【第9回】 オプションディーラーの視点 ~オプション市場は急落を事前に察知か?~

2019-09-25 11:46[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

BTCオプション市場の動向(9/18~9/24)
直近1週間の期近物オプションの建玉変化(添付ファイル青色セルの列)を確認すると、ダウンサイド(5,500ドル~9,750ドル)の建玉が急増している様子が伺えます(添付ファイル青色セルの列)。

一方、昨日の急落前から現時点(急落後)の建玉変化(添付ファイル赤色セルの列)を確認すると、9,000ドル行使価格のコールオプションがわずか1日で急増する結果となりました。

本稿では、

①先週から今週にかけてダウンサイドの建玉が増加していた理由と、
②昨日から本日にかけてコールオプションの建玉が増加した理由について、

オプションディーラーの観点で解説いたします。

先週から今週にかけてダウンサイドオプションの建玉が増加していた理由とは?

ダウンサイドオプションの建玉が増加する理由は大きく分けて3つあります。

一つ目は、ターゲットバイイングを目的としたプット売り(こちらについては第4回目のコラムをご参照下さい)

二つ目は、プロテクティブ・プットを目的としたプット買い

三つ目は、ネイキッドのプット買いとなります。

今回のケースは、二つ目のプロテクティブ・プットと、三つ目のネイキッド・プットの可能性が高いと考えられます。

なぜなら、プットオプションの建玉が増加する過程で、インプライドボラティリティが上昇していたからです(ターゲットバイイングが活発化する場合は、インプライドボラティリティが低下しながら建玉が増加する傾向にある為)。

プロテクティブ・プットやネイキッド・プットの買いが強まった背景としては、テクニカル的に三角保ち合い・下放れ機運が高まっていたことや、Bakktローンチ初日の出来高が伸びなかった事に伴う失望感などが挙げられます。つまり、オプション市場では、昨日の急落前の時点で市場参加者の目線の変化(トップサイドからダウンサイドへ)が観測されていたことになります。



また、個人投資家によるプット買い(プロテクティブ・プットやネイキッド・プットの買い)は、MM(マーケットメイカー)による約定時点のデルタヘッジの現物売りや、その後のガンマショートから湧き出てくるデルタロングの投げを通じて、ビットコイン価格を短期的に押し下げる効果をもたらします。昨日から本日にかけての急落の背景に、こうしたMMによるデルタ操作(ネガティブガンマ)の影響があった(可能性がある)点には留意が必要でしょう。

ビットコインが急落した後、直ちに9000ドルコールの建玉が増加した背景は?

急落後にトップサイドの建玉が増加する理由は以下2つの理由に集約されます。

1つ目は、急落後の反発を見据えて、新規のネイキッド・コール買いが入っているケースです。

これは単純に、相場が短時間で下がり過ぎたのでその反動を狙うスペックの動きと推察されます。

2つ目は、既に仕込んでいたプットオプションをコールオプションで利益確定するケース。

プット買い1単位をそのままプット売り1単位でクローズすれば建玉の減少要因(建玉の解消)となりますが、今回のように行使価格を跨いで当初保有していたプットオプションがITM(インザマネー)となる場合、デルタを買い戻しつつ、プレミアム料が安いOTM(アウトオブザマネー)のコールでポジションを閉じる(スクエアにする)ことが一般的です。但し、この場合は、プット買い1単位をコール売り1単位で解消することから、建玉は見た目上、2単位として残ってしまいます。これが今回の9000ドル行使価格の建玉が急増した理由の1つと考えております(=つまり、元々仕込んでいたプットオプションの利食いに伴う建玉増加)

まとめ
以上の通り、オプション市場は昨日の時点(急落前の時点)で、ビットコイン価格の急落に備えた「プット買い」が急増しており、今回の急落劇を察知していたと捉えることもできます。但し、ここからの続落や、急反発は容易では無いでしょう。背景には、巨大ピンが現在のビットコイン相場(8,600ドル近辺)を挟むように、8,000ドル(3,848BTC)と9,000ドル(4,275BTC)エリアに集中しているからです。この為、今週金曜日の日本時間17時に期日が到来するオプション・カットオフを迎えるまでは、8,000ドル~9,000ドルのレンジ内での上下が予想されます。ビットコイン・オプションの建玉変化に引き続き注意が必要でしょう!











SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

アーカイブ

金融庁のホームページには以下の留意事項が掲載されています。
暗号資産交換業者登録一覧 
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf

  • 本一覧に記載した暗号資産は、取り扱う暗号資産交換業者に説明を求め、資金決済法上の定義を満たしていることが確認されたものにすぎません。
  • 本一覧に記載した暗号資産は、金融庁・財務局がその価値を保証したり、推奨するものではありません。暗号資産は、必ずしも裏付けとなる資産があるわけではなく、財産的価値を有すると認められた電子データに過ぎないことにご留意ください。
  • 暗号資産の取引を行う際には、以下の注意点にご留意ください。

暗号資産を利用する際の注意点
https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/04.pdf

  • 暗号資産は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやりとりされる電子データです。
  • 暗号資産は、価格が変動することがあります。暗号資産の価格が急落し、損をする可能性があります。
  • 暗号資産交換業者(※)は金融庁・財務局への登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か金融庁・財務局のホームページで確認してください。
    (※)暗号資産と法定通貨の交換や、暗号資産同士の交換を行うサービスを提供する事業者、暗号資産の管理を行う事業者など
  • 暗号資産の取引を行う場合、事業者が金融庁・財務局から行政処分を受けているか(※)を含め、取引内容やリスク(価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等)について、利用しようとする事業者から説明を受け、十分に理解するようにしてください。
    (※)金融庁・財務局が行った行政処分については、こちらをご覧ください。 https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/index.html
  • 暗号資産交換業者の提供するウォレットで暗号資産を管理する際に、パスワードを設定する場合には、IDと同じものや利用者の名前、電話番号、生年月日等の推測が容易なものを避けるほか、他のウェブサイトと同じID・パスワードの組合せを使用しないなどの対策を講じる必要があります。管理する暗号資産が盗まれるおそれがあります。
  • 暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えています。暗号資産の持つ話題性を利用したり、暗号資産交換業に関する制度改正に便乗したりする詐欺や悪質商法にご注意ください。

取引にあたっての注意事項

  • 取引にあたり手数料が発生することがあります。手数料の詳細については、こちらをご確認ください。
  • 取引ではスプレッドが発生します。スプレッドとは売値(BID)と買値(ASK)の差のことで、レートの変動によって値幅が広がる場合、狭まる場合があります。
  • 暗号資産取引では価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。取引にあたっては、各種約款、契約締結前交付書面やお客さま向けの資料等をよくお読みになり、取引の内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

暗号資産に関するリスクについて

  • 暗号資産は、日本円等の法定通貨とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
  • 暗号資産取引に使用する秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失うことがあります。
  • 暗号資産は、ブロックチェーンその他の記録の仕組みが破たんした場合には、その価値が失われることがあります。
  • 暗号資産の価格が変動することによって損失が発生することがあります。
  • 暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り、代価の弁済のために使用することができます。
  • 当社はお客様の資産を当社の資産とは分別して管理おりますが、当社が倒産した場合には、預託された資産を返還することができない可能性があります。
  • 当コンテンツは投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるようお願いいたします。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社及び本情報提供者は一切の責任を負いません。

FXcoin 株式会社

  • 暗号資産交換業者:登録番号 関東財務局長 第 00019 号
  • 所属する認定資金決済事業者協会:一般社団法人 日本暗号資産取引業協会