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【第11回】 オプションディーラーの視点 ~建玉分析はフローで捉えることが大切~

2019-10-09 10:15[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

BTCオプション市場の動向(10/2~10/8)
直近1週間の期近物オプションの建玉変化を確認すると(※本年12月末までに行使期日を迎える短期オプションのストライク別建玉合計)、8000ドルや7500ドルなど、ダウンサイドPUTの建玉増加が目立っております(前週比+1,168 BTC)。背景には、ビットコイン価格が下落するとの相場観に基づき、個人投資家やマイニングファームを中心にダウンサイドリスクをヘッジする動きが広がったことが挙げられます。



建玉分析はオリジナルのサイドを見極めることがとても大切
建玉分析を行う際は、オリジナル(トレードのきっかけを作った最初の市場参加者)のサイドが、「買い方向」なのか「売り方向」なのかを見極めることが重要です。オリジナルのサイドを見極めることで、引き受け手となるマーケットメイカー(以下、MM)が取り得る次の行動を予測することが出来るからです。

例えば、個人投資家やマイニングファームがコールオプションを買う場合、MMの約定時点のデルタヘッジの向きは、「ビットコイン買い」の方向となります。従って、短期的にビットコイン価格を押し上がるフローが発生します。一方、今回のように、個人投資家やマイニングファームがプットオプションを買う場合、MMの約定時点のデルタヘッジの向きは、「ビットコイン売り」の方向となります。従って、短期的にビットコイン価格を押し下げる効果をもたらします。

つまり、建玉変化は、フローで捉えることが大切です(※ストック分析も大切)。出来れば、数十分単位で建玉変化を観察し、その先に起こり得るデルタ売買のフローを予測することが望ましいと言えます。

オリジナルのサイドを推測する方法
オリジナルのサイドが「買い」なのか「売り」なのかを推測する方法は、板をじっくり観察する以外にありません。オプション市場はスポットやフォワードと異なり、流動性が極めて乏しいプロダクトである為、MMが作ったワイドな2wayに、オリジナルが少しずつインサイドにプライスを入れる所から出合いが生まれます。具体的には、11Oct 8000ドルputをMMが1stプライスとして65%/75%の2wayをメイクした場合、オリジナルが買いイントであれば、68%bidなど、BID側にインサイドのプライスが入ることになります。この時点で、当該オプションはオリジナルが「買い」、MMが「売り」と推測することが可能です。一方、65%/75%の2wayに対して、オリジナルが72%offerを入れた場合、オリジナルのサイドは「売り」、MMが「買い」と推測できます。それ以外にも、スマイルカーブ上、歪つな部分を見つける方法や、プットコールパリティの不成立箇所を見つけてオリジナルのサイドを炙り出す方法等もありますが、これらについては、また別の機会に説明したいと思います。

まとめ
オプション建玉の変化を「フロー」で捉えることはとても大切です。また、フローで捉える際は、単に「そのストライクの建玉がどの程度増減したか?」に留まらず、「オリジナルのサイドが買いor売りのどちら方向なのか?」という点まで深堀りすることが重要です。今回のセッション(10/2~10/8)においては、オリジナルのサイドは明らかに「プット買い」方向でした。つまり、MMのデルタヘッジはビットコイン価格を押し下げる方向となります。事実、ビットコイン価格は10/6~10/7にかけて、巨大ピン8000ドルを抜けて下落する展開となりました。

もっとも、今回はラッキーなことに、スポットが下落した後に(個人投資家がプットオプションから出てくるデルタショートを利益確定した後に)、スポットが急騰しましたので、8000ドルPUTを保有していたプレイヤーは、下でデルタショートを買い戻して、戻った後にデルタロングを売り直すベストな操作ができたと思います。つまり、オプション買い手にとって最高の1週間だったと言えるでしょう。今週金曜日17時のカットオフまで残り2日間。引き続き、オプション市場の建玉変化から目が離せません。

SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM(現職)。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

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