2019.10.4【踏ん張りどころのビットコイン相場、底入れは間近か?】

2019-10-04 18:43[ 松田康生

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Review

何とか持ちこたえてはいるが

今週のBTC相場は底値圏での揉み合い。先週の83.6万円に続き、今週は83.5万円で反発しダブルボトムの様相を見せたが、200日移動平均線に跳ね返され、まだ底値を固めたとは言い難い状況が続いている。ホワイトハウスが中国への証券投資の制限を検討しているとの報に90万円トライするも失敗、劉鶴副首相の訪米やBinanceのIEO銘柄も含む上場廃止リスト公表もあり83.5万円まで下落。しかし対中投資制限を嫌気した上海株の下落やXRPやETHなどのアルトの上昇もあり切り返すと香港情勢への懸念や日銀短観の3期連続の悪化、ISMの2か月連続の50割れなどもあり92万円、8,500ドルをトライ。しかし、200日移動平均線に跳ね返されると、その後はじりじりと値を下げる展開が続いた。前のめりなザッカーバーグ氏やカリブラ社メンバーと対照的にVISA・Master・Paypalとリブラ離脱を検討する動きが報じられたことも影響したか。

Outlook

まだ底入れとは言えない

来週のBTC相場は底値を固める展開を予想する。先週は三角持ち合いの下抜けを「2016年のパターンで1番底より2番底が深かった」想定の範囲内でポジション調整の範囲内とした。昨年はここから更に下を付けたが、まだ米国が利上げ中だった昨年と、FRBが利下げに転じ、ECBも量的緩和を再開、Bakktも始まり、BTCの半減期も近づき、BCHの分裂騒ぎもない今年とでは状況が異なるとして「ここから底値を固めて反発する展開」を予想した。実際、先週付けた83.6万円でダブルボトムを形成、底値を固めつつあったが、92万円、8500ドルの水準で200日移動平均に跳ね返され、上値の重い展開が続いている。予想より弱い米ISM非製造業景況感指数が出た際にまずは売りから入った辺りにも地合いの弱さが見て取れる。仮想通貨の場合は度々ダマしもあるのだが、先月27日に下抜けた200日移動平均線の下で燻っている時間が長くなるに付け、投資家心理が冷え込みつつある表れか。

FRBの信認

それでも強気な予想を継続する最大の理由はファンダメンタルズの変化だ。金融市場では俄かに米景気後退が主要テーマに浮上している。きっかけは火曜日のISM製造業景況感指数が2か月連続で50割れ、2009年以来の低水準となった事だ。上図の濃紺がISM製造業で緑がGDP成長率(前年比)だ。90年の湾岸危機、00年のITバブルの崩壊、08年のリーマンショックと米不況にISMは先行して50割れをする傾向がある。単に50を割れる程度ならちょっとした在庫調整でも現れるが今回の47.8まで下げて不況を回避できたのは95年位だが、その時もFRBの利下げで何とかしのいでいる。昨年の利上げ誤りで執拗に利下げを要求するホワイトハウスに対し、景気は強い、利下げは予防的と強弁してきたFRBだが、軍配は前者に上がりつつある。放って置けば米景気は10年ぶりの不況に突入する瀬戸際にあるかもしれないのに、FRBは自らの職責であるインフレと失業率がいいからといって見逃していた。無理強いを続けるトランプ大統領と対応に苦慮するパウエル議長という構図でFRBに同情的だった市場参加者もさっさと見切りをつけて10月利下げの織り込みを4割から85%に引き上げた。要は利下げを「予防的」で「保険」で単発だとしたFRBのいう事を信用しなくなった訳だ。10月利下げはFRBの信認失墜の始まりだと考える。

中国人投資家の戻り

引き続きBTC相場の地合いは回復していない。その理由の一つとして投資家の戻りが今一つということが挙げられる。夏枯れ相場からレイバーディ明けに上昇するも続かず失速したが、そうした中でアルトコインに循環物色が入り9月後半にかけて出来高も若干戻りつつあった。しかし、10月入りBTCやテザーの出来高が低迷、中国の国慶節の影響も多少あるかもしれない。来週に入り本土投資家が帰ってくると市場の雰囲気が一変するか注目したい。

予想レンジ:80万円~100万円

Altcoin


今週のアルトコインはBTCが伸び悩む中、比較的底堅い動き。BTCのドミナンツも9月下旬の68-69%から67%台に若干下がっている。上図は9月以降の主要通貨の値動きを8月31日を1として表したもの。これを見ると、BTCと連れて冴えない値動きを続けるBCHやLTCと比較的堅調なETHとXRPとに分かれていることが読み取れる。これは後者がDevcon大阪(10/8-11)やSWELL(11/7-8)とイベントを控えていることもあるが、イベントであればLTCもLITECOIN SUMMIT(10/28-29)を控えている。これは両通貨に有用性を示すヘッドラインが続いた事が影響していると考える。ETHではICO、XRPでは送金だ。すなわち、デジタルゴールドであるBTC以外のアルトコインはごく一部の有用性のある通貨以外は今後数年間で淘汰される可能性が高い。そうした中、ETHとXRPとは着々と実績を積み重ね、BCHとLTCは出遅れつつあることを示しているのではないか。特に9月に入り開発者たちが夏休みから帰ってくるにつけ、ヘッドラインの差が顕著に出始めていると考えている。

ETH:今週のETHは底堅い値動き。先週末にJVCEAからICO・IEOにかかるガイドラインが施行、事実上停止されていた日本におけるICOが解禁された。続いてICOプラットフォームCOMSA COREが発表、更に1日にはSBI・野村・大和・楽天・カブドットコム・マネックスらがSTO協会を設立した。改正金商法の施行とも合わせ、来年は日本のICO元年となる可能性が高い。これは中国のBTC解禁とまではいかないが、ETHにとって大きなニュースでもっと反応して然るべしと考える。ガス代の逼迫をもたらした中国のサイト問題も一服、来週のDevconに向け仮想通貨市場全体を牽引する可能性もある。

XRP:今週のXRPは底堅い値動き。リップル社による分散金融システムLogos買収に続き、アイスランドのトレーディング会社Algrimを買収、xRapidが名を変えたODLの開発を行うという。更にコンテンツ制作者向けプラットフォーム、コイルがXRPをサポート、botPayがクロスボーダー送金でのXRP使用をサポート、更にシュワルツCTOはXRP担保のステーブルコインを提案するなど好材料が続いた。中でもxCurrentとxRapidとが統合した事によりxRapidの潜在的導入先が数十社から200社以上に急増した事が大きい。XRPの価値向上を自任するリップル社がXRPの需給に関係ないxCurrent拡大にばかり注力することに少なからず不満を持つ投資家もいたと推測されるが、xRapidに警戒感を持つ銀行にxCurrentから導入し、そのアップグレードという形でXRP決済を普及させていこうとする同社の戦略が実現した形か。市場はもう少し反応しても不思議でない。

BCH:今週のBCH は目立った材料が少ない中、小動き。その中でBitcoin ABCが送金時間短縮の為、POSを検討しているとの報に、11月のアップデートには間に合わないが、次回の分裂のタネと一時動揺が走った。

LTC:今週のLTC相場は底堅い値動き。ドルで50ドル付近で半減期後の低迷から下げ止まった形。LTC財団が株主のWEG銀行、リテール向け仮想通貨決済を計画、また仮想通貨が証券に該当するか独自に格付けしたCrypto Rating CouncilがLTCをBTCと同じ最低ランクに位置付けた事も好感された。


FXcoin Weekly Report 2019.10.04.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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