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2019.10.1【秋の深まりとともにビットコインは底堅さを増していくのか?】

2019-10-01 18:02[ 松田康生

Monthly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン イーサリアム リップル ライトコイン ビットコインキャッシュ



Review

三角持ち合いを下にブレーク

9月のBTC相場は軟調な展開。月初はBTC独歩高、月央はアルトコインが反発、月末にかけてはBTC・アルトコインとも大きく崩れる展開となった。米対中報復関税第4弾が予定通り実行されたが、これに中国側が猛反発、米国をWTOに提訴するとともに通商交渉の9月実施が危ぶまれる事態にBTCは急騰、香港デモの過激化やアルゼンチンのデフォルト懸念もサポートした。しかし、米中協議が10月上旬とされると上値を重くしたが、ECBの量的緩和再開で再び上値をトライ。VanEck分のETF申請取り下げに加え、米利下げで上がり切れなかった事や日銀の緩和見送りもあり一旦下げるも反発したが、期待されたBakktの開始でも上がり切れずにいると、ハッシュレートの大幅ダウンやトランプ大統領の弾劾調査入りなども嫌気され急落、三角持ち合いを下にブレークした。但し、ハッシュレートも回復、目立った売り材料もない中、若干の反発を見せている。

Outlook

9月の買いはフライングだったか

先月は「底堅いが上値も重い、揉み合い推移」の展開をとした。FOMCやECB、香港情勢にBakkt開始と買い材料に事欠かない中、「本格的な回復相場は米国が戻ってくる9月のレイバーデイ明け」として「(9月第1週中にも)8月初めにつけた110万円をトライする」と申し上げた。確かに9月6日に116万円台まで値を上げたが、その後、上値を重くすると、FOMC・Bakktといった大き目の材料に反応できずにいると急落。この時にBitMEXでは7万BTCのロングの投げが出ており、そうした買い材料で上抜けを狙ったロングポジションの解消が急落相場を演出したことが分かる。Altcoin欄の主要通貨出来高推移を見ると、実は投資家の戻りが観察されるはずの9月の上旬に出来高はあまり伸びていない。これはレイバーデイ明けの上昇を期待したスペックの買いが投資家の戻りを待ちながら徐々に溜まっていった事が上値の重さの正体だったことを示唆している。分かり易く言えば、市場は年末に向け年初来高値を更新すると見る向きがフライングして入るタイミングを間違えた形か。

10月か11月か12月のどこかで急騰?

一方でこうした相場展開になるとすぐに3000ドルに下がるとかゼロになるといった極端な弱気論が浮上する。タイミングを間違えたが年末までに年初来高値を更新して史上最高値をトライするという見方まで捨てる必要は無い。ただ、みんなが上がると思って、その通り上って利益が得られる相場など滅多にお目にかかれない。では、どういう時に相場が上がるのかと言えば、思いもよらない時、むしろ皆が3000ドルまで下がると思う時だ。そういう意味では、このタイミングでの小反発は頷ける。アノマリー的には10月は9月よりは上がり易い。というか9月は3月、8月に次いでパフォーマンスが悪い。一方で3か月連続で陰線となったケース5回のうち陽転したのは2回であとの3回は4か月、5か月、6か月連続を1回ずつ。すなわちあまり傾向がない。今回の反落も米中緊張緩和やFOMC・BakktのSell the Factなど売り材料というより買い材料の後退だ。ここは正念場だが、今後3か月の間に急伸相場が来る可能性が高いと見る向きが多いならば、今月は底堅く推移すると考えている。

予想レンジ:85万円~115万円

Topic

JVCEAの統計資料を読み解くと、XRPの不振の原因も見えてくる?
JVCEAから国内仮想通貨交換業者の統計情報が公表された。信頼できるデータが少ないことがこの業界の課題の一つで、こうした動きが世界に広がることを切に願うばかりだが、日本から率先してこうした動きが出ることは喜ばしい。通貨別の預かり残高で1位だったXRPをBTCが逆転したことが注目を集めたが、これはBTC価格が上昇したのに対しXRP価格はむしろ下落している事が主因で、むしろXRPは残高を増やしている。一方、出来高で見ると昨年12月時点では共に月間3000憶円強と互角だったBTCとXRPとの出来高だが、7月時点ではBTCが7000憶円近くに達しているのに対し、XRPは750憶円程度と12月の1/4にまで減少している。昨今ではリップル社の売り圧力がXRP不振の主因として槍玉に挙がっているが、むしろ売り圧力は一定なのに、XRP人気が高い(かった?)日本での出来高の急減がこの冴えないXRP相場展開に繋がっている可能性が高い。
低下するヒストリカルボラティリティーからビットコインの反発時期を占う
過去5年間のBTCの30日間と50日間のHVの推移を見ると20前後まで低下した事が5回あり、その水準から急反発を見せている。今回は30日・50日いずれも50前後でまだ低下余地はある可能性がある。また、このHVは概ね半年周期で増減を繰り返しており、順当なら9月末から10月上旬辺りに底を打つ可能性がある。HVが上昇するという事は相場が大きく動いた事とほぼ同義だが、過去5回(2016年後半を10月と12月の2回と数えれば6回)のうち4回は上にブレークしている。ドル円相場では円高になるときの方がボラが上がり易いというクセがあると知られている。これに対してBTC相場はBTC高になった方がボラが上がり易いというクセがある様だ。BTC相場のクセ、半年毎に急騰と急落を繰り返し、底値から急騰しピークアウトすると半年程度かけて前回ピークを更新していくという展開とも整合的だ。
日銀追加緩和見送り直後にビットコイン急落。どう評価すべきか?
19日午後12時00分頃BTCを始め主要仮想通貨は全面安、11時49分頃に発表された日銀の緩和見送りが引き鉄を引いた形。こうした展開になった背景には最近の日銀緩和策は複雑すぎて、米国の様にどれくらい市場が織り込んでいるなどと事前に知ることが困難になっている事も挙げられるが、加えて、市場は若干勘違いしているところがあるのではないかと考えている。2016年7月の金融政策決定会合で黒田東彦総裁が「総括的な検証」の実施を指示し、その次の9月会合において検証を踏まえて、現行のイールドカーブコントロール政策が導入された経緯を考えると、今回は来月の本格的緩和に向けた予告の可能性がある。黒田バズーカという言葉にある様に、そのスタイルは戦力の逐次投入はしないというものだ。やるならば、躊躇なく、出来ることは全てやる姿勢に市場は何度も驚かされてきた。主税畑出身の黒田総裁にとって消費税引き上げこそライフワークであり、それを成功させるためなら何でも行う可能性は高い。
検証:日本からビットコイン相場へのフロー、どの数字が正しいのか?
日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が2019年1月から7月までの統計資料を発表した。協会は会員に対し指導、勧告及び処分権を有し、協会のデータの信ぴょう性は高い。日本からのフローで代表的なものとしてBitcoin日本語サイト(JPBITCOIN)が挙げられる。両者を比較すると金額ベース・数量ベースの両者の比率を比較するとほぼ一致する。両者とも同じデータにアクセスしつつ、JVCEAは顧客取引のみ、JPBITCOINは業者間取引も含めた全取引という基準の違いであろう。通貨別出来高など分析やダウンロード機能に優れたCryptoCompareだが、水準こそ許容範囲だが月毎の数字のブレやJVCEAとの比率もまちまち。CryptoCompareはテザーやQCなど中国の動向を観察するなど有用なデータが多いのだが、円建ての数字に関しては参考程度と考えたい。
ビットコイン急落のきっかけ、ハッシュレート低下はひと段落。今後の展望。
25日朝方、BTCは三角持ち合いを下にブレークして急落した。その背景として、FOMCやBakktの開始といった買い材料で上がり切れなかった故に溜まったロングポジションのストップがヒットしたことが挙げられる。様々な原因が指摘されるが、引き鉄を引いたとされるのがハッシュレートの急低下だ。BLOCKCHAINで3割以上、Coin Danceでは4割以上の急低下が観察されたが、実は1か月前の水準に戻ったに過ぎない。夏場の電力供給や新型ASICなどの貢献でハッシュパワーが急騰しており、Difficultyも過去最高を更新する中、一部マイナーが現れたかもしれないが、ハッシュレートは既に急速に回復、大洪水や当局の弾圧といった構造的なものでなく、一過性であったことが判明した訳だ。今回の下げは昨年9月のフラッシュクラッシュを思い起こさせるが、米金融政策は昨年の12月まで利上げサイクルにあり、今年とは180度状況が異なっている。

Altcoin


上記は主要通貨の出来高を今年1-3月の平均を1とした出来高の今年7月からの推移。これを見ると7月から8月にかけて徐々に出来高が減っていたことが分かる。特にETHとXRPは2以下と1-3月とあまり変わらない水準まで出来高が落ちていたことが分かる。ところが9月半ばから回復を始めている。ところが、月末の数日間にまた1台に落ち込むも30日にはXRPを中心に戻している。出来高が増えたから相場が強いのか、相場が強いと出来高が上がるのか、実際には両者が反響し合っているものと思われるが、マイナーや運営側から一定の売り圧力がかかり続ける仮想通貨市場の場合、閑散は売りで、出来高の回復は上昇要因となろう。これを見るに、アルトコインは巻き返しつつあるが、その持続力に関して正念場を迎えている状況に見える。

ETH:9月のETH相場は底堅い推移。月末にかけてBTC始めアルトコインが全般的に値を崩す中、月初来でプラスで引けている。CNHペッグのテザーやスペイン大手行サンタンデールがERC20ベースの債券を発行するなど有用性の拡大は続く中、イスタンブールのアップデートが1か月後ずれになるなど、スケーラビリティー拡大の遅れが懸念されていた。そうした中、ブテリン氏がガス代引き上げを提案、ガス代が急騰する中、ついにETHも上昇を始め、同氏がPOS時の収益性についてコメントすると上げ足を速め、一時ETHの手数料がBTCを上回ったが。その後、LTCやBTCの下げで値を下げるが、ICOの自主規制ルールの策定、STO団体の発足、ICOプラットフォームの発表など本邦のICO市場の再開を感じさせる材料が続いたこともあり、堅調に推移している。

XRP:9月のXRP相場は底堅い展開。先月から続くリップル社の売りを糾弾する運動に対し同社CTOシュワルツ氏が反論、同社CEOもリップル社が一番XRPの成功を願っているとし、関係者のコメントで同社はXRPの投げ売りはしないと続けたことが功を奏したか、アルトコインへの循環物色がXRPにも及び急騰。しかし、その後反落するもリップル社のアイスランドのトレーディング企業Algrimを買収、XRP送金で重要な役割を占めるとしたことを好感、月末にかけての上昇をリードした。月央にSWIFT関係者の仮想通貨は使い物にならないというコメントが伝わった。またドイツ銀行がJPMのIIJに加盟、ウェルスファーゴが独自トークン開発検討と伝わった。別稿でも述べたが、遠隔地間で直接の資金を決済できる仮想通貨の仕組みは中世以来の大発明だ。ドイツ銀行やウェルスファーゴの動きはXRPにとってライバル視すべきものかもしれないが、海外送金がブロックチェーン化、トークン化する決定打と考えるべきだろう。以前申し上げた様にXRPの不振は運営の売り圧力の増加というより本邦からの買い意欲の後退による部分が大きい。11月に控えたSWELLが近づくにつれ、そうした需要が喚起されていくものと考える。

BCH:9月のBCH相場は軟調な展開。Bitcoin.comの交換所立上げ、Bitcoin Cash Cityカンファレンスの開催、更に台湾のスマホメーカー、HTCと提携などもあり月央までは堅調に推移。しかし、同交換所のBCH先物開始が2020年Q1とされたのが失望を生んだか上値を重くすると、LTC初のアルト総崩れや、BTC三角持ち合い下抜けする中、対BTCでも値を下げるなど軟調な展開を続けている。Bitcoin ABCがPoSを検討しているとの報も影響しているか。

LTC:9月のLTC相場は軟調な展開Binance USのLTC入金開始やMimbleWimbleの実装作業開始などもあり、一時アルトコインの戻りを牽引したが、LTCのトランザクション数が過去最高を記録したと伝わるや、何故か急落を始め、アルトコイン全面安の引き鉄を引いている。


FXcoin Monthly Report 2019.10.01.pdf








松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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