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【第12回】 オプションディーラーの視点 ~ガンマロングでスポット膠着~

2019-10-16 11:05[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

BTCオプション市場の動向(10/9~10/15)
直近1週間の期近物オプションの建玉変化を確認すると(※本年12月末までに行使期日を迎える短期オプションのストライク別建玉合計)、8000ドルや8500ドル、9000ドルや9500ドルの建玉増加が目立ちました(これら4つのストライクで前週比+2,667 BTC)。比較的デルタの厚いゾーン(行使確率が高いゾーン)のストライクが選好されており、市場参加者がビットコイン価格の乱高下を捉えようと「ガンマロング戦略」を取った様子が伺えます(相場の方向性にベットするのではなく、値幅にベットする戦略)。


オプション取引の醍醐味
オプション取引の醍醐味は、ポジションを保有する際に、ビットコイン価格が、①上がるのか?、②下がるのか?、といった2択に加えて、③上下どちらか分からないが大きく動きそう、④上下どちらにも大きくは動かなさそう、といった2択を選択できる点です。つまり、オプショントレーダーは「4択」の世界で勝負することが可能となります。今週に限って言えば、3番目の「上下どちらか分からないが大きく動きそう」にベットした市場参加者が多かったように感じます。

本稿では、最大ピン8000ドルを例に挙げて、ガンマロング戦略(上下どちらか分からないが大きく動きそうと感じるオプショントレーダーが保有するポジション)について紹介したいと思います。
説明に際しての前提条件は下記の通りです

・約定時点の実勢相場:8000ドル
・BTCPUT USDCALLの購入
・行使価格:8000ドル
・オプション金額:100 BTC
・相場観:上下どちらか分からないが大きく動きそう
(※説明を簡単にする為、オプションプレミアムの概念は考慮いたしません)

もしあなたが上記オプションを購入した場合、損益図は下記の通りです(縦軸が損益、横軸が実勢相場)

実勢価格が8000ドルを割り込むと収益がプラスに転じる一方、8000ドルを割らない場合は収益が発生しません。言い換えると、ビットコイン価格が下がることに100%ベットしている状態です。

ただあなたは、「上下どちらか分からないが大きく動きそう」との相場観を有しているわけですから、この損益図ではあなたの相場観を表現できていないことになります。

ではどうすれば良いのか?

オプション金額(100BTC)の半分に相当する50BTCを現物で購入すれば良いのです。
そうすることで、あなたのポジションは下記のようになります。

つまり、上下どちらに動いても収益化できるポジションを作れるわけです(※繰り返しとなりますが、オプションプレミアムの概念は今回は考慮に入れておりません)。

8000ドルより下側であれば、実質的にBTCUSDの現物を50BTCショートにしている状態、8000ドルより上側であれば、実質的にBTCUSDの現物を50BTCロングにしている状態です。

つまり、8000ドルより下側では利食いの買いが出易く、8000ドルより上側では利食いの売りが出易くなります。こうした取引(買い足8000ドルを軸に下側で現物買い、上側で現物売りを行う取引)を一般的に、ガンマディールや買い足操作と呼んでおります。ガンマディールを繰り返すことで、収益はどんどん積み上がります。

但し、おいしい話ばかりではありません。ガンマディールを行う代償(≒参加手数料)として、オプションプレミアム(セータやタイムディケイと呼ばれる)を支払わなければならないからです。本件については、次回以降、詳しくご説明いたします。

まとめ
現在のビットコイン相場は、上記で示したように、市場参加者の多くがガンマディールを行おうと相場の変動を虎視眈々と狙っている状態です。従って、建玉が集中している8000ドル~9000ドル近辺では、相場が膠着し易くなります。「値動きが相応に出る」と思って取ったポジションが、結果として「値動きを膠着させる」ことに繋がる皮肉な状態が生まれます。こうした状態のことを、オプションディーラーの中では、「マーケットがガンマロングになっている」「ガンマが余剰気味」と言ったりします。ここ最近のスポットが動きそうで動かない理由の一つに、オプションマーケットのガンマロングがあるのではないかと考えております。

SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM(現職)。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

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