては重要だが、それ以外の通貨の場合は少なくとも昨年12月から7月までの間は大きな影響を与えていない状況が読み取れる。また、足元のXRPの不振も、売り圧力によるものというより、本邦投資家の買い意欲が後退している事が直接の原因と考えられる。

ETH:今週のETHは上値の重い展開。イスタンブール・アップデートのテストネット開始が1か月延期になったとして急落の一因となったETH相場だがその後反発するも、イーサリアムクラシックのハードフォークを前に一時連れ安となったが、その後切り替えしている。今週もCNHペッグのテザーの登場やサンタンデール銀行がERC20ベースで債券を発行するなど、ETHの有用性は高まるばかりだが、足元ではそれを処理するスケーラビリティーに注目が集まっており、そうした好材料には反応薄。むしろETH2.0に向けた開発企業の資金調達の方が交換される展開。そうした中、上値は重くなるが、来週以降、金融緩和・通貨安競争を嫌気したBTCへの逃避買いがさく裂すれば、BTCプラス1としてETHに若干買いが入ろう。

XRP:今週のXRPは上値の重い展開。パキスタンの大手銀行のリップルネット加盟やシンガポールの送金業者が国内送金業者と提携するなどXRPの有用化は進んでいる。昨今はリップル社の売却に異を唱える動きが散見され、これに対し同社CTOの反論に続きCEOは我々がXRPの成功を願っているとした。同氏が言うリップル社はXRPの売却益を得る代わりにXRPの価値向上に努めるというエコシステム自体には問題を感じていない。むしろ送金の様にビジネスの世界で利用されるためには開発費用もかかるし、管理者や旗振り役が必要で、ある程度のインセンティブも理解できる。ただ今回、騒動が大きくなったのはCoilの助成金がきっかけだったのかもしれないが、根本的には、投資家はリップル社の動きが遅いと感じているからなのではないか。今週も比較的近いとされたR3がマスターカードと提携して新たな送金システムを構築するという。ライバル勢は追いかけて来ているのにリップル社から危機感が伝わってこない状況を投資家はヒヤヒヤしながら眺めているのではないだろうか。

BCH:今週のBCH は比較的底堅い展開。先週のオーストラリアでの大規模なカンファレンスに続き、Bitcoin.comが開設した交換所がBCH先物を検討していることも好感されたか。ただ、同社CEOが1年以内に2-3番手になるとしているが、上位のETHやXRPが実用化が進んでいるのに対し、BCHは今後何に使われるのか疑問符が残っており、上昇余地は限定的か。

LTC:今週のLTC相場は目立った材料もない中、比較的底堅い値動き。半減期から1か月以上経過し、直後の売りをこなした形か。もう一段の上昇があっても不思議はない。


FXcoin Weekly Report 2019.09.13.pdf



松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

アーカイブ