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2019.9.20【アルトへの物色は投資家の戻り?ビットコインに伝播するか?】

2019-09-20 22:17[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム リップル ライトコイン



Review

アルトコイン主導

今週のBTC相場は概ね横ばい推移。これまで低調だったアルトコインが巻き返す中、BTCは狭いレンジでの取引に終始した。MONAコインから始まったアルトコインの上昇がガス代が高騰していたETHにも飛び火、BTCも堅調に推移したが、70%を超えていたBTCのドミナンツが67%に反落する中、徐々にBTC相場は上値を重くする展開。香港や中東情勢が悪化しても上値追いに失敗すると、クーレECB理事がリブラに厳しい見方を示すと反落。しかし、ETH主導のアルトの上昇に値を戻した。FOMCを前に110万円近辺で動意なく推移したが、米利下げで上値追いに失敗するとアルトコインのピークアウトもあり110万円を割り込んだ。続く日銀決定会合で追加緩和が見送られると104万円台まで急落したが、Binanceの中国でのOTC取引開始の報などで下げ止まると、ETHなどアルトコイン主導で111万円台に値を戻した。

Outlook

BTCの動意は薄かったが

来週のBTC相場は堅調な推移を予想する。先週はFOMC,日銀政策決定会合さらに来週のBakkt開始とイベントが続く中「BTCは堅調に推移する」と予想した。確かに底値は堅かったが、BTCは総じて動意が薄かった。しかし、仮想通貨相場全体で見ればアルトコインが大きく上昇、堅調に推移した。BTCはというと、4月の5割から7割まで上昇したドミナンツの反落もあり、上値を重くした形だ。一方で、BitMEXのアーサー・ヘイズCEOが量的緩和第4弾を受けてのBTCは2万ドル到達に準備するように呼び掛けた様に世界的な金融緩和の流れの中、先高観が燻っているせいか、相場が押したところには押し目買いが入り、潜在的な買い圧力の強さを窺わせている。そうした中、BTC相場は上にも下にも行けず、狭いレンジでの推移に終始した。

FRB内の混乱

19日のFOMCに関しては25bp利下げは既に織り込み済だったためBTC相場の反応は限定的だったという見方が大方を占めている。しかし、弊社ではBTC相場は消化不良で「米大統領の介入を許しながら中途半端な利下げ、更に短期市場の混乱が続き、市場にはFRBに対する不信感が芽生え」つつあり、これが「ボディーブローのように逃避需要を呼ぶ」と考えている。この点をもう少し詳しく説明すると、上はFRBのボードメンバー17人(議長1名、副議長2名、理事2名、地区連銀総裁12名:うち5名に投票権)の今後の政策金利予想、いわゆるドットチャートと言われるものだ。これを見ると奇妙なことに気づく。年内あと2回のFOMCで利下げ1回予想しているメンバーが7人、据え置きとしたメンバーが7名、そして1回利上げを予想しているメンバーが5名も残っているのだ。誰がどう考えても年内に利上げなど考え難い。ただこの投票は今回の利下げ前に行っているので、利下げに反対したメンバーが2名の他に投票権が無いメンバーで3名反対していたというところだろうか。ただ2020年末で見ると少なくとも2名は今後1年強の間に利上げがあると予想している。

FRB議長の力量

一方でトランプ大統領は金利をゼロ以下にすべきと主張、両者に驚くほどの乖離がある。この状況下、議長の首など変えられると主張する大統領に、職を賭して利下げ要求を突っぱねるというなら善し悪しは別として理解はできる。しかし、この2回のFOMCでパウエル議長は大統領の意向をほぼ受け入れた。即ちホワイトハウス、FRB議長、各メンバーの意見が入り乱れて混乱している状況が見て取れる。混乱はFOMCの声明文にも見て取れる。前回と今回とがほぼ同じ内容なのである。前回、米中貿易摩擦を理由に予防的利下げと説明、連続利下げに消極的だったにも関わらず、今回の説明は前回とほぼ同じ。即ち、パウエル議長は何をしようとしているのか分からないし、FRB内もまとめ切れておらず、米経済を上手く舵取りできるのか不安になるつつあるのではないだろうか。

レンジブレーク間近

既にECBは量的緩和を再開、一方で日銀は次回会合で経済情勢の総括を行うとして黒田バズーカをちらつかせている。中国はすでに預金準備率を下げ始めている。過去のボラティリティーの推移、三角持ち合いの形状などからレンジ上抜けは9月末から10月頭と予想していたが、来週中に前倒しとなる可能性が高まっていると考える。

予想レンジ:105万円~135万円


Altcoin


今週のアルトコインは大幅上昇。9月14日対比でETHが21%、XRPが16%、BCHが9%、LTCが12%それぞれ上昇し、主要4通貨平均で15%上昇となった。その間、BTCはほぼ横ばい推移で、一時7割を超えていたBTCのドミナンツが67%まで反落したことはお伝えした通り。今回特徴的だったのはけん引役となった通貨が変わっていった事で、出遅れていたアルトコインに循環物色が入っている様子が窺える。上は9月14日対比で主要4通貨が平均で15%上昇する中で、その平均から各通貨がどの程度乖離していたかを示したもの。今回のアルトターンをどの通貨がけん引していたのかが表れている。まず、最初はETHがけん引、続いてXRPにバトンタッチ、更にLTCが続き、またETHが続いている。足元ではBCHが上向きになりつつある。市場では各通貨特有の上昇要因を探しているが、こうした循環物色が行われる一番の理由は割安で放置されていたからだろう。即ち、夏枯れ相場の中でBTCに劣後していたアルトコインに押し目買いが入った形で、その理由として9月半ばになりヘッドラインが増えた事と投資家が戻り始めた事だろう。実際、ここ数日各通貨の出来高も増えている。BTCのレンジブレークの前兆ともなり得る動きだと考えている。

ETH:今週のETHは大きく上昇、アルトターンだけでなくBTC相場もけん引した。ガス代の急騰、ブテリン氏のPOS後の報酬、BitPayのETH対応など好材料が続き大きく上昇したETH相場だが、共同創始者のルービン氏がETHはスケーラビリティーに問題がある試作品だったと伝わると上値を重くする場面も見られたが、1日のETH手数料がBTCを上回り、中東大手行がBTCとETHの取扱を開始と伝わると一段高となっている。市場ではどのヘッドラインが相場に影響を与えたのか犯人捜しも見られるが、考えれば数週間前まではガス代の上昇などはネットワークの渋滞、スケーラビリティーの限界を連想させ売り材料だった。同じ渋滞でも有用性の向上と解釈されるところに地合いの好転があり、投資家の戻りを連想させる。見方を変えれば、ネットワークの渋滞はやはり有用性の面ではポジティブで、それが売り材料となっていた数週間前が売られ過ぎだったのだろう。

XRP:今週のXRPは大きく上昇。ヘッドライン的にはドイツ銀行に続きOCBCがJPモルガンのIINに参加。全米3位のウェルズ・ファーゴが独自トークン検討とXRPのライバルのものが目立つ。しかし今週の動きはむしろ送金のブロックチェーン化がほぼ固まったと解釈すべきで追い込まれたのはSWIFTか。LVCの開始も日本で人気が高いXRP需要を後押ししたか。見方を変えればXRPのフォークや不売?運動などで悪材料が出尽くした反発とも言えるか。

BCH:今週のBCH は堅調推移。台湾のスマホメーカーHTCとの提携で買いが入ったが、一方でBitcoin.comの先物開始が来年Q1とされたのは若干失望を呼んだか。次の上昇のけん引役となれるか注目か。

LTC:今週のLTC相場は堅調に推移。MinbleWinble開発の進展に対する市場の反応は微妙だったが、その後は順調に値を上げた。半減期を通過したことによる反落に歯止めがかかった形。140ドルから65ドルまで下げて15ドル反発した相場。少なくともあと10~20ドル程度のリバウンドを見せるか。



FXcoin Weekly Report 2019.09.20.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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