2019.9.27【今回のビットコインの急落をポジション調整と考える理由】

2019-09-27 23:00[ 松田康生

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Review

三角持ち合いを下にブレーク

今週のBTC相場は大きく下落。三角持ち合いを下抜けると6月以来となる80万円台前半まで値を下げた。先週のFOMCでの米利下げに加え、今年最大の材料という指摘もあったBakktの開始でも上値追いに失敗。するとアルトコインの下落やハッシュレートの低下、トランプ大統領の弾劾懸念などが嫌気されレンジの下限を下抜けると87万円近辺まで急落した。しかし、ハッシュレートは回復、大統領の弾劾問題も罷免には至らないとの見方が広まり、一部で懸念されていたGoogleの量子コンピューターもまだBTC等の脅威とはならないとの専門家のコメントもあり反発するも戻しきれずにいると、再びウクライナゲート問題で米下院公聴会を前に内部告発状が公表され米株が下落すると、BTCも前回安値を割り込み83万円台を付けた。その後は月末のオプションの期日やCMEのSQに向け、神経質な展開が続いている。

Outlook

ポジション調整だと考える

来週のBTC相場は底値を固める展開を予想する。先週は「過去のボラティリティーの推移、三角持ち合いの形状などからレンジ上抜けは9月末から10月頭と予想していたが、来週中に前倒しとなる可能性」があると予想したが、下抜けが前倒しできてしまった。FOMCやBakktといった材料で上抜け出来ず溜まったロングポジションの投げが殺到したことは、レンジを下抜けた局面でBitMEXでは7万BTCのポジション解消が出たことに表れている。80万円台は6月以来で、ちょうど米利下げやBakktのテスト開始が材料として浮上、150万円手前まで急騰する直前のレベルだ。結局、FOMCやBakktで期待で上がり過ぎた分、Sell on the Factが出たと考えるべきなのか。ただ2回目の急落時には同じくBitMEXのロングの投げも1万BTCに減っており、ポジション調整は進んでいると考えている。

その理由①1番底、2番底

予想に反して2か月続いた三角持ち合いが下抜けた割にポジション調整と考えている理由は、この2番底も過去のパターンからして想定の範囲内だからだ。上図は是非7月3日付トピック「ビットコインの2つのクセ~乱高下を続ける理由」の3つのチャートと一緒にご覧いただきたい。過去3回の回復局面における急騰と反落にはある程度パターンがあって、短期間に2倍前後急騰してピークを付けると、そこから1週間前後で3-4割急落、そこから半年前後かけてピークを超えていく。その際、ピークから1週間後の1番底の次に2-3か月後に2番底を迎えている事が見てとれる。2015年や2017年は2番底は1番底より上で、それ故、100万円割れの水準で2番底から上放たれると考えていたが、今回は2016年のパターンで1番底より2番底が深かったのだと考えている。その見方が正しければピークから4割以上下がっている水準は底が近いと判断される。

その理由②仮想通貨の価値を信じるか

勿論、この見方が正しいとは限らない。例えば、このピークから4割強下げて最終的に反発するのではなく、このまま相場は底抜けして、BTCは最終的に無価値になるという見方なら、こんなところで下げ止まったりはしないだろう。例の量子コンピューターの誕生がBTCを無価値にするならばそうした展開も考えられる。しかし弊社の基本的な考えはブロックチェーンによって電子データに価値が誕生し、これが世界を大きく変えていく。その中でオリジナルであるBTCはデジタルゴールドとしての地位を固め、インフラや規制が整備された暁には機関投資家の資金も入ってくる。まだBTC相場はピークに向けての上昇過程にいるという考えをベースに過去のパターンに照らし合わせれば、この2番底も想定の範囲内で底は近いという結論となる。もしこのまま下げ止まらなければ、そもそもの前提が間違っているという結論になろう。

底値は近い

昨年はここから更に下を付けたが、昨年はまだ米国は利上げをしていた。米中貿易摩擦も一時停戦の方向だった。Bakktは始まったし、ETFの実現(もしすれば)までの時間も1年短くなっている。ECBは量的緩和を再開、世界は昨年より不況に近づいている。BTCの半減期も近づいているし、BCHとBSVの分裂騒ぎもない。そうした中、BTC相場は、昨年と異なり、ここから底値を固めて反発する展開を予想している。

予想レンジ:80万円~100万円


Altcoin



今週のアルトコインはBTCに連れ安で大きく下落。先週のアルト主導相場から一転、むしろアルトコインの反落がBTC相場の下落を呼び込んだ形となっている。上は8月1日を1とした各通貨の対BTC価格推移だ。これを見ると9月6日頃にアルトの下げに歯止めがかかり、反転上昇。9月15日前後からは一層力強く戻していたが9月20日前後にピークアウトすると、先週前半は軒並み値を下げ、BTC相場にも下押し圧力がかかっていたことがうかがえる。しかし、その後のBTCの三角持ち合いからブレークする局面ではBTCの下げのスピードに付いて行けず、相対的に値を上げる形となっている。

ETH:今週のETHはBTCに連れ安。週前半は目立った材料もなく、上値の重い展開。アルトコインやBTCの下落に連れ安となる展開が続いたが、週後半にかけて好材料が続く中、対BTCでは値を上げている。国内大手交換業者のETHJPYの板形式取引に加え、ベネズエラでの外貨準備へのBTC・ETH採用検討、更に自主規制団体JVCEAのICOガイドラインの施行などが続いた。ベネズエラの外貨準備は昨年時点で2000億円前後でその一部が入ったとしても影響は限定的と考えるが、ICOガイドラインの施行は日本のICO解禁を意味する。昨年後半からICOの減少により既調達先のETH売り圧力と新規案件の減少による需要減に悩まされたETH相場だが、このサイクルが逆回転を始める可能性もあろう。

XRP:今週のXRPは軟調な展開。先UAEのフジャイラ国立銀行がリップルネットに参加、一時値を戻す局面もあったがLTC主導のアルトの下げ、BTCのレンジブレークもあり軟調に推移。週後半にかけてリップル社からのいくつかのコメントもあり底堅さを見せている。中でも注目したのがSWIFTのイベントSibosでの同社関係者の発言。SWIFTと比べてXRPによる国際送金のメリットはその速さと誤解されているが、本当のメリットはXRPにより直接、送り手から受け手に送金が出来ることだ。すなわちコルレス決済が不要となる。国内、海外に限らず異なる空間の人々がお金を決済するには、民間銀行・中銀に限らず、どこかで同一企業内での振替が必要となり、その為に余分な流動性を準備しておく必要があった。電子マネーも同じ仕組みだ。これを空間越えてお金をやりとりすることが出来るようになったことが仮想通貨の基本で、ベネチア以来の為替の常識を覆す大発明と考える。

BCH:今週のBCH は軟調推移。週前半はLTCなどアルトコインの、後半はBTCの下げに連れ安。国内大手交換所の海外拠点での取り扱い開始もサポートとならず、主要通貨の中では唯一、対BTCでの反発も見られなかった。

LTC:今週のLTC相場は大きく下落。週前半こそトランザクション数が年初来最高を記録したと伝わるもその後急落。一部にはトランザクション増加との関連も指摘されるも詳細は不明でアルトコインの下げを主導したことだけがForbesなどで報じられた。その後はBTCに連れ安、延期されていたウォーレ・ンバフェットとジャスティン・サンのランチにチャーリー・リー氏が同席する件がもうすぐ実現すると伝わるも相場への影響は限定的だった。


FXcoin Weekly Report 2019.09.27.pdf





松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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